感情タグBEST3
Posted by ブクログ
天才の降臨です。
しびれました。
完全にしびれました。
冒頭の出だしの文章から
完全に天才です。
エンタメ小説ではないので
そういった面白さはありませんが
日本語に、文章に、言葉選びに
心酔できる、日本文学です。
読後感、シンプルに
「すげーな」です。
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母と娘をめぐる長い終わりの物語。
読みながら、骨の芯まで深く静かに染み込んでいくこの感覚はなんだろうか。
淡々と文字が重ねられているが、その奥底にドクドクと脈打つ人間の熱を感じる。
文中に登場する一節に象徴されるように、簡単にわかったという言葉を口にしてはいけない気がした。
鮮やかな色を放つ作品ではない。
だが、より複雑に混じり合った暗く染まった色を感じるのは悪くない。
寧ろ浸っていたくなるような引き込まれる魅力に溢れていると思う。
表現一つ一つが洗練されていて、作者の底知れない奥深さを感じた。
Posted by ブクログ
底抜けに暗かった。すごく好き。
はじめは、読みにくい文章だなと思ったけど、入り込めるとそれはあまり気にならなくなる。
母親の内面が、本当のところが、最後まで明かされなかったことが、かえってそれがものすごくこの小説の魅力に思うところだった。
主人公の名前だけじゃなく母親の名前も友達の名前もホストの名前も明かされなかったけど、この小説で唯一出てきた名前である自殺した友達「エリ」だけは何度も何度も出てくるから、これは意味のあることなのでは?と考えていたら主人公の名前がわかった気がする。たぶんだけど、「ユリ」じゃないかな。
母親がつけた火傷は、自身が嫌っていた性を売る人間に娘がならないようするためだったのか?現に火傷があるということが壁になって、性を売ること性行為に対して躊躇いがある様子。
読み終わってからも、もやもや考えてしまう小説だった。こういう小説は、ずっと残る。
Posted by ブクログ
夜の世界で働いてる人や働いてたことがある人にはすごくくるものがある気がする、何かとは言えないしうまく言葉にできないけど。でもとにかくおもしろかったしこの評価なのはなんか悲しい。もっと評価されていい本じゃないのかなあでも人それぞれだしなあと、悶々としている真夜中2時
#夏の読書感想文
Posted by ブクログ
芥川賞候補作、異例の経歴を持つ作家に興味を持ち読んでみた。
夜の街で生活し、母も昔似たようなことをしていて、でも詩を書く母。そんな母との最後の時間を描く。
鍵を開ける音、ヒールで歩く廊下の男、一方男の家は、音がしないふかふかの廊下、などと比較が上手い。
読んでいるのに情景が浮かんでくる。
内容的にはなんともいえないが、やはり知的な人の文書なのだろか、途中からは引き込まれて読んでしまった。ただ他の作品を読もうとは思わないかな…
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このところ、底辺小説ばかり読んでいるなあ。それだけ多くの人が生活そのものに困っているということか。
頭がいい人なのかしらね。くどくど説明するのは苦手というか嫌いなんでしょう。回想が突然はさまってくるから、今人物はどこにいるのか、いつのことなのか、読み返さないとはっきりしない部分がたくさんありました。
母に焼かれた腕の傷を刺青で隠し、夜の街で働く女性。病で見る影もなくやつれ衰えた母との生活。ドアの軋む音が効果的に使われている。
なぜ「ギフテッド」なのか。どんな子供も親にとっては「神様の贈り物」ってこと?まさかね。そういう世間の押し付けへの反抗なのかと思いました。いろいろ議論があるところですね。
Posted by ブクログ
美しかった母が最期を迎える
娘の腕には幼い頃の火傷の跡を塗りつぶすための刺青がある
死の匂いを感じながら、最期を見届ける娘にもまた生の熱量はない
扉の軋む音と鍵の回る音のリズムは、歓楽街の不協和音と曖昧な今日を断つ音
命の扉が閉じる音を自分はまだ想像がつかない
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景の描写が的確ですごくうまい。感情の見えないところを見せる表現。すのうまさに映画のようだと思ってしまうが映画のようだというのも不遜で、次回作(すでに出ている)を読みたくなった。
Posted by ブクログ
Podcastでオープンなトークの中にも知的な人と感じさせる涼美さんのお話しが好きでした。前回の復活SPで本書が話題になっていて早速手に取りました。母と娘と風俗店と歌舞伎町を舞台にされたきっと今まで体験された真実もあるのだろうなと感じました。
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芥川賞候補になったやや自伝的要素も組み込んだ鈴木涼美さんの処女小説。
ギフテッドが才能があるというよりも、母親につけられた火傷によって、あるところで踏みとどまったという意味でギフトであったということを示しているとのこと。
そういう意識がなく読んでしまっていた。
身体の商品化、母と娘の関係、について拡がりがありそうな小説だが、読み手を選ぶかもしれない。
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これは私が好きな私小説。
母の過剰な自意識と、読んでいても表情が読めない主人公が印象的。
マンションの扉が閉まる前に玄関の鍵を開けて部屋に入らなければいけないことや、腕の火傷の痕を指で撫でて確かめることから、ほんの少しだけ解放されるラストがとても良い。
母が娘へ押し付けた火は、母にとっては娘へのギフトだったんでしょう。
娘からすれば「なんで?」と問うてそんな答えが返ってきたら許せないだろうし、許せずに囚われたくもないから最後まで「なんでやったの?」と聞けない娘。
そしてそれは娘のなかに「女」を見出した際に母が娘に対して行う行為としてはよくあることだと思う。
実際に子の肌を焼くのとは別の形で、心にケロイドが残るような火傷を負わせるのは母が娘を守るためか、はたまた自分の存在を刻みつけるためなのか。
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ホステスとして歓楽街で暮らす「私」のもとに余命いくばくもない母親が現れ、最期の時を看取ることに。
ギフテッドというタイトルが何を指しているのか読みとれなかった。
何をギフとされたのか?母親に火傷の跡をつけられ美しい女であることを売らないようにされたことなのか。産んで良かったと言われたことなのか?
部屋の鍵の軋みの音を聞くことをルーティンとして不安定な気持ちを落ち着かせる描写が
さすがだなと思う。
夜の世界やAVの世界に身を置く高学歴な女の人の危うさをおもう。
Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
母は娘に、自分が生きられなかった女性としての誇りある生き方を望んだ。ギフトされたものは一見最低のものに見えて、母にとっては最高のギフトであった。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
第167回芥川賞候補作にして、『「AV女優」の社会学』『身体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。
⚫︎感想
母に火傷させられ、隠すため腕に刺青を入れている娘。それだけ読むと、一見ひどい母親に思うが、実はそれは長い目で見たとき、母なりに娘を守るためであった。自分の体に値段をつけ、産み育てるしかなかった母は、娘がそうならないようにしたのだった。それが母から贈られたギフトだった。
物語として過不足なくとてもよくまとまっていた。母は生き方という大切なことを言葉で語らず、娘に傷をつけるという形でのこした。そして最後まではっきりとは語らない。ドアの比喩がとても文学的だった。母は生き方そのものが詩のようで、娘にとってはわかりづらく、翻って娘の心情は丁寧に表現されていて、本当によく練られた作品だと思った。
Posted by ブクログ
芥川賞候補作だったので、いつもは読まないジャンルだが、手にとってみた。
淡々と描かれる日常描写と主人公の心情。
ここから、何かを感じ読み解きたかったが、私の感受性が鈍いのか? あまり心が動く事はなく、よくわからないまますぐに読み終わってしまった。
「わからないことを、わかっちゃダメだ」
「わかることだけを、わかりなさい」
読後、主人公の母の言葉に、うなずいてしまった。
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2022年上期芥川賞候補作品
「わからないことを、わかっちゃダメだ」
「え?どういう意味?」
「わかることだけを、わかりなさい」
…そういう小説でした。最後まで母の奥底には辿り着かず一般的な母娘関係の分析。娘の奇態さで読ませる
Posted by ブクログ
夜の世界に生きる女性が、
母親を看取る様子を淡々と描いている作品だった。
娘にやけどを負わせたのは、
母自身が女の体に値段がつくことを嫌がって生きてきて
女性らしくなった娘に驚き、
その価値を下げたのかな?とは思ったけど…
その傷を負わされて、なお母に淡々と接する姿はなかなか理解が難しかった。
母と若い頃の娘は一体だったけど、
今は距離を置いている、間には扉があるから
淡々と接することができるのかな?
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遅ればせ感想。夜の仕事をしている女性の視点で母の看取りと子供の頃からのトラウマを描いているのだが基本的には心情を綴るというよりは日常をとつとつと過ごしている情景だけが描かれている。体調が悪くなった母が最期は娘と過ごしたいと娘のアパートに転がり込んでくるところから始まり、主人公が母を避けて出来るだけ帰らずに過ごしたり、先日自殺した仲間の事をホストと話したり。そんな中心にずっと引っかかっているトラウマがじくじくと膿んで痛み出してくるような不思議な描写が続く。個人的には読後感がとてもカミュの「異邦人」のようだった。心を直接描くのではないその手法のせいだろう。
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主人公の母親が病気により、長くないと分かり、主人公の住むアパートで余生を過ごしたいというところから始まる、母親との最期までの話。「ギフテッド」とはこの小説において、どんな意味を持っているのか。母親の人生が「恵まれている」というようにもとれるし、詩人としてヒットしなかったことに対する「才能」を皮肉っているようにもとれる。
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歓楽街でホステスをしている主人公。裸になる仕事をしないのは、体に火傷を隠すための刺青があるから。
その火傷は母につけられたもの。
その母は、あと少しで病で死ぬだろう。
病院からわずかな日数、母の希望で家に招き入れたものの、急変してふたたび病院へ。
仕事をやめて、母の看病をすることに。
主人公には、死んだ友が2人いて、
その、死ともうすぐ消えゆく母を思う。
最初から最後まで湿度の高い世界観。主人公の仕事のためか、ずっと薄暗い、もしくは夜でネオンが明るい。そんな感じ。
芥川賞ノミネート作品。
芥川賞ってこんな作品多いよね。何とも言えない暗くて重くて息がしにくい。
余談ですが、
私のブックログ登録冊数、これが1000冊目でした!!
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母親から与えられた火傷の跡に娘は刺青を入れ、呪縛から逃げるように家を出る。母親の病をきっかけに娘は母の過去を知ることになり…という話。水商売の話や唐突に自死を選んだ友人の話など、共感ができるポイントは少なかったけど、こんな世界もあるだなと。
鈴木涼美さんご本人に主人公を重ねてしまうのよね
Posted by ブクログ
第167回芥川賞候補作品。
タイトルの「ギフテッド」は、「天賦の才能を持つ人」という最近流行りの意味で使ってはなさそうだ。
「娘にのしかかってくる母の重さ」を皮肉的にギフテッド(贈られた)と言っているのかな。
母の死を通しての「ダメな母Xダメな娘(by吉田修一さん)」の和解を描く。
和解というか許容?そこまで行かないか?
娘は母を受容するくらいまではできたのかもしれない。
いずれにしても少しだけ救いはある。
母が娘に贈ったのかもしれない最後の詩。
この詩が…
深いようなそうでないような。
意味があるようなないような。
ただ、極めて文学的だ。
本作品はこの詩にたどり着くための小説、と言えるのかもしれない。
母と娘の微妙な距離感がもやもやと心に残る。
Posted by ブクログ
言葉にしがたいことがふんだんに書かれていた、と感じた。
この本全体が詩であるかのような読後感だ。
なんて不器用で、孤独で、寂しくて、餓えていて。
そして、その奥にじんわりと温かい気持ちやしたたる涙、不安感が抑え込まれていて。
この母子は似た者同士だ、と思う。
鎧の脱ぎ方を忘れてしまった。そんな人たちのように感じた。
Posted by ブクログ
さすが芥川賞候補。難しいです。
作者の感性や価値観を読んでいくという感じ。
分かるような分からないような。
それが芥川賞の作品だろうから完璧に理解しようとは思いません。
美しい娘が母のように美しさを武器に生きることにならないよう
身体に傷を付けてあげるという行為をしたのか?
それをもとにギフテッドと題名したのでは。
美貌もギフトであり、母からの傷もギフトである。
そのひとつのコンプレックスが
行動を思いとどまらせてくれることがあるというのは
私自身もよく分かるので、
たしかにギフトといえばギフトだな、と。
芥川賞の作品って、考えすぎると難しくてなかなか先に進まなくて考えないで読むと訳が分からない。
Googleで解釈を調べても良いのだけど
それをすると作者に対して失礼なような。。。
とにかく難しいです。
Posted by ブクログ
買ってもらうのではなく、売りつけることを選んだ、きれいな顔と身体をしていた母。
五体満足だが人に見せたくはない身体を与えられた私は、パチンコ屋・居酒屋・飲み屋で働いてきた。男の世話にはなってない。
行方を晦ます人、自殺する人、生真面目に風呂屋で働く人。色々。
母は散り際に言い残した「自分のコントロールの及ばぬ範囲のものに惑わされるな」という旨の教え。これは腕を焼いたことの後悔の現れだったのか、或いは人が抱える矛盾・複雑さの表現だったのか。
Posted by ブクログ
最期の時が迫る母と送る娘。
湿度が高まりそうな二人の物語になるかと思いきや、あくまで淡々としていて定点カメラごしに覗いている感覚になる。
主人公が心を母親にも読者にも隠しているのか、語り切らないところがもどかしい。ギフテッド、母による火傷?強調されるドアの存在、友人の自殺、つかめないことだらけ。安易な答え合わせをしないといえるかもしれない。
煙草、香水、酒、夜の街、病院、死。むせかえるほど匂いに満ちてる。
しゃくし定規に受け止めるだけではなく、目を凝らして星座のように自分なりにつないでいけば浮かび上がってくるものがあるかもしれない。現実がそうであるように。
空気感に不思議と惹かれるものがあるのでまた読んでみたい小説。