【感想・ネタバレ】スタッフロールのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

難しくてよく分からないところも多く、特に後半の中盤はなかなか進みませんでしたが、終盤はいっきに読まされ、さすが深緑さんでした。「名前を残したいと憤っていた時期もあった。でももう、またか、と失望したくない」…分かります。私も同じでした。既に人生のそのような時期は過ぎてしまいましたが、春の今頃は少しだけ心が揺れます。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

特撮映画好きの俺にはもうたまらん1冊、ディズニーの「不思議の国のアリス」から「スパイダーバース」まで実在の映画と実在の映画関係者がもりだくさん出てくることでリアルさもバッチリ。

これがヘタな小説家だと現実側に気圧されてスカスカな小説になりがちなんだが、そこは深緑野分、きっちり小説世界にのめりこませていただけます。

面白い映画、面白い特撮ならアナログな造形特撮もCGもいいもんだ、と俺たち観客側はおもいっきり楽しめばいい。ただ製作者側には特殊造形なら特殊造形の、CGならCGのこだわりがあるのは当然。自分の技術に全霊を込めるからこその葛藤と映画愛、もどかしいけど素晴らしい。

映画と特撮への愛がメインテーマなので惚れた腫れたは最低限って振り切りっぷりもいい。
そして何より、世界でもイチニを争う原始的な「紙に文字を書く」というアナクロ表現でこのテーマを小説にした作者のすごさ。

アナログでもデジタルでもオワコンなどない。良い作品か楽しいか感動できるか…それがエンターテイメントなんだと!

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2023年04月06日

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特殊効果を思考錯誤しながら開発していた時代からCGへ。アナログからデジタルへと発展していった映画の世界を舞台に80年代の特殊造形師のマチルダとその30年後のCGアニメーター、ヴィヴィアンの活躍がそれぞれ描かれる。現実の映画や監督達の名が次々挙がっていて嬉しい。幼い頃に見た黒い犬の怪物に魅せられ、女だてらにハリウッドでの特殊造形師の道に進んだマチルダ。アニメーターとして天性の目を持ち、ロンドンのスタジオで仲間達と日々充実した日々を送るヴィヴ。二人が生き生きと描かれているので腕は評価されているのに個人名が出ない悔しさや、高評価に萎縮したりといった苦悩、新しい技術に慄いたり、新しい技術が世間に貶されたりといった感情のうねりが真に迫ってくる。マチルダ章が時代とはいえ色々じめじめしていたのでヴィヴ章になり二人が怪物“X”が橋渡しとなって交錯していく展開のスピード感や、素敵なラストはとても心地良かった。

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2023年02月04日

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昔から好きなSF系の映画の話題が出てきたり、モチーフになっている監督を思い浮かべたりすることができ、ワクワクしながら読めたというのが読後の第一印象です。

物語は映画づくりをテーマにして、自分が何のために仕事をしているのかということと、形(技術)が変わっても引き継がれていく想いが描かれていると感じました。

映画自体にあまり関心がないと出てくる内容についていけない場面はあるかも知れませんが、私自身は楽しく読めたので⭐︎5にしました。

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2023年01月02日

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映画、特にファンタジーやホラー、アクションその他
造形やCGの関わる映画は、
ほとんど見ません。
それでも、この小説は面白かったです。

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2023年06月08日

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時代を超えて2人の女性クリエイターの想いが重なるラストはとてもよかったが、アニメ作りの専門的なところなど、読みにくいところもあった。確かにアニメやCG映画のエンドロールにはものすごく沢山の名前があるので、それらの作品の裏にはクリエイター達の苦悩や苦労があるんだなと改めて考えさせられた。

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2023年03月30日

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全470頁。それぞれが長編と言っても良さそうな2部構成の作品です。
1986年以前を描く前編は映画の特殊造形師を、2017年以降を描いた後編は3DCGのアニメーター(動きをつける人)の二人の女性が主人公。どちらもかなりの能力を持っているものの自信がなく、制作陣の一員です。そうした現場でもがく主人公達の視点から垣間見られる映画製造の世界や、過去の名作/名監督の評価はなかなか面白く。後半に出てくるミステリー要素は、なかなか良いキャラが引っ掻き回して期待したのですが、竜頭蛇尾というか大山鳴動して鼠一匹の感があります。
特に後半ですが、仲間内のやり取りを専門用語で説明している所が沢山あって、読み飛ばすしかなく、それが冗長感につながっているように思います。例えば主人公の傍に業界外部の人を配置し、そこに説明する形でも取ればもう少し読みやすかったのかな~と思います。とはいえ、なかなか読み応えのある作品でした。さらに映画好きなら堪らない作品でしょうね。

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2023年02月18日

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戦後ハリウッドで奮闘した特殊造形師と現代CGアニメーターの話。

フィクションではあるものの、実存する作品や人物の話も混ぜながら映画製界を描写する所が映画好きとしては楽しい。随所に映画愛が感じられる小説で、製作者側でもなんでもないのにいちいち泣きそうになった。

派手な展開はあまりないけれど、静かに染み渡るようなラストは見事。

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2023年01月07日

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アナログからデジタルへ移行した映画の過渡期の物語。
専門用語が多くて入り込めないところもあったけど、懐かしい映画のタイトルや人物名でしみじみ。
読んでる時は着地点はどこ?と心配しながら読み進めていたけど、色々繋がってまあるくキレイに着地した!

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2022年12月12日

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スタッフロールに名前が載るのは相当嬉しいらしい。知り合いに携わった作品を聞くと必ず「○○をやった。スタッフロールに名前も載った。小さいけどね」と満面の笑みを浮かべて話してくれる。本作品を読んで、スタッフロールに名前が載るのは名誉であるとともに載らない縁の下の力持ちに思いを馳せた。私は映画でスタッフロールを観るのが好きだ。知り合いを探す意味もあるし、日本人アーティストがどれくらい活躍しているのかも分かる。おまけ映像のサプライズを見逃さないためもある。

私はCG制作に数年ほど携わったことがあり、作品で描かれる現場の慌ただしさや用語は理解できている。でも一般人には理解できないものが多そうだ。IKとかFKという単語を解説なしに使っているが、日常生活で登場しない用語は簡単な解説があるといいのになと思った。映像制作を理解できる人はかなり面白く読める。

IKはインバース・キネマティクス。FKはフォワード・キネマティクス。どちらもCGキャラクタの関節の動かし方。IKはCGキャラの指先を動かすと、連動して腕や肩が動く設定ができるもの。FKは連動しなくてここに動きを設定するもの。

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2022年11月07日

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ネタバレ

第167回直木賞候補作。70年代の特撮から現代のCGの世界まで、まぁよく調べ、取材したものだと思う。ラストの余韻を残す終わり方に静かな感動がこみあげてくる。

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2022年09月05日

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映画の特殊効果という表現に魅入られて、スクリーンの裏側の沼にはまり込んでいく世代の違う二人の女性の物語です。どうして作者はこの主題を選んだのだろう?と、思うくらいに小説としては新鮮な主題でした。ハリウッドをに吹き荒れたマッカーシズムからコンテンツビジネス全体をNETFLIXが席巻する現代ちょっと前までの大河小説ですが、二人の主人公によって二つの時代の断絶が描かれています。ひとつは特殊造型というクラフトに対する愛とCGという映画が獲得した表現方法の壁。もうひとつは男性がやる仕事の中に女性が入っていくのがハードだった時代とその性差がなくなった時代の壁。それぞれの断絶があるからこその映画のSFXに対する、いや映画の想像力に対する狂おしいほどの熱情は世代を超えて繋がれていくというテーマを感じました。全然関係ないけどadidasのimpossible is nothingキャンペーンの初めのモハメド・アリvsレイラ・アリのフィルムを思い出しました。二人の主人公のパッションと自己肯定感の低さが強烈です。獲得すべき自己肯定のシンボルとしてスタッフロールに名前が載る、ということへのこだわりがふたつの時代を繋ぎます。米ハリウッド版『GODZILLA』にinoshiro hondaの名前がクレジットされた時の感動もそうだし、今年のシン・ウルトラマンのオープニングでシン・ウルトラQのタイトルが出て来た歓びもそうでした。「巨人の肩の上に立つ」、これは物理学だけの話ではなく、すべてのクリエーションのテーマなのだと思います。ところで、ふたつの壁、以外に小さな壁をもうひとつ。海外の映画界を舞台にしたアメリカ人、イギリス人の主人公の心の動きを表現にするという日本の小説が挑んだ挑戦も面白いと思いました。でも、ベルサイユのバラ以来、これも日本のクリエーションのお家芸かも。

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2022年08月24日

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特殊造形とCGの世界を2人の女性を中心に描いている。前半はあまり入り込めなかったけれど、後半から引き込まれた。特殊造形やCGのことが細かく描写されていて、映画の裏側の世界を垣間見た気分になる。CGへの偏見を私も持っていた。考えを改めました。携わっている皆さん、お疲れ様です。そしてスタッフロールに名前が出ることの大きな喜び。

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2022年08月14日

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特殊造形とCGそれぞれを極めた二人の女性の運命的な邂逅を物語の中心に据えながら、1968年製作のスタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』を嚆矢として70年代以降現在に至るまでに一気に隆盛を極めたSFX映画の歴史を辿る。米国で現地取材して執筆したのかと思わせるほど違和感がない出来映えだが、実際は多くの日本の業界人たちの協力を得たようで、作中人物に一度ならず二度もこの国の閉塞的な状況を告発させている辺りはある意味では作者からの恩返しかもしれない。

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2022年08月11日

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ネタバレ

前編後編共に、惨めで卑屈な感情が渦巻いていてかなりきつかった。Xの生みの親をクレジットするかだけでここまで引っ張り、社長の妄想と破天荒老婆のせいで現場は大荒れ…素人ながら大きな仕事が絡んでるのにもう情報管理とか現場統制どうなってんのと呆れる。普通にマチルダに意向を聞ける人がいたはずだけど…。
とはいえ才能ある人がどうしても他人と比べて自分の仕事に自信が持てずに自爆しかけては持ち直す、というようなことは見たことがあって、二人の主人公は応援したい気持ちで最後まで読めた。

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2024年04月27日

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映画好きな自分としてはかなり気になっていた深緑さんの作品。女性の特殊造形師として黎明期から映像に携わってきた女性、マチルダとCG全盛の現代で葛藤する女性、ヴィヴィの邂逅の物語。深緑さんの丁寧で安定した取材力とそれを余すことなく活かす筆力はお見事。2人の女性主人公含めキャラの使い分けも上手く淡々とした展開でも飽きずに読める。ちょっと残念なのは展開がよめやすすぎるかな、ということくらい。後、終盤のキーになるキャラの繋がりが出て来るのを見逃していた自分にげんなり。人間賛歌という文言がピッタリな作品だ。

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2024年02月21日

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うーん
主人公が変わったところから、彼女がメンタルの調子を崩すほどの悩みに入り込めずに後半はちょっと残念な感じ

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2023年10月08日

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ネタバレ

何が書かれてる本なのかあんまり分からなかった。お仕事小説?マチルダパートは嫌いじゃなかったのだが。CGのことを分かっていない人間の感想かも。

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2023年04月29日

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確かに今どきのCGだらけの映画は想像したものを余すことなく映像化するという意味ではいいんだろうけれど、そしてとても素晴らしい世界が広がっているとは思うけれど、私は一昔前の手作り感が残る映画の方がなんとなく好きなんだよなあ・・・

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2023年04月09日

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前半はそれなりに面白く、途中で場面が変わりなんだか前半の消化できなかった部分を抱えながら読んでいくと最後に話が繋がっていく。アメリカの映画の造形師とVFXの歴史に興味が無ければ全く面白く感じないかもしれないが、私は後半の話がつながっていく所からがぜん面白かった。

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2023年04月07日

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0を1にする人はすごい。仕事ならなおさら。
女性が映画業界で働くのが難しい時代に食らいついて弟子になり地道に努力を積み重ねていくマチルダ。
自分の中に作りたい作品があり表現できるまで技術を磨く。しかし、CGという新たな壁が。
CGを作るヴィヴも技術を高めるため努力を惜しまない。
アナログとデジタルどちらがいいとかではない。どちらにも裏で作っている人間がすごいのだと思わせてくれる作品でした。

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2023年02月09日

Posted by ブクログ

映画のCGがもたらしたものとは。
特殊造形師のマチルダはCGにより、映画が変わる事を直感し、映画界を去った。
CGクリエイターのヴィヴは、マチルダを尊敬していた。それゆえにマチルダがCGを嫌っていた事実に打ちのめされる。

3人の女性はそれぞれ映画にどう関わっていたのか、が違うのだが、スタッフロールに名前が載ることの意義を理解していたのは、やはり女性だからだと思う。

SF映画好きにはたまらないと思う。

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2023年01月16日

Posted by ブクログ

マチルダとヴィヴィアン、時代を隔てた2人のクリエイターの物語。マチルダパートは第二次世界大戦後からベトナム戦争という大きな時代の流れも組み込まれ、映画業界も目まぐるしく発展していく中でのストーリーに心掴まれるものがあった。ヴィヴィアンパートは現代の映像業界のテクニカルな部分の説明が多く難解な専門用語に読み進むのに難儀したところはある。でも知ってる映画のキャラがたくさん出てきたのでそこは興味深かった。

調べに調べたであろう業界の技術的な部分、スタッフ達の想いや心理を汲み取り深い考察で書かれた本書は内容以上の重みを感じた。作者には感服する。

ポサダ監督はギレルモ・デル・トロ監督をイメージしたのかな。

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2022年12月11日

Posted by ブクログ

専門用語は全く分かりませんでしたが映画を見ているような気分になりました。
特撮でもCGでもいのちをかけて作っている作り手がいることは同じ。
苦労の方向性は違ってもある。
私はどっちも、好き。

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2022年12月04日

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マチルダの章は読みやすかったけど、ヴィヴの章は専門用語が多くてなんだか読むのに手間どった。最初から映像向きの小説だった。
ちょうどスラムダンクのアニメ映画化で声優が変わったりして騒ぎになってたこともあって、過去の人気作品をリメイクする側のプレッシャーってこういう感じなんだろうなというのが感じられた。
ハリポタやピクサーの映画ってエンドロールが異様に長いなって思ってたけど、携わる人がそれだけ多いことってことなんだから当然のことだなってちょっと考え直した。

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2022年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

期待して読み始めたのだが、ちょっと難儀した。特殊造形師やCGクリエイターの世界を覗き見ることが出来るという意味では充分に面白かったのだが。筆に興が乗りすぎたのか、若干上滑りに感じるところもある。

一般の人が映画を観る際には、それが特殊技術かCG化にはあまり拘りはなく、面白いかどうかなのではないかと思う。少なくとも私はそうなので、CGクリエイターのヴィヴの悩みが表面的でナイーヴすぎるのでは?と思ったり。登場人物たちも「漫画」的と感じてしまった。

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2022年11月09日

Posted by ブクログ

マティとヴィヴ、二人の女性の人生を通して伝える映像技術の変遷。懐かしいなぁ、『スターウォーズ』が封切られるや劇場に走り、ルークが駆るランドスピーダーが浮いてるだけでたまげてた。夢の特撮てんこ盛り。なるほど、役者に宇宙人メイクしたり、セットを設えたりする人を特殊造形師と呼ぶのね。あれから半世紀足らず、もう「不思議だ、どうやって?」なる感動はなく、ひたすら斬新な創作力を求めるばかり。CG全能時代に、積み上げ身に付けた職人技は用なしか。そこに生じる憤りや挫折。テーマとしては面白いんだけど、う〜ん、今一つってか…。だいたい洋画のスタッフロールってやたら長いけど、あれがかくも栄誉なんだ。外国人作家の小説の後書きにも、お世話になった人たちがずらずら綴られてるもんなぁ。

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2022年10月20日

Posted by ブクログ

3.5
現代の映画界…
特にSF作品では当たり前に駆使されているCG技術。

戦後のハリウッド。
それまでの特殊造形士の独壇場から、
CGクリエイター達との凌ぎを削る競い合いへ…。

後から来る者の迫り来る足音によって、
時代の変化を否応無しに思い知る恐怖。

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2022年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1970〜80年代の特撮映画ネタがあれこれ出てきて懐かしい(笑)。
特撮とCGのせめぎ合い(?)というか、CG側の後ろめたさ(?)が、なんとなくわかる(?)ような気がして興味深い。

でも、ヴィヴがオスカー取り損ねてメンタルにきてる?というところは、正直、今ひとつピンとこなくて。

そもそも、その映画のキャラクター造形を任されているとはいえ、勝手に一人でモデルを改造して、改造した本人は消えたのに置き去りにされたモデルがそのまま映画キャラクターとして採用されるとか、それが30年も経ってからリメイク版のスタッフロールに載るとか、映画作る現場って、そうなの?とその設定にピンとこなくて。

映画好きなら楽しめる作品かな、と思いました。

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

虚構なのだが、いろんな名作映画のタイトルが出てくるので、まるでノンフィクションのような味わい。逆に、どこまでが真実でどこが創作なのかが判然としない。

とはいえ、綿密な取材に基づくリアリティ満天で、ボリュームもあって読みごたえ十分な大作だと思う(ページが多すぎて、途中、斜め読みになってしまいました)

エンディングがちょっとあっけない。もう少しドラマティックな展開を想像してました。

<おまけ>
最後の方のレンダリングの場面を読んで、自分の家のPCでもレンダリングプロセスを走らせてみたくなってしまいました。

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2022年08月12日

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