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少年犯罪、貧困、毒親、虐待、障害……様々な理由で問題を起こし、家裁を訪れる少年少女や保護者たち。
少年係調査官である庵原かのんの仕事は「臨床の専門家」として、彼らの“声なき声”に耳を傾けること。
家庭や学校、社会が抱える問題にぶつかりながら、かのんはどんな人間に対しても諦めず、生きる力を信じて正面から向き合う――。
一人の若き調査官を通して〝家庭〟の在り方を問い、救済を描く感動作!
小説とは言え酷い親の多いこと!
一人の人間を育て上げるのは大変だと改めて思う。
ゴリラ飼育員の彼氏が良い味出している
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さまざまな問題を抱えた少年少女たちと日々対峙する家裁調査官。
いやこの仕事ハードすぎない!?
問題の種類も様々で、あっさり解決とは行かないケースばかり。そのへんに現実感がある。
蘊蓄もおもしろかった。知らないことがいっぱいある。
シリーズ化したらいいなー。
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家裁調査官・庵原かのんシリーズ 第1弾
・自転車泥棒
・野良犬
・沈黙
・かざぐるま
・パパスの祈り
・アスパラガス
・おとうと
北九州の家裁に赴任して3年になる家裁調査官の庵原。
非行少年たちの更生の一端を担うため、面接や調査など多忙な日々を過ごす。
東京に遠距離恋愛の彼氏・栗林(クリリン)を残し、今日も東奔西走する。
家庭環境や発達障害、様々な事情の少年たちの心に耳を傾ける。
乃南さん、久々の作品。
次作も期待。
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短編が7本、庵原かのんの行動を丹念に記述した物語だが、犯罪を犯した少年・少女の本音を巧みな話術で引き出す過程で、親を含めた多くの人々と関り、これまでの経験や上司・同僚からの適切な助言等を前向きに取り入れていく姿勢が素晴らしいと感じた.スペイン語、タガログ語、英語、日本語が出てくる「パパスの祈り」が良かった.オートバイで蛇行運転を繰り返す徳永ミゲル.ペルー人の父、フィリピン人の母を持ち複雑な状況が、かのんの助言で暖かい家庭環境が取り戻せた.最後の「おとうと」では玲央とかのんのやり取りに、弟の将来を暖かい目で見守るかのんの心持が上手く表現されていると思った.それぞれの物語に出てくる対象の少年・少女へのかのんの思いやりが、それなりに満足できる結果を導いたと言えよう.
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乃南アサさんの本は久々に読んだ気がします。
家裁調査官が主人公の短編連作。
やっぱりさすが…冒頭は家裁調査官の説明で少し入り込みにくかったですが、進むにつれ惹き込まれました。
最近重めのストーリーは疲れるので…読む前はタイトルから陰鬱なストーリーだとしんどいなと思っていましたが、7つの短編連作が良かったのか(内容はそれぞれ大きな問題はありますが)それぞれのケースが淡々と描かれていて、思っていたより読みやすかったです。
現実はここまで甘くないと思いますが…『傾聴』は大事ですね。
ひたむきに少年少女と向き合って良い方向に導く主人公、庵原かのんもさわやかでしたが、動物飼育員のクリリンが要所要所で良い味出してました。
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家裁調査官の庵原かのん(イオハラ)は、 現在、福岡家裁北九州支部で働いている。
更生のため、聞くことが第一。
少年犯罪なので親に話を聞くが、その時、出産時、乳幼児の様子を必ず聞いている。通常の犯罪と決定的に違うのはここだと思う。
「パパスの祈り」が好き。
両親は互いに別の言語を話し、子どもの話す言葉はまた別。どうやって親子のためコミュニケーションを取るのか、確かに疑問。その想いを子に伝えないといけないと、かのんは各言語の通訳を呼び、親子の気持ちを伝え合う手伝いをする。
実際に家裁調査官と接した経験から、そこまでしてくれるとは思えないが、フィクションなのでまあいいかな。
こんな調査官ばかりだったらいいな。
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家裁調査官として働く庵原かのんが受け持った7人の少年の物語。事件を起こして家庭裁判所へ送られてきた少年を巡る家族と少年を観察するかのんの物語。「パパスの祈り」は父親は日系ペルー人、母親はフィリピン人である15歳のミゲル。
学校でも優等生である日本語も堪能な彼の苦悩。
普段外国籍の子供達と接しているだけにとても身近な問題と感じた。「アスパラガス」は最近増加傾向にある発達障害の少年の話。
いかに生きづらいかと想像される。
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家裁調査官は、刑事や医者のようにドラマ化しやすい職業の一つのだがあまり知られていないと思われる。ドラマ化しやすいと言ったのは、ドロっとした人間関係や個人の心の襞に触れる機会が多い職業だからで、この作品でもドラマを見ているような感覚だった。本当にありそうなぐっとくる話が続き、一番気に入ったのは最後の「おとうと」だった。2023.4.22
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聞き馴染みのない職業ですが、裁判所に努めていて主に少年犯罪に関する聞き取りや、生活環境の調査をするようです。
犯罪行為を犯してしまった少年たちが正しい道を進めるかを見守る話で、結構題材としては地味な感じがしますが、あえて感動のドラマみたいなものをそんなに盛り込まない辺りがやはり上手いなあと感じました。
淡々としているので初速は冴えませんが、読み終わってみると地味というより滋味のある物語だなあと。
少年たちが必ずしも全員いい方向に行くわけでは無いし、そもそも彼らは要所要所で話を聞いて軌道修正する人たちなので、もっと具体的に非行少年に関わる人たちの方が、ドラマは生まれやすいはず。しかも更生した後会うわけでもないので、また犯罪でもして再会しない限りは会う事も無い。結構報われない職だなとも思います。
こういう目立たないけれど重要な仕事ってこういう本で知ること多いです。
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犯罪を犯した少年たちは背景に生きることの困難を抱えていて切ない。一話完結で一話ごとに地域や季節を楽しむ食べ物が出てきて和むシリーズもののドラマのよう。
けれど「大変なあっち側と平穏なこっち側」感が否めない。
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「自転車泥棒」「野良犬」「沈黙」「かざぐるま」「パパスの祈り」「アスパラガス」「おとうと」
7話収録の連作短編集。
福岡県北九州市を舞台に少年係調査官の庵原かのんが奮闘する物語。
窃盗、詐欺、強盗致傷、売春、道路交通法違反、強制わいせつ等、少年少女達が犯した犯罪に、かのんが真摯に向き合う。
更生を期待出来そうな少年もいれば未来へ不安しか感じない少年もいる。
罪を犯した背景が明らかになる度に家庭環境と家族関係の重要性を強く感じた。
特に毒親には怒りしかない。
愛情と高い人間力で接するかのんのひたむきな姿勢が胸を打つ一冊。
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家裁調査官という仕事があることを初めて知りました。罪を犯した少年少女の様々な家庭環境…。「聴く」ことしかできないと言うけれどそれだけでこんなにも助けになる。
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家裁調査官の仕事は、「聴く」ことが仕事。
福岡家裁北九州支部の少年係調査官である庵原かのんは、ひたすら少年少女や親たちと面会を繰り返す。
そして、どうして罪を犯すことになったのか、反省しているのか、などを聞き取るのである。
生まれ育った環境や生活の様子、親の子に対する考え方、確かにさまざまである。
何が正解で、罪を犯すのを防げるのか…
難しいことだと思う。
子どもの性格を把握している親がどれだけいるのか…とこれも気になった。
ほんとうにいろんな子どもたちがいて、いろんな親がいて…でもひたすら「聴く」しかないのだなと感じた。
ただ、ひたすら駆けつけ耳を傾ける庵原かのんを子どもたちは必要としているのかもしれない。
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家裁調査官という仕事があると初めて知りました。未成年者が再び犯罪者にならないことを第一に原因を見つけていく。罪を償わせると同時に必要なことかもと考えさせられました。
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連作短編集7編
家裁調査官のお仕事小説だが犯罪がらみの少年を対象にしているのでそれぞれのケースに考えさせられることが多い。家族環境を重視して対処しているなど調査官の仕事も大変だと思った。
主人公の庵原かのんの遠距離恋愛のゴリラの飼育員、いい味出してました。
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家裁調査官の庵原かのんの活躍を描く連作短編集。
・自転車泥棒
・野良犬
・沈黙
・かざぐるま
・パパスの祈り
・アスパラガス
・おとうと
の7編収録。
長編ではないのでひとつづつの事件への関わり方がわりとあっさり描かれていますが、それが正しいか悩む姿は好感が持てました。
基本、少年事件関連を担当しているようで、お仕事小説としてはその他の家裁案件が出てこなかったのが残念です。
著者にしては重い展開にはならないのが良くもあり物足りなさもありという感じです。
主人公よりも周りの登場人物が個性的なのが印象的でした。
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乃南アサさんの本は17冊目ですが、しばらく読んでいなかったので、7年ぶり。
警察でも裁判官でもない私たちには「聴く」ことしかできないけれどー。
家裁調査官は「臨床の専門家」として生身の人間を扱い、
罪を犯した者たちと向き合うのが職務。
少年調査官として働くかのんは
家庭や学校、友人との問題などで荒んだ少年少女たちの声なき声に今日も耳を傾ける。
更生の可能性を信じてー。
ひたむきな女性調査官が奔走する姿を描く連作短編シリーズ誕生!
(書籍紹介より引用)
乃南アサさんご自身が、2014年から2期、東京家庭裁判所・家裁委員会の委員を務められたことがこの小説へと繋がっているそうで、取材に2年以上、執筆に7年かけられた小説。
韓国ドラマ『未成年裁判』を視聴した後なので、ちょっと興味がわいて読んでみることに。
ドラマ『未成年裁判』は凶悪な少年犯罪が取り上げられていたので当然、刺激的だったが、この小説では、より私たちの日常に近いところでの出来事が「事件」へと繋がっていく。
世間を騒がせるような凶悪犯罪ではないけれど、少年少女たちにとっては、この上なく大きな出来事で。
私自身がこれまで無関心でいたことに、少しだけど目を向けられたような気がしているのだが…
書評家の池上冬樹さんが近年の連作短編集について以下のように述べられていた。
「ここ数年のことだが、短篇連作が少しずつ変わってきているのではないかと思うようになった。
海外の連続テレビドラマの影響をうけてか、ひとつひとつの短篇で物語が決着するのではなく、次回以降に話が続いていて、連作全体で完結するような作りが増えて来てるような気がする。
連作やシリーズと言うよりも、シーズンという名称の方がぴったりくるような物語と人物展開が増えてきた」
”連作短編が連続テレビドラマのように”というのは、確かにそうかもしれない…、と思う。
ドラマでよく使われる”シーズン”がまさにピッタリだ。
この小説も”連続テレビドラマ”のような感じで、シーズン2では主人公の庵原(いおはら)かのんは新たな勤務地に赴くことになっているようだ。
「家裁調査官」を描いた小説と言えば…
柚月裕子さんの『あしたの君へ』がある。
主人公は研修中の家庭裁判所調査官”家裁調査官補”で親しみを込めて”かんぽちゃん”と呼ばれている青年。
こちらもシリーズ化を期待しているのだけれど…
最近、連作短編がとても増えていると感じている。
”活字離れ”、”本離れ”と言われる昨今、長編よりも短編の方が手に取りやすい…?
そんなことも関係しているだろうか…?
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全然スカッとしない。ある意味リアルだ。「どんなに頑張っても、家裁調査官の仕事はここまでだよん」と突き付けられたようだ。北九州市で家裁調査官として働く庵原かのん。真摯に仕事に向き合うかのんのケーススタディ7編。良書の類には違いないのだけれど、そんなに面白くない。ページが進まない。どの話も問題提起はしてあるもののさほど解決してないから読み物として楽しめない。キャラも悪くはないけど普通で際立ってない。似たような題材なら岩井圭也さんの『付き添うひと』柚月裕子さんの『あしたの君へ』の方が個人的には面白かった。
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家裁調査官の仕事内容が物語を通して知ることができた。物語に登場する少年少女らの犯罪は親の悪影響を受けている。罪を犯すのは子どもだが、親がその火種を作っていることに気づかされる一冊だ。