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第167回芥川賞候補作にして、『「AV女優」の社会学』『体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年11月21日
母と娘をめぐる長い終わりの物語。
読みながら、骨の芯まで深く静かに染み込んでいくこの感覚はなんだろうか。
淡々と文字が重ねられているが、その奥底にドクドクと脈打つ人間の熱を感じる。
文中に登場する一節に象徴されるように、簡単にわかったという言葉を口にしてはいけない気がした。
鮮やかな色を放つ作品では...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月29日
芥川賞候補作、異例の経歴を持つ作家に興味を持ち読んでみた。
夜の街で生活し、母も昔似たようなことをしていて、でも詩を書く母。そんな母との最後の時間を描く。
鍵を開ける音、ヒールで歩く廊下の男、一方男の家は、音がしないふかふかの廊下、などと比較が上手い。
読んでいるのに情景が浮かんでくる。
内容的には...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月16日
芥川賞候補になったやや自伝的要素も組み込んだ鈴木涼美さんの処女小説。
ギフテッドが才能があるというよりも、母親につけられた火傷によって、あるところで踏みとどまったという意味でギフトであったということを示しているとのこと。
そういう意識がなく読んでしまっていた。
身体の商品化、母と娘の関係、につい...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月30日
これは私が好きな私小説。
母の過剰な自意識と、読んでいても表情が読めない主人公が印象的。
マンションの扉が閉まる前に玄関の鍵を開けて部屋に入らなければいけないことや、腕の火傷の痕を指で撫でて確かめることから、ほんの少しだけ解放されるラストがとても良い。
母が娘へ押し付けた火は、母にとっては娘へのギフ...続きを読む
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