【感想・ネタバレ】嘘つきジェンガのレビュー

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Posted by ブクログ

こんなに人気作家さんなのに、この作品がはじめまして、でした。
やはり素晴らしい。

『2020年のロマンス詐欺』
コロナ禍に上京した大学生が新しい人間関係を築けず悩む中、地元の友達からもたらされた、メールを送るだけのバイト。割のいいバイト。
詐欺だと気づいた時には、1人の女性とお互いを話す仲になっていて…

『五年目の受験詐欺』
5年前、次男の中学受験を控え思うように成績が伸びないと悩んでいた時、友達に「まさこ塾」という教育コンサルタントによる母親向けのセミナーを紹介された。特別紹介による事前受験。費用は百万円。
無事に志望校には合格。時は過ぎ現在高校2年生。「島村」と名乗る女性から事前受験は詐欺であるとの電話が…

『あの人のサロン詐欺』
「谷嵜レオ創作オンラインサロン オフ会」は5回目を数え、ファンから持ち込まれた小説や漫画の添削をしつつ交流をする会。
主催するのは紡(つむぎ)。谷嵜レオの世界に心酔するあまり、一切プライベートを明かさない谷嵜レオになりきりこのような会を開くようになった。
ある日、谷嵜レオ逮捕のニュースが流れ…

どの話も心がチクチク痛かった。
詐欺を働く方も、だまされる方も心の変化が丁寧に描かれていて、感情移入してしまった。
でも、絶望ではない結末で、救われたかな。

ただ、まさこ塾の十条雅子は、その後の実態が不明でモヤモヤ感。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

284ページ
1650円
8月18日〜8月19日

耀太はコロナ禍の中、大学生になり、緊急事態宣言のため、入学式も授業もない中、友人に勧められたバイトを安易に始めてしまう。それが詐欺に加担する行為だと薄々気付きながらも抜け出せず、ターゲットで
ある女性に惹かれ始める。3つの短編集。

詐欺にまつわる短編集。登場人物も整理されていて読みやすいし、ちょっとした意外な展開も待っていた。チヨダ・コーキの名前が出てきて、スロウハイツの神様を読んでみたくなる。悪いことだとわかっていても、手を伸ばしてしまったり、ズルズルそこから抜け出せなかったりと、ちょっとしたボタンのかけ違いで、人生が台無しになるということに怖さを感じた。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

よく練られたストーリー。ハラハラする。辻村深月さんの作品は、長編はもちろんだがこういったタイプの短編集も非常に秀逸だと思う。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

いつも、辻村さんの作品はハズレがないと思う私です。今回も、SNSでの感想からみた期待通りでした。騙したつもりが、じつは自分も騙されていた話。子どもを持つ親ならわかる受験での詐欺の話など、全部騙すお話だけど、悔しいとかではない結末が待っていました。

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

詐欺を題材にした、軽めのミステリ中編が3作。
ロマンス詐欺。
裏口入学あっせん詐欺
サロン詐欺。
どれもおもしろかった!
夢見る気持ちって、悪い人からしたら利用しやすい感情なんだろうなぁ。

ロマンス詐欺は、純朴な18歳の大学生がコロナ禍で人と交流することができず、実家にも帰れなくなり、連絡をくれた地元の友だちの誘いで始めたバイトがどんどん深みにハマっていく様子はすごくこわかった。
こうやって、最初の話と違っていき、それがわかる頃には秘密を知ってしまっているため逃げられなくなる・・・。
ロマンス詐欺って、こんな手口に引っかかる人いるのかなぁ?ってずっと思っているんだけど、今でもいるんだよね。
私が20代の頃は、
「◯◯(男性有名人の名前)です。誰にも言えない悩みをあなたには聞いてもらいくてメールしました。事務所にも内緒のやりとりなので、以下にアクセスしてください。~~~謎のURL」
みたいなメールが送られてきて、そのURLを介してやり取りするためには1通あたり数百円かかる、結局数万円の被害。みたいのがあった。
私のもとには小栗旬と名乗るメールが来たけど、こんなの誰もひっかからないだろうと思っていたら、ニュースで福山雅治を名乗るメールにひっかかった人の取材をしていた・・・なんてことがあったよ。

受験詐欺は、まさこ許さん~!という気持ちが湧きましたね。
この話だけは、被害者視点だったから。
数年経って詐欺だとわかり、それまでいつか裏口入学がバレるんじゃないかとビクビクしていた気持ち、夫にも黙ってお金を出してしまった後ろめたさ。
詐欺をして捕まるべき人よりも、被害者が怯えている様子だった。
最後、息子がお金出してもらっていたことをむしろ喜んでいた様子だったのが、拍子抜け・・・男子わからん!
それとも、この子はとても心優しい子のようだから、あの発言も母を励ますために?泣けるじゃん。

サロン詐欺というと、不安を煽って怪しい商品売りつけるイメージだけど、有名人(覆面作家)になりすましてしまうとは(お金目的ではなく、本当にその人になりたかったという願望から出発していてる、でも会費もらってるから詐欺)。思いもよらなかった新しいパターン。
下着ドロはだめなことだし、そのせいで多くの人に迷惑をかけてしまったけど、死ぬほどのことじゃない。
この話が一番コミカルだった(特に紡の両親がおもしろくて良い)ぶん、最後命落とすのは嫌だったから、紡の行動力が素晴らしかった。やっぱり本人になりきっていたらからこそ、思考パターンが読めたんだろう。なりきり力、すごい。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

三つの詐欺の話
ロマンス詐欺、受験詐欺、有名人になりすましたサロン詐欺
自分の意思とは反して(怪しいとは思いながらも)詐欺に加担してしまったり
5年も経ってから詐欺の被害者であることが発覚したり
いつバレるかと思いながらも詐欺を働いてしまったり
どの話も自分の嘘に悩まされ、でも最後は少し希望が持てそうな感じで終わる

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

詐欺がテーマの3篇の短編集。
本人はそのつもりではないのに詐欺になっていた…ということってあるんだろうな…
大変なことになりそうだけど後味悪くなく終わるのが良かった。
3篇ともに「嘘つきジェンガ」という題名ではなく嘘つきが積み重なって1冊になっているからこの題名なのかなぁ
それもおしゃれだなと思いました。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

SNSを使った現代的なロマンス詐欺、裏口入学詐欺、有名人になりすましたサロン詐欺、どれも利己的で愚かなんだけど、嘘をついてしまう気持ちや状況がすこし共感できた。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

詐欺にまつわるストーリー三篇。
騙される側からの話も騙す側からの話もある。

何かの理由があったり、もともとそういう性質であったりするわけではなくても、何かの弾みで悪いことをしてしまいそこから抜け出せない、ということが起きるので恐ろしい。
今回の三篇は、全てたまたま/ラッキーのような感じで大事になることなく収まったけど、現実ではこうはいかないのでは。このSNS社会では、自分も家族や周りの人も人生終了してしまうと思う。。

最後の「あの人のサロン詐欺」の紡のしていることが一番狂気で怖い。
チヨダ・コーキも一瞬登場する。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

詐欺にまつわる3つの短編集。

一つの嘘から、それを倒さないためにどんどん積み上がるジェンガ。でも最後は崩壊する
騙す側、騙される側の両方の話があるけど、どちらも小さいきっかけから大ごとになっていく過程の心の動きを読めるのが面白かった。

特に好きだったシーンは、2つ目の「5年目の受験詐欺」で、出来の悪い弟大貴が、母親が自分の裏口入学のために詐欺にあったと知った時。
母への愛のある気遣い、前向きさ。子供は母が思うよりちゃんと育っている。

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嘘、詐欺に関する三遍。
コロナ禍で詐欺の片棒となるバイトに足を踏み入れてしまった学生の話、子供の受験時に(いわゆる)裏口受験にお金を振り込んでしまった主婦の話、最後は好きな作家になりすましてサロンを開催している話。個人的には最後のお話が一番好きかなぁ。顔を出していない作家さんなら、逆に堂々と『私が作者です』と言われたら信じてしまうもんなぁ。最初は楽しかったはずが、自分の知らない情報に焦ったりするのもSNSがある現代ならでは。

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2024年04月16日

Posted by ブクログ

個人的合う合わないが激しい著者ランキング上位の辻村深月さん。
これは 合った 。面白かった。3話ともそれぞれよかったけど特に最後のサロン詐欺が好きかなあ。伏線回収が良い。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

詐欺=嘘=悪い事、この図式は幼少期から刷り込まれてきた概念だが、嘘とはどんなものを指すのか考えさせられた。
誰かのための嘘、誰かに助けてもらうための嘘、子どもの成長を願う嘘、自分の居場所のための嘘、どれも嘘には変わらないけれど、子どもの頃に教わった悪い事なのだろうか。

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2024年04月08日

Posted by ブクログ

詐欺をする人も詐欺に遭う人も
私には関係ないし、愚かな人達…

そう思って生きていた私こそが、愚かだった。

悩みや秘密、苦しみを持たない人なんていない。
そんな秘めた悩みや辛さを誰かに共感してほしいと願う誰もが詐欺に遭ったり、気付いたら詐欺をする側に堕ちてしまうのだろう。

3つのストーリーそれぞれが、詐欺に巻き込まれることで相手や家族との新たな関係性を築くという展開が好印象。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なぜこの本を読みたい本リストに入れていたのか、今となっては全然思い出せない。。。3編の詐欺にまつわる話。コロナ禍で詐欺をする羽目になった男子学生、息子の中学受験の詐欺にかかってしまった専業主婦、大好きな漫画の原作者に成りすましてサロン詐欺をする無職。みんな立場は違えど、そういう羽目になってしまうのも分からないではないというか。いや、最後のサロン詐欺は絶対できないけど。最初のコロナ禍の男子学生の話はほんとに同じような立場になった人たちがたくさんいたんだろうなと思う。ほんとあれが必要だったのかどうか、今や誰も何も言わないけど。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

2020年のロマンス詐欺 ★★★☆☆
コロナ禍でロマンス詐欺に関わってしまう大学生の話。
五年目の受験詐欺 ★★★★☆
息子の受験のために大金を支払ってしまった母親と成長した息子の話。
あの人のサロン詐欺 ★★★☆☆
憧れの作家の名を騙ってサロンを開いていた女の話。

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

面白かった。
嘘に嘘を重ねていく3編のストーリーだが、どの嘘にも最後は救いがあって作者の人間に対する優しさを感じた。

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

騙す側と騙される側の、後ろめたさだったり虚栄心だったりを上手く小説にまとめているという印象。

一華ちゃん、大貴くん、谷嵜先生の言動のおかげで読み味がグッと優しくなっていて、辻村さんらしいなと感じました。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

後ろめたいことに手を
染めて、

嘘を積み重ね積み重ね、

ときにバレそうになり
心臓が凍る思いをする
・・・

グラグラ危うい感じが
まさにジェンガですね。

そしてふとバランスが
崩れた途端、

すべてガラガラと崩れ
去る。

まだ大丈夫まだ大丈夫
を繰り返した先で、

いつか必ず崩れるのが
ェンガ。

このタイトルは秀逸♡

三篇ともちゃんと救い
があってよかったです。

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2024年03月12日

Posted by ブクログ

3つの詐欺ストーリー

いつの間にか詐欺に関わってしまい、私でもそうしたかもと、誰にでも起こりうることを実感(>人<;)

恐ろしい詐欺に巻き込まれるものの、終わりの展開がホッコリ(◍︎´꒳`◍︎)

後味のよい作品でした。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

自分勝手で浅はかで弱い人達にも、救いのある優しい物語だった。特に、3番目の「サロン詐欺」は、一番狂っていて頭のおかしな主人公のお話だけれど、なんだか彼女の偏執的な熱い情熱に感化されて絆されて騙されて、こんな破天荒な物語もありだなと思えた。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

[こんな人におすすめ]
*詐欺に関するニュースは時々目にするけど、今のところ自分は大丈夫だと思っている人
 明日にでも自分が騙す側や騙される側になり得ること、いや、既に詐欺に関わっている可能性があることに気づいてしまうかもしれません。誰しもが経験する感情の揺れによって、いつのまにか一線を越えていた、なんてことは珍しくないのかも……。

[こんな人は次の機会に]
*怖い話が苦手な人
 ホラーでもミステリーでもありませんが、読んでいると心臓が落ち着かなくなります。廃病院や ジェイソンより恐ろしいものがこの本の中に隠れているので注意してください。

 

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

 嘘を積み重ねて作った現実が崩れゆくさまを描いたヒューマンサスペンス短編集。
          ◇
 大学進学で山形から意気揚々と上京した加賀耀太だったが、4月早々からの緊急事態宣言で希望に満ちた学生生活に暗雲が漂う。
 講義が始まらないため大学に行けず友人もできない。実家の定食屋は収入減で仕送りが当初の半分に。なのにアルバイトは見つからず、生活費さえままならない。

 アパートに籠もり耀太が不安と孤独に耐えかねていたところ、郷里にいる甲斐斗という友人からラインが届いた。自宅でできる簡単なバイトを紹介してくれるという。
 詳しく聞いてみると、メールでやりとりするだけの仕事で、その数に応じた報酬がもらえるとのこと。

 軽い気持ちでバイトを始めた耀太だったが、その仕事内容がロマンス詐欺と呼ばれる振り込め詐欺の「掛け子」だとわかったときにはもう抜けられなくなっていた。
 指示役から脅されながら名簿を見てメールを送る耀太。空振りばかりで途方に暮れていたが、ある日ついに未希子という主婦から応答があった。

 やがてSNS上とは言えプライベートなやりとりをするほど未希子と親密になった耀太だったが、ある日、「助けて、私、殺される」というメッセージが未希子から送られてきて……。(第1話「2020年のロマンス詐欺」) 全3話。

     * * * * *

 軽い気持ちでつき始めた嘘。罪悪感はもちろんある。それでもだんだん引っ込みがつかなくなり、嘘に嘘を積み重ねていくことになってしまう。
 けれど嘘を積み上げて作った現実が崩れるときは必ず来る。高く積み重なったジェンガが必ず崩れてしまうように。

第1話『2020年のロマンス詐欺』
 真面目なごく普通の ( しかも偏差値の高い大学の ) 学生が、軽い気持ちから悪事に手を染めてしまう。まさに今、社会問題にもなっているだけにリアリティを感じる話でした。
 そもそも少しでも怪しげなものには手を出さなければいいと思うけれど、解放感や欲求不満などの精神的な要因が大きいのだろうなあ。気持ちはわかる気がします。そのあたりはさすが辻村深月さんでうまいと思いました。

 でもラストはこれでよかったのかと、少し疑問にも感じました。

 耀太の起こした不法侵入ならびに暴行事件。コロナ禍のストレスによる犯行と解釈され、被害者とは示談が成立して耀太は不起訴処分。前科がつかなくて何よりだったとは思います。
 だけど根本原因のロマンス詐欺が表沙汰にならなかったため、詐欺組織は無傷なままです。

 耀太が事情をきちんと話せば、少なくとも甲斐斗は逮捕され、一時的であっても組織は鳴りを潜める。その分、詐欺被害者は減ることになります。 ( もちろん耀太の前途は閉ざされ両親は地元で商売ができなくなる可能性も高いのだけれど。)

 そこのところに多少ひっかかりは感じるけれど、これから詐欺被害に遭うかもしれない人々よりも、耀太とその両親という確実に人生を損ねる人たちを守るほうを優先してのラストなのでしょうね。

 耀太には悪夢のような経験でしたが、一華という首都圏で初めての ( ほどなく彼女に発展しそうな ) 友だちまでできて、見事なほどのハッピーエンド感に笑ってしまいました。 ( こんな展開は嫌いではありません。)
 胸をなでおろした第1話でした。

第2話『五年目の受験詐欺』
 専業主婦の多佳子にとって2人の息子の教育に賭ける気持ちはわかるし、希望する中高一貫校に合格させることが最重要ミッションだと思ってしまうのも当然だとは思います。
 それでも怪しげな「事前入試」話に飛びつくのには共感も同情もできません。 ( そんな過保護でどうする⁉ )

 詐欺師は口が上手い。それが詐欺師としての生命線だからです。
 だけど、どんなに立派で魅力的な口上を述べ立てても、金銭の話を出してきたところで疑うべきでしょう。100万円は安くありません。

 ただ詐欺被害者に寄り添う決心をし、夫の横暴に気づいて離婚も覚悟した多佳子の真の自立、さらに多佳子に自立を促すまでになった頼りなかったはずの次男の成長を描く結末は、とても気に入りました。 ( その後の家庭崩壊は考えないという前提ですが。)

第3話『あの人のサロン詐欺』
 ストーリーにかなり無理があると感じたのがこの第3話。
 そもそもシナリオライターの専門学校でも才能の欠片すら見せなかった紡に人気漫画家の谷嵜レオの代わりが務まるものなのでしょうか。

 言うのは自由です。ネット上でなりすまして御託を並べるのも勝手でしょう。専門学校時代にレオと知り合いだと周囲に嘘をつき続けたように、許容の範囲だと思います。
 
 けれど、オフ会を主宰してファンの前に姿を晒し、彼らの原稿を添削したり講評を加えたりできるものでしょうか。必ずボロが出ると思うのですが。
 さらに親にまで自分は谷嵜レオであると嘘をついていますが、これも不自然です。編集者が訪ねて来ることも、確定申告をしているフシもない娘に対し、疑いもしないなんてことは考えられません。

 まあ見方によっては、この第3話で紡のついた嘘で固めた世界が最も危なっかしいジェンガタワーであり、読者をハラハラさせる作品ではあったと思います。

 ああそうそう。作中にチヨダコーキがほんの少し登場していたのはうれしかった。


 3話とも中盤までイヤミス調でジリジリさせられながらも、きちんと伏線回収していき、終盤で最悪の事態を免れてああよかった!となる辻村深月さんらしい作品でした。

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2023年10月22日

購入済み

作品「嘘つきジェンガ」は未収録

 ジェンガの文字は、この作品の本文には出て来ません。「嘘つきジェンガ」なる作品も、この本には収められていません。

 「ジェンガ」を検索してみると、積み木で作られたバランスゲーム。具体的な姿は、検索してみれば、直ぐ出て来ます。装丁は、このゲームに由来すると思われます。

、この題名に最も相応しいのは、最後の「あの人のサロン詐欺」でしょう。この短編集所収の作品名が「○○詐欺」の形のものばかりである事から、作者の「もっとひねった題名にしたかった」との不満が、この短編集の名に凝縮されている様に思えます(笑)。

 本書は、詐欺を題名に付けた3編から成る短編集。3編は、それぞれ「オール讀物」を初出とするもの。長さがほぼ一緒である事から、長さを指定されての依頼と推定出来ます。3編の題名を記すと、

2020年のロマンス詐欺(オール讀物 2021年1月号 初出。2021年6月に文藝春秋から刊行された「神様の罠」にも所収)

五年目の受験詐欺(オール讀物 2022年6月号 初出)

あの人のサロン詐欺(2021年9・10月合併号 初出)


 もしかして、「嘘つきジェンガ」は、小説家としての辻村深月 本人を指しての自己評かな、とも思ったりもしますが、それはうがち過ぎの解釈でしょうね。



#泣ける

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2022年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

詐欺にまつわる3つの中編。
詐欺にあったり、逆に詐欺に加担したり。
どれもこれも現代ならでは。
どこかでホントにありそうなお話も。

3つ目の話、いつバレるかとドキドキしながら読み進めた。
ラスト、救命士の伏線回収がおぉってなりました。
ある意味、自分に救われたね。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

昔どハマりしていた辻村深月さん。
こちらタイトルは知っていたもののなかなか機会がなかったんだが、今回縁あって手元にやって来たので、久しぶりに読んでみた。

ロマンス詐欺、受験詐欺、個人サロン詐欺についてのオムニバス3編。
通底するテーマは、
とある状況下でどんなに人生終わった、詰んだ、と思っても、意外と人生は続くしそう簡単には終わらないんだよ、ということなのかな。

昔からそうなのだが、辻村さんの文章は引き込み力が凄まじい。
冒頭数行で物語の世界に没頭させられてしまう。
文章がすこぶる上手いというのは前提として、読んでいてキャラクターに共感しつつもちょっとイラっとしたり、反発したくなるようななんとも表現し難い人間のリアリティが初っ端から上手い具合に散りばめられており、あれよあれよと物語の世界に引きずりこまれる。

今はもう懐かしくも感じるコロナ禍のあの雰囲気の中、第三者から見ればそれでも恵まれてるんじゃない?と思われる状況に苛立ったり焦ったりする気持ち。
出来事の渦中で直接的には関われない、コントロールできない中で、だけどじっとしてもいられなくてもどかしく募る思い。
何者かになりたくてでもなれなくて、そうなれない理由を外に求めて閉じこもっているうちに肥大した自意識で身動きがとれなくなる感じ。

どの物語も、いま目の前の事象に対処しようと焦り、どんどん視野狭窄になっていく人間のリアリティが迫ってくる。
これぞ辻村深月だなぁ…。

そしてその現実にそのまま押し潰されるだけでは終わらないところも、
まさに辻村深月。
読んでいる最中はあんなにモヤモヤさせておきながら、読後感が良いの、やっぱり好きだわ。

手に取れば間違いなく面白い。
久しぶりに他の最近の作品も追ってみたくなった。


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2024年04月30日

Posted by ブクログ

詐欺は騙す側が悪いのは当然、その前提でうまい話を疑わないために人は騙される。疑った上で騙されることもあるかもしれない。被害者の弱みや不安につけ込む行為は許されない。嘘をつき通すことは不可能に近いと誰しもわかっているはずなのに人は嘘をついてしまう。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ



1つ目と2つ目の詐欺の話は、「まあ、そういうこともあるかなあ」という受け止め方だったけど、
3つ目の話は到底理解ができない内容だった。
怖い怖い。

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

3つの嘘のお話

ロマンス詐欺では闇バイトに引き込まれていく耀太になぜわからないのかと思ったけど、実際もそうなんだろうなと思いました。人が良いだけに引き返せなくなり、自分も騙されている事に気が付かないんだと。

受験詐欺では子どもを信じきれなかった母が騙されてしまうが、子どものためと思っている事が実は違っている事が多いんだろうな思いました。受験という魔物?が大貴の本当の良さを母には見させなかったのかな〜

サロン詐欺の紡がバレないかヒヤヒヤしました。「子ども部屋おばさん」にいるいる!と。自分の子どもには自立して欲しい反面、近くにいて世話をしたいという子離れできない私(親)も。

適度な距離が必要だと思いました


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2024年03月20日

Posted by ブクログ

ざっくり言うと
ロマンス詐欺、中受の裏口入学詐欺、オフ会詐欺
の短編3本。

自分にとって辻村深月の作品は評価が二極化することが多いのだが、この作品は楽しく面白く読めた。

エンタメとして読むと非常に面白かった。

特に良かったのはオフ会詐欺の《あの人のサロン詐欺》。
理想と現実、見栄、虚栄心、承認欲求。
人間が多かれ少なかれ誰しもが持つダークな部分を巧みに描いている。


全編を通して、それとは気づかないうちに、または怪しいかもと薄々思いながらも

取り返しがつかないところまで追い詰められていく様は、著者の筆遣いが冴えていて《面白く》読んだ。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どのストーリーもこの先どうなるんだろうとハラハラしつつ、不穏な前半の展開が最後に丸く収まる感じが良かった。
ただ、3編目の子供部屋女だけは本当に好きになれない!オーディブルのナレーターさんが絶妙に嫌な感じで読むのが上手かったから、なおのこと。 

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2024年02月20日

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