【感想・ネタバレ】嘘と正典のレビュー

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Posted by ブクログ

短編は作家の実験の場であると同時に、読者からするとその作家が自分に合うか確かめる材料でもあると考えている。
小川哲さんはすでに十分面白いことは分かっていたが、これはさらに上回った。解説にもあるようにSF×文学×ミステリの装いもあり、時間を超えた物語が6つ。どれも意外な場所に連れて行ってくれる作品で『ムジカ・ムンダーナ』が個人的には一番好き。小川さんの作品は父と子がテーマとなっていることが多い。相容れなかった関係性の謎が解き明かされた時、違う景色が見える。
なんて面白いんだ。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

短編小説集とは知らず
ゲームの王国を読んで以来、小川哲さんにひかれ
全部読みたいと思って購入しました。
6作品いろんな顔をもつ話で
こんなにあちこちからよく思いつくなー
と本当に感心しました。

どこか哲学的であるところ
哲学や、外国の話が日本人が書くから
読みやすいのも魅力ではないでしょうか?

特に好きなのは
ムジカ・ムンダーナ
最後の不良
嘘と正典

SFの世界と本当の世界のギリギリのラインを
攻めるところが、現実味のある
ありえるかも的な面白さで
引き込まれました。

薄い本なので、ぜひ手にとってみて欲しいです。

君が手にするはずだった黄金について
も全然日常的ながら、SFよりではないのに
最近とても面白かったし
内容や、書き方も
幅が広すぎる、素晴らしい作家さんです!

余談
地図と拳も読みたいけど、太すぎてー
電子書籍を利用してないので
電子書籍端末を買おうか悩むくらい。
でも、まだ本がすきなんですよねー
本の匂いと、質感がたまらなく好きで
本好きの方はもう電子書籍にしてるんだろうかー??

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

Audibleで聴いた。

短編集。
表題作の、「嘘と正典」がとても面白かった。
それ以外は星4。
「嘘と正典」は、ハラハラドキドキするし、どうなるのか続きが気になった。

「魔術師」の冒頭は、怪盗キッドも同じようなこと言ってた気がして引き込まれた。

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2024年01月22日

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どれも面白かった。文庫の表題にもなっている「嘘と正典」はスケールも大きくてハラハラさせられるし、あったらヤバイという恐怖感でハマる。

全体的には父親と子供との確執とか、未来からのメッセージとか、そう言う色合いが濃かった。宗教とかイデオロギーとか、そういう色は他の作品に比べて薄めだったが、作品中に見せる音楽、手品、文化などの知見の広さ、鋭さ、そしてそれを文章にする技量の高さに、いつものように感心させられた。

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2023年11月12日

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嘘と正典(小川哲/ハヤカワ文庫)

「地図と拳」で直木賞を受賞した小川哲さんの中短篇小説集。簡潔に言えば、めちゃくちゃ面白い小説。小説に没頭して夜中まで読んでしまうということは多々ありますが、本作では読みたくて早起きしてしまいました。

勝手に分類するとミステリー1篇、家族史的人生ドラマ1篇、修辞的歴史ドラマ1篇、家族史的ファンタジー1篇、ショートショート的1篇、伝奇SFミステリー1篇の6篇。
どれも面白く読めます。その中で凄いと思ったは「嘘と正典」、「ひとすじの光」、「魔術師」。

「嘘と正典」
100ページの中篇ですが、物語の骨格というか前提が凄いです。この内容であれば、1篇の大長編小説にしてもよかったのではと思うくらいの濃い内容。冒頭の裁判シーンから結末まで、緊張が続き、読み終えた後の開放感は快感でした。

「ひとすじの光」
競馬の好きな方は必読。「なるほど、こう来たか」というのが素直な感想。昌次郎の言葉んk罪悪感を覚えました。

「魔術師」
面白いとしか書けません。

どの作品も作者の発想に驚かされます。文庫本裏の紹介文は余計です。何も知らずにガツンとやられるのが本書の正しい楽しみ方と思います。「圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する」は大袈裟ではないような気もします。

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2023年08月16日

購入済み

小川哲の多才

村上ラジオのプレ番組でのレギュラー出演で知り、地図と拳に打たれ、この作品で改めてその多才さを知りました。音楽の話も、馬の話も手品の話もみんな楽しい、小川さんを知ることができて良かった。

#癒やされる #感動する #カッコいい

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2023年05月18日

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#最後の不良
アパレル時代を思い出した。
30ページ弱やけど、これ読む為だけでも買える1冊。
#嘘と正典
面白い。600ページにしてくれても良い。
共産主義が生まれなかった世界線を考えさせられる。

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2023年01月23日

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ネタバレ

短編集。ジャンルで言えばSFなのだろうが、一般的なSF小説のイメージより文章が文学的だし取り扱われるテーマは歴史とかノンフィクションエッセイに近いものも多く、何を読んだか明確に表現しきれない。しかしとにかく面白いものであることは確かだ。特に表題作『嘘と正典』がよかった。冒頭の裁判のシーン、私が歴史に疎いためエンゲルスの名前にすらピンと来ず、《アンカー》《中継者》《正典の守護者》など謎の単語が頻出し目が滑ってしょうがないと思って読んでいたのに、読み進めるたびにあれ?これってもしかして?と気づいては冒頭を読み返し、ラストクラインが《中継者》であったことが明かされたシーンで一気に冒頭のシーンと繋がったときなどは思わず声が出てしまうほど爽快な伏線回収だった。この伏線回収の描き方はミステリーを読んでいるときの爽快感に近かったかもしれない。そしてこの物語のもう一つ面白い点が、歴史の改変が可能なガジェットを出しておきながら最初から最後まで私たちの知っている世界と何も変わっていない点にある。「すべての歴史が《正典》に向かって収束していく。」というクラインのセリフが全てであり、この壮大なSF装置があっても我々の《正典》と変わらぬ歴史となるならば、この世界はもしかしたらこの小説のような過去への通信手段を持っているのかもしれないとも思える。そんなふうに考える読者がいる外枠すらもこの小説の一端なのかもしれない。我々とは遠いところにあるはずのSF作品でありながらもしかして?と思える近さがこの作品の魅力だと思う。

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2023年01月06日

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よかった。

これまでSFものはあまり得意ではなかったが、帯に惹かれて購入。
読んでみるとどの短編も夢中になって読み進んでしまい、一度では理解できなかった箇所は何度も何度も読み返してしまった。
浅学なので知らない言葉や事柄が多く、出るたびにWikipediaで意味を調べていたのだが、とにかく作者の語彙と知識の豊富さに驚かされる。
あらゆるジャンルに精通しているからこその題材の捉え方、穿った見方がとてもおもしろいと思った。
作者のような豊富な語彙で感想を述べたいのにうまく言葉が出てこずもどかしいが、とにかくこの一冊で作者に惚れ込んでしまった。そんな一冊である。
またすぐに同じ作者の他の作品も読みたいと思う。
難しいのにするする読めてしまう、不思議な魅力のある文章だった。

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2023年01月04日

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ネタバレ

表題作「嘘と正典」は、冷戦下のソ連で、アメリカのCIAが、過去を改竄するように、時空間通信という技術を使って共産主義を抹消させようとする話で、共産主義の父とも言われるマルクスの親友でもある、エンゲルスの裁判を改竄させようとする。
エンゲルスの罪を無罪から有罪にすれば、エンゲルスは、オーストラリアに流刑となるので、その後の世界で、共産主義の概念が無くなり、ソ連という国が生まれないと感じて、CIAのホワイトは、過去を未来から変えようとした。
小川さんの作品は、SFと世界の歴史を上手く交差させて、実際にあったんじゃないかと、想像させる
ことができる作品が多いので、とても面白いし、歴史の勉強にもなるなと個人的には、感じました。
その他の作品も、一つの競走馬に自分を重ねた作家の話や(ひとすじの光)、音楽が通過、財産になる島の話(ムジカ・ムンダーナ)など、違ったジャンルのストーリーが楽しめるので、小川哲作品初心者の人に読んでほしいです。

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2022年12月30日

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ネタバレ

魔術師、一筋の光、時の扉、ムジカムンダーナ、最後の不良、嘘と正典の6つの短編。
個人的に魔術師、嘘と聖典は素晴らしかった。

魔術師
最後までタネがあるのかないのかわからない終わり方がとてもオシャレでよかった。

嘘と聖典
謎の導入から、共産主義の誕生へと繋いでいきSF超大作になっていてとてもよかった。これだけで映画が作れそう

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2024年05月07日

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SFはあまり読まないですが
ハイレベルなSFなんだろうということは分かる笑
クリストファーノーランを文章にした感じ

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2024年03月03日

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6篇の短編集。「ひとすじの光」と「ムジカムンダーナ」父親が亡くなったことにより残された息子が宿題を解く物語だと思った。「嘘と正典」が一番面白かった。最初に書かれた部分をよく覚えておくと最後になるほどと納得する。

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2024年02月18日

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初めて小川哲を読んだ。本書は短編集なのだが、ジャンルを縦横無尽に行き来し、古今東西の登場人物が出てくるのも意外で面白かった。「魔術師」は難解というわけではないのだが、理解に追いつかず何度も読み返した。そして、タイトル作の「嘘と正典」はそれこそジャンルレスで面白かった。他の作品も読んでみようと思う。

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2024年02月09日

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「最後の不良」は最近のミニマルや質素さが流行っていることへのアンチテーゼとして面白かった。確かに見栄を張らないことが素晴らしく嘘をついてアピールすることがいやらしいという価値観が強すぎる気がする。このあたりは最新作のテーマに近いかもしれない。

「ひとすじのひかり」「嘘と正典」は話の規模は違うが歴史を元にした話の上手さが面白かった。史実に枝葉を出して物語にする発想と技術がすごい。

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2023年11月26日

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この本を手に取ったきっかけは、小川さんの[君のクイズ]がおもしろかったこと、表紙のひげ面のおじさんが誰なのか気になったからだと思う。

今回の[嘘と正典]は六篇からなる短編集である。すべてSFというくくりにされるお話になっているが、全く雰囲気の違うお話となっていて飽きずに楽しめることができた。

に「時の扉」「嘘と正典」に関しては、時間を駆ける物語になっていて、タイムスリープものが好きな自分の性分もあって、引き込まれるようにしてパージをめくっていった。

最後に表紙のおじさんの正体もわかった。エンゲルスさんの共産党宣言のように、今私たちに大きな影響を与えているものは、どこでどのようにして生まれたのかについて自分は知らないことが多いなと思った。こういった影響を与えているものは何かしらの偶然から生まれたものも多く、そういった偶然がつながり、今もつながっていることはすごいなと感じた。

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2023年11月19日

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「魔術師」が最高に面白かった。小川さん天才だわ〜。ある意味「君のクイズ」に似てたかな。◇歴史上の人物が出てくるのもあり、歴史に無知なのでスマホで調べて読んだ。◇「最後の不良」で、無が流行るってあったけど、似たような記述は村田沙耶香さんの短編にもあった。リアルであるかもねー

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2023年09月16日

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本好き友人に勧められて読む。 

短編集なのにどの作品も読みごたえあり、捨て作品なしと思いました。アイデアが結構斬新です。「君のクイズ」も別の本読みにお勧めされてたけど装丁とかあんまり心動かされなかったのですが、こっちも是非読んでみようと思ってます!!

直木賞受賞作の「地図と拳」はその分厚さに怯んでいます、、。

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2023年07月30日

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資料をまとめ上げ、一片の物語に収斂させる力が凄まじいと感じた短編集でした。
それぞれ、テーマもモチーフも全然違う!

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

・久々にいわゆるところの「珠玉」の短編集に出会った、というがまずの感想。
・段々と複雑になっていくものの、読み進める価値がある。

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2023年08月03日

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小川哲さんは村上Radioで知ってはいたのだが読むのは初。何気なく手に取ったのだがどの話も完成度が高く面白く不思議なジャンルの小説だと思った。表題の嘘と正典が一番面白いのは間違いないけど、個人的にはムジカ・ムンダーナがお気に入り。

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2023年02月26日

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短編集。歴史と小説のクロスオーバーだし、エンターテイメントでもある。楽しく読めました。

時の扉

「もし何かを変えられるとしたら、それは未来ではなく過去なのです。過去はすでに存在していて、すべての存在は変えることができるのです。」


小説と歴史の似ているところ。それはどちらも過去に属していて、未来に対して書かれているということ。過去は小説も、歴史も「書き換えることができる」

嘘の正典
過去に帰って歴史を書き換えようとする人とそれを阻止しようとする人、それぞれの立場について、マルクスとエンゲルスのエピソードを使うのか。

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2023年02月22日

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「地図と拳」で直木賞を受賞した著者の2019年、1回目の同賞候補作。時間や歴史が全編を通したテーマとなっているが、解説にもある通り、まさに「ジャンル越境的」な魅力の詰まった6編。とても濃厚な短編集だった。何と言っても「魔術師」と「嘘と正典」の歴史改変ものが出色。短いけれど、流行を皮肉った「最後の不良」も面白かった。小川哲氏に従来の「SF作家」のイメージを重ねるのはもうやめようと思う。

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2023年02月04日

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SFはあまり読まないが、最初の『魔術師』から引き込まれた。タイトルにもなっている『嘘と聖典』も面白かったが、音楽が通貨になっている島の伝説『ムジカ・ムンダーナ』が好き。『ゲームの王国』『地図と拳』も読みたい。

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2023年01月12日

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短編集でした。最初のは面白かったが、意味が分からないのもあった。他の長編の本も難しかったので、私の理解が追いついてないだけだと思う。

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2024年05月16日

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この人の本を読むのははじめて。
「魔術師」「時の扉」「嘘と正典」がよかった。「魔術師」が特にこのみ。
「最後の不良」は本当に起こりそうな話だなと読んでて思った。

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2024年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難しいかった…

短編ひとつひとつにそのテーマとなるものがぎゅっと深くつまっているので、自分自身も興味があることに関しては、とても面白いが、そうでないものはちんぷんかんぷんだった。

興味の広さと深さ、両方兼ね備えたとても興味深い作家さん。

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2023年10月16日

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この人の物語には、特殊なこだわりを持った人物が登場する。
『ゲームの王国』『地図と拳』には、そんな主人公が活躍していた。

この短編集では、少し影が薄いような気がする。

それでも、筆者独特のロジックを用いて読者を魅了する。
「魔術師」「時の扉」「嘘と正典」はまさにそれ。

「ひとすじの光」と「ムジカ・ムンダーナ」は、「父と子」の物語で、「地図と拳」にもつながっている。

お気に入りは、「ムジカ・ムンダーナ」
ちょうど映画「地獄の黙示録」をみた後で、ちょっと違った影響を受けてしまった。

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2023年07月18日

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最後の不良と嘘と正典はかなり面白くて夢中で読み進めた。
競馬の話や魔術師、島の話などやけに父親を絡めた題材が多く、ちょっと飽き飽きしてしまった。

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2023年06月11日

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小川哲さん、直木賞受賞おめでとうございます。SF界から直木賞が出たのは、半村良以来の50年ぶりかもしれない。でも「雨やどり」はSFではないし、この頃から路線を変更してしまった。私の大好きな恩田陸はSF大好き人間だけど、ジャンルはSF作家ではない。とすると、小川哲さんは初めての純SF作家としての受賞なのかもしれない。一方、芥川賞は結構いるようだ。

積読、すなわち現在所有している本は、本作品「嘘と正典」、「君のクイズ」、そして受賞作の「地図と拳」の3つだが、どれから読むか迷った。「君のクイズ」は帯の紹介文がうるさく、「地図と拳」は分厚いので、まずは本作品から読むことにした。直木賞候補作品でもあるし、短編集なので読み易いというのも選択した理由。

全体を通した感想は、SFの境界線、かろうじて境界線内に留まっているという位置付け。ならば、他の二冊も同じような感じなのだろうか。これから純文学の方に思いっきり舵を切るのだろうか。疑惑は深まる。

いずれの作品も人の心の動きを緻密に描いており、甲乙つけ難い六作品となっている。強いてベスト作品を選ぶなら、やはり時間SF、パラレルワールドの「噓と正典」だと思う。あと、どの作品か忘れたが、人は死んだら記憶を失ってまた他の人間に生まれ変わるという考え方、これは私が子供の頃に信じていたもの、そのものであり、ちょっとびっくりした。その亜流ではあるが、最近のテレビドラマ(ブラッシュアップライフ)でも人から人への輪廻を取り上げていた考え方。これは伴名練から借用したか?一方、手塚治虫の火の鳥では、様々な生物に生まれ変わるタイプの輪廻転生で最後に人間に戻るのだが、やはり実際?は人間のみで廻して欲しい。

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2023年02月15日

Posted by ブクログ


「魔術師」読んでるこちらの集中力の問題のような気がするんやけど、肝腎要のトリック周りがよく分からず。まぁ分からんなりにオモロいねんけど。
「ひとすじの光」これはさほどトリッキーでもなく、言葉悪いけどさほど盛り上がることもなく。
「時の扉」これもちょっとハマらず。こちらがナチ絡みってだけで違うモノ期待するのは勝手やねんけどな、けど、、
「ムジカ・ムンダーナ」全体的に春樹感。どこがとか言えないけど「国境の西 太陽の南」みたいな。「カフカ」以降春樹から離れてるけど、「国境の西〜」は一番好きやし、コレも好き。一人っ子だからかも知れんし、関係ないかも知れん。
「最後の不良」コレどっかで読んだ気がするけど、どこやったか。その時からオチは何となく予想ついたけどそれで値打ち下がるわけではなく。
「嘘と正典」後半の展開が急でちょっとついて行くのが大変なところはありつつもオモロい。KGBもうちょっと出番ほしかったかな。

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2022年08月04日

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