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「さいはての家」を読んで、こういう設定の小説初めて読んだ、と思っていたら、次に読んだ本作の設定もほぼ同じでびっくり。
1軒の家が舞台の連作短篇集。章によって住む人が変わって、そして最後につながっていく。
うつくしが丘という住宅街にある3階建ての一軒家。中古住宅のそこを購入し、美容室兼住宅として改装して住み始めた夫婦の物語からスタートする。
隣家に住むのは宮本さんという上品な老女。家と家のあいだに、立派な枇杷の木があった。
隣家の宮本さん、そして枇杷の木がこの短篇集の鍵となる。第1章と最終章がつながり、その間の3つの章もまたその2つをつなげるためのヒントがたくさん散りばめられている。
ミステリではないけど、謎解きっぽくも読める。章の時系列もバラバラなので。
私も中古の借家に何軒か住んだことがあるけど、前の住人の気配というか、片鱗みたいなものを感じることは多々あった。怖い意味ではなく、庭に植わった植物から「緑が好きな人だったのかな」とか、隠れたところにキャラクターのシールを見つけて「子どもがいたのだろうな」とか。
当たり前だけど住む人が変われば家族形態も状況も家の使い方も違って、とある理由から舞台となる家が「不幸の家」と噂する人もいたのだけど、実際は…という物語。
そしてどの家族にも、隣の宮本さんは穏やかに関わっている。
新しかった家はいろんな家族のいろんな思いを通り過ぎながら古くなり、いつか使えなくなり朽ちていく。
たまたまだけど家にまつわる物語を連続で読んで、自分もその歴史の一端なのだな、と思ったりした。
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一つの家に歴代住んできた人たちの話。
辛い、苦しいからの幸せの短編集
とても良かった。
けれど辛い部分も多いからこそ、最後はもっと良いところを続けてほしかった。そこが少し不完全燃焼。
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しあわせは人から貰ったり人から汚されたりするものじゃない。
不幸の家と呼ばれる一軒家に住んだ人々の物語が短編集のようになっている。前の住人へと遡る形で物語が繋がっていく。
最後に譲と惣一が再開する場面が感動的で、じんわり心が温まる小説だった。
特にさなぎの家が泣けた。
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一軒のお家にまつわる短編集?的な構成
どの話も読み終わると「あぁ良かったぁ」って思える優しい物語です
お隣の荒木さんがその後どうしているのか気になるところです
幸せは他人がどうこうではなくやっぱり自分なのよね
そして、今の私達は幸せになるための途中でしかない
うんうん。
荒木さん、素敵なおばあちゃんです
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うつくしが丘に建つ一軒家に住む色んな家族のお話の短編集。
夫婦で美容院を始めるために越してきたのに不幸の家と呼ばれていることを知り落ち込んだ女性や、子どもたちと夫との距離を感じる主婦、学生時代の友人同士で住むことになった2人など、悩みを抱える家族が、うつくしが丘の家で暮らし、時にお隣さんと交流する。
どのお話も、うつくしが丘の枇杷が植わっているあのお家に住んでいた(いる)ことが共通していて、家目線でそこに住む人々の歴史を見ているようだった。
お隣さんとの交流や、庭に植えられた枇杷の木のお話がとてもよかった。短編同士がつながっているの、面白い
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色んな事情である一軒家を出ていく4つの家族の物語。
住人が変わっても温かく見守っている隣人のおばあさんの言葉が印象的。
・しあわせは人からもらったり汚されたりするものじゃない。自分で作り上げたものを壊すのも大事にするのも自分にしかできないことで、他人に左右されてダメにしてしまうのは勿体無い。(でもしあわせは人からもらうこともある。←それを聞いた一人の住人の返しも印象的。)
・だれにどんな事情があるのか、どんな理由でそうしたのか、簡単にはわからない。自分でまず色々経験し、そして何度となく想像を巡らせることでようやく真実の近くまで辿り着ける。
(←自分自身に関していえば、その考え方が強すぎて人に対する発言が慎重になりすぎることはないように。もう少し自分が思ったことを思い止まらず発信しても良い。今の段階では、少し言い過ぎかも?と思うくらいの発言がむしろちょうど良いくらいかもしれない。)
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人の感情の浮き沈みや温かさがよく出ていた本だったと思う。物語自体の設定や内容、終わり方はもちろん良かったがこの手の他の本と比べて感じたのは、小さなことで目の前の状況は変わるという事だった。
大きな出来事だけでなく、些細な誰かの一言や自分の認識が変わるだけで目の前の世界は180度変わることもあるのだと感じた。
きっかけというものを考えるとどうしても大きなことを想像してしまうが、決してそうでないと感じたし自分自身小さなことでも大事にしていきたいと思えた。
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とても読みやすくて スラスラ読めるのだけど、軽くはなくて 心に響く作品だった。
どの章にも何かしら 自分にとっての学びがあり、実になる作品だと思う。
最後、ちょっと感動した。連作小説の醍醐味。
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時間が遡ってって小さな謎が解けていくときのワクワク感。
特に第五章とエピローグの繋がりが好き。
不幸の家じゃなくて幸せの家。
幸せは自分で作って、自分で壊す。
いつだって自分次第。
☆第一章 おわりの家
☆第二章 ままごとの家
☆第三章 さなぎの家
☆第四章 夢喰いの家
☆第五章 しあわせの家
☆エピローグ
うつくしが丘にある一軒の家を舞台に、様々な事情を持つ人が居場所を見つけ幸せを追う連作短編集です。現在の居住者の物語から始まり、一代ずつ前の居住者の物語が描かれます。
明日も頑張ろうと前向きになれる素敵な物語でした。
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1軒の家を通しての短編集。
「不幸の家」と題名にあるから、暗くちょっと重いお話かなと思ったけど。。。
何年も経って繋がってる。
エピローグ
最後の一行がとても良かった。
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「誰にどんな事情があるのか、どんな理由でそうしたのか、そんなことは簡単に分かるものじゃないのよ。自分がまずたくさん経験すること、そして何度なく想像を巡らすことでようやく、真実の近くまで辿り着くけとができるの。それを怠ってる人に、そういう適当なことを吹聴されなくないわ!」
ある1軒の家にまつわる5つの家族の短編集。
重すぎず前向きになるラストなので読み心地もいい。
家が舞台なので、前の住人が残した生活の痕跡が別の章で出てきて伏線が回収される点も面白い。
それぞれの家族の問題やどう向き合うかを、まるでドールハウスを眺めているような感覚で読んだ。
とくに印象的だったのは隣人の信子という老女。
幸せも人それぞれだし、何をどう思うのかは自分次第と主人公に説く彼女の人生観は私も心にとめておきたいと思った。
住む家族構成や年代が違ければ抱えている問題も違う。
悩み苦しみながら前へ進んでいく心あたたまる1冊だ。
こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・心あたたまる物語が好きな人
・家族にまつわる物語が好きな人
・前向きになりたい人
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ものごとの視点を変えてみる。
少し視点を変えてみるだけで
“不幸”だと思っていたことも
“幸せ”だと捉えられるようになるかもしれない。
自分にとっての幸せ、それは自分にしかわからない。
自分でしっかりわかっていれば、もはやそれでいい。
そんなことを教わった一冊でした。
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良い…
良かった…
題名からは「コワイ話?」と思うが
読んでいくと,どんどん先が読みたくなる。
そして,町田さんらしく
その人に寄り添う温かいストーリー
章が変わる度に涙してしまう。
最初から最後まで良かった。
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町田そのこ作品とは相性が良いようで、本作もとても満足。舞台は一軒の家でずっと変わらないが、それぞれ違う時間の各話が、一本の糸で繋がっていくような構成はとても好きだった。結構胸糞悪い人たちも出てくるししんどい展開も多いが、他の作品同様、上手く浄化して流してくれるので、さらっとした読後感で晴れやかな気持ちになる。どの話も良くて、相変わらず展開が上手いので、泣かされてしまう場面も多かった。エピローグで、ああ、そうか!と気付きニヤついた。
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町田そのこさんは登場人物たちの描き方がとても丁寧だ。
ライトの角度を調節し、その人の光と影をしっかりと描き出すことで
生活感が漂う。
「うつくしが丘」という新興住宅地に建つ、3階建ての一軒家を舞台に移り変わる家族の姿を連作短編という形で描く。登場人物たちが共通して抱えているのは「どこで間違えたんだろう」「こんなはずではなかった」という思い。思い通りにいかないことって世の中たくさんある。
「あの時こうしていれば・・・」と過去に囚われるのではなく、「今、こうしよう」と前に踏み出す勇気を持つことの大切さに気付かされる。
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うつくしが丘という素敵な名前の新興住宅地に建てられた家に住む歴代の住居者の物語短編集。
なんて好奇心をそそられるタイトルと裏表紙の解説。
「ここが不幸の家って呼ばれているのを知っていて買われたの?」なんてどんな神経で言うのか、、、。だけど覗いてみればそれぞれの形の家族が過ごす前向きな日常があり、当たり前だけど外から見たらわからないことなんてたくさんあるんだなと感じました。
5つのお話の中では、「ままごとの家」が距離の開いていく家族の様子がが一番リアルで、子どもを思う親の姿が泣けました。それぞれが新しいスタートに向けて明るい気持ちで家を出たのに、何も知らない人から見たらそれが一家離散なんて、屈折しすぎです。
幸せは考え方次第、自分で決めるものというメッセージ性のある本でした。
エピローグはちょっとほっこりしました。
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不穏なタイトルで、どんな作品なんだろう??と思ったけど町田そのこさんらしいあたたかさのある作品だった。
家庭の数だけドラマがある。短編集だけど繋がっていて面白い。
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段々と遡って、同じ家での様々な家族の物語があり、話に惹き込まれたし、ちゃんと繋がっていたのも良かった
腹が立つ男性が何人も登場しており、それは考えさせられた
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町田その子さんの著作は丁寧に現代の問題や心の中を描きつつも、最終的には必ず温かい気持ちにしてくれてとても好みです。この作品もまさにこれ。短篇集ながらしっかり繋がっているのも話にあっていてまた良かった。
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うつくしが丘にある三階建ての大きな一軒家に移り住んだ5つの家族のそれぞれのお話。短編。自分の想像と逆の時系列で話が進んでいって、それぞれの話が繋がってておもしろかった。不幸な話かなと思いきや、すべての話が前向きになれるような終わり方で読んでいて気持ちが良かった。
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嫌ぁ〜なタイトルから話の中盤まで、どんなサイコなミステリーが待ち受けてるんだと恐れていたら、まんまと仕掛けにハマってしまった。
ある一軒家をめぐる複数家族のゆるい連作風で、ポカポカに心温まった。
家は人を映すと言うが、残念なことに我が家は雑然としている。整理整頓という四文字に対して耳に蓋があるのかと疑いたくなる妻君と、物いりな怪獣が3匹、ペットが色々、そしてフリマアプリを愛するこの私。最悪だ。
別の作家さんの表現を借りれば几帳面以上・神経質未満な私はいつもイライラ。最近子どもにかける言葉の第一位は「片付けなさい」。いつか妻君の耳にも届きますようにと願いながら。(実は届いていてめちゃ凹んでた。この場でごめん)
家はボロでも、中身まで不幸にしたくない。
イライラするならお前が一生片付けてろよ、と私の内なる声が聞こえる。無理やり無視している私もいる。幸福の家って、維持していくことが一番難しいと思う。
せっかく種から芽を出した琵琶の木を、不幸の木だと知ってわざと枯らしてしまい、後で娘にひどく叱られたことを思い出した。この作品のように、もっと謙虚に耳を傾けるべきだった。
匿名
優しい気持ちに
どのお話しも、最後はよかったー。
と、思える素敵なお話しばかりでした。
人にも自分にもら優しくなりたいと思わせてくれました。
トンネル
「不幸」から「しあわせ」へのトンネルを担う家。
誰も、特に前向きな努力をしているとは限らないところもいい。
トンネルの中にいるあいだは、暗くて壁しか見えず、距離感もよくわからなくて疲れる。
出口からの景色が見えて初めて、自分がどんなところにいたのか分かるものです。
意図せず、そんな「トンネル」に住むことになった住人たちの、出口の世界を知ると
読んでいて心が晴れる。
わたしは小説から教訓や人生の指針を得ようとは思いません。
それでも、私の人生にもトンネルはあるのかなと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
町田そのこさんは、本当に不幸を書くのがお上手。
でもちゃんと救われるから、救いがあるから
悲しい気持ち100で終わらない。
サクサク読める連作短編集でしたー。
Posted by ブクログ
不幸な家 での 5つの短編集
さらりと読めて 紆余曲折の末
ほんのりハッピー
どれもこれも あっち こっちで
繋がって ほんわか ほっこり
印象的な科白
“しあわせなんて人からもらったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作りあげたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんて、もったいないわ”
★★★★でも いいのかも
Posted by ブクログ
人はみんなそれぞれ抱えているものが大なり小なりあるものです。
題名には「不幸の家」とあるけれど、たしかにみんなそれぞれがいろいろあるけれど、決して不幸ではなく、前向きに人生を変えようと頑張っている
奮闘記だと思います。
周りの外側の他人から見れば、
みんな不幸のように見えて、あらぬ噂を立てたりよく知らないのに、広めたり…
当の本人達から見れば、人生を前向きに家族それぞれが考え選んだ道に向かって答えを出していく。噂とは全然違うストーリー
隣のお家の信子さんが、「幸せは、人からもらったり、人に汚されたりするものではない。作るも壊すも自分にしかできない。他人に左右されるのはもったいないことだよ。」と言う言葉を
不幸の家だと他人に言われ落ち込んでる、住人に
諭します。
ほんとうに、その通りだと思いました。
ついうわさを信じて右往左往してしまいがちな
私たちですが、幸せとは自分次第でいくらでも
作れるものです。日々の小さな幸せを大切に
過ごすことが大切だなぁと思いました。
Posted by ブクログ
悩みなんて、見方を変えればしあわせに変わる。
同じ家に越してきた5つの家族の物語。
時間軸が遡っていくので前にどんな人が住んでいたのかなって気になる!
タイトルから暗い話なのでは。と読み進めたけど、最初は色々問題がありながらもそれぞれが幸せに向かっていく展開でよかった。
Posted by ブクログ
不穏なタイトルだけど中身は全く不穏じゃなかった。
最初は不幸とも言える状況だけど、みんな幸せに向かって歩いてゆく。
幸せになった、ではなくて幸せに向かっていく、というのが良かった。
表紙の絵の雰囲気がとてもこの小説に合っているなあ。