【感想・ネタバレ】給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解くのレビュー

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Posted by ブクログ

給与はその人の能力によって決まる。と思っている人が多いが、そんなことないよという本
環境や業界他社や景気や市場などさまざまな要因の与える影響の方が大きい。

ゴミ清掃員は危険なのに給与が安いのは、前科者を雇っていて、彼らは他に仕事がないので交渉力がないから。
社会のルールを作る側というか、パワーを持つ側になろうと思った

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2023年12月13日

Posted by ブクログ

どちらかと言うと「あなたの給料はなぜ安いのか」というタイトルの方がしっくりきます。賃金が決まる要素は、その労働者の生産性や市場価値だと思われがちですが、著者はそれを否定します。実際は、権力、慣性、模倣、公平性の四つの要素が大きく影響しているからです。そのほぼ全ての要素が、賃金格差を拡大する方向、貧しい人をより貧しくする方向に作用しています。本書はそのメカニズムと現状について、アメリカの多くの業界を実例として紹介しつつ解説してくれます。

みんなが給料の額を共有してると交渉材料になって給料が上がるというのが面白いです。だから会社は秘匿する。でも他人と比べることで幸福度が下がりそうな気もします…

生産性は多くの社員との関係や外部要因で社会的に決まるので、定義出来ないし測定できないというのは目から鱗です。言われてみればそうだよな、と。そこで安易に測定可能な指標を作って成果主義にすると、それだけを追求して非効率になり、さらに社員同士で足を引っ張り合うようになるというのもあるあるです。

その他、株主資本主義、労働組合の弱体化、派遣労働の増加など、給料を下げる方向性ばかりで読んでで暗い気持ちになります。

対抗策は、最低賃金アップと労働組合という、地味ですが地に足のついた提案でした。
結局は年功序列が一番マシな制度かも、というのも皮肉です。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

アメリカの事例ではあるが、介護や小売、飲食、運輸などの業界が押し並べて給与が低いという現実は日本もあるのではないか。生活の基幹を担ってくれているのにも関わらず。

給与は属人的なものではなく、単に政治や社会的な指標である。しかし、当事者にとっては生活の掛かっている死活問題である。労働者の団結と、政府による制度改革が打開策になるのだな。あまり踏み込めない領域ではある。

給与について深く考えることがなかったしがないサラリーマンですが、公平性の原理は職場内でもろに感じている。でもやはり、労働者個人個人では昇給にはスキルや実績というものが反映されるのではないかと考える。マクロ的な論述だという理解で、その視点が開かれた意義は大きいと個人的な学び。

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2023年03月12日

Posted by ブクログ

この本の論点であり、私が興味を持った主題は大きく二点。社会格差と評価制度、この現状における妥当性。片方で使いきれぬ富を持て余しながら、もう片方で生活費を下回る賃金を許しておいて良い訳が無い。また、評価制度は殆ど不快で不満の源泉になっているのみであり、会社のグチとしては世界中で最もポピュラーなテーマだ

賃金決定の過程とは。権力闘争の果てに正当な権力が生まれ、やがて慣性が働くようになる。賃金制度において、慣性により不満を発生させないようにする事が重要。大抵、労働者の限界生産物を測定する事は難しいため、学歴や経歴といった人的資本の測定指標が利用される。

測定し評価する側は優位だ。同時に、その権威者は、企業の利益処分にも権限を持つ。利益を、誰に優先配分するのか。この優越的な地位が、経営者企業モデルから株主資本主義に変わった。やや労働者への冷遇度合いが変わるが、最下層である事に変わりはない。評価される側は、常に不条理だ。

不条理だが、それは自己裁量における選択の結果だとキツめの意見も可能だ。ただ、それは社会制度として、見えない天井に気付いていない人の発言であり、我々は自由に見えて、生まれながらに自由ではない。従い、選択しているように見えて、その実力を見抜かれた上で、選択をさせられている。実は、なるべくして、下層労働に従事している。そして、それは既定路線であるから、同情的な措置が中々施されない。ミルトンフリードマンの市場による自動調整機能は正しいが、それが発動し効果を発揮するまで、途中経過に多くの犠牲があるのも事実だ。

賃金について重要なのは垂直的にも水平的にも、「納得感」。低質な制度を用いて無能に評価される仕組みが多いから、居酒屋はまるでグチの音楽フェスのようだ。だけれど、一番怖いのは実はそのグチを溜めさせておくのは意図的であり、不況時の従業員数調整のバッファとして、一定数の離職を必要悪としておくという事だ。納得させない事は、スパイスのような組織の味付けでもあり、資本主義とは、何ともサイコパスな出来事である。

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2022年12月29日

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仕事の価値と、成果で賃金が決まると言うのは間違いだ。業界の横並びや、慣習で決まり、賃金は情報が開示されないから、労働者は選択肢が見えない不公平な状態だ。
最低賃金の大幅な引き上げと、労組の組織率の向上や経営への参画が必要である。
介護士や、保育士と言った規制職種であっても、レントがないどころか家族の維持すらできない社会は、成立不可能だ。自分が介護施設に入った時にどのような扱いを受けるのか、低賃金のままでは心許ない。
政治家は票欲しさに雇用維持を名目に中小企業の保護策ばかり打ち出すが、最低賃金でしか雇用を維持できない経営者を保護する必要があるのか疑問だ。

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2022年12月27日

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詳しい日本版も読みたいような読みたくないような…

なかなか難しく読むのに時間がかかってしまった。

ファストリが賃上げを発表したときに読み進めてた本のため、今後追随する企業が出てくるのか動向が気になるところ。
→上がりつつあるかな

自意識や価値観は、給与に包まれている。

進んで負担すべきコストもある。
ということを
経営陣はどれほど理解しているんだろうか。
と末端社員はおもうのだけど、
分かった上の判断なのかな?

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

給料の額はどのようにして決まっているのか。
大きな要素として、権力(上司や力のあるものが給料を決める)・慣性(この仕事だとこの金額だろうと金額が固定化される)・模倣(業界内の相場で賃金を払う)・公平性(自社内もしくは業界内で公平な金額か)としている。

また、多くの人は給与が個人の成果が給与に反映されている・反映するべきだと思っているが、果たして成果は給与に反映されているのか。
人事評価制度の導入が昨今では盛んに行われているが、成果を正確に測定するのは不可能だと理解した上で、それでも最低限の指針が必要だから導入していると使用者側も労働者側も考えるべきである。

邦題では「給与はあなたの価値なのか」と疑問形になっているが、本書では答えはノーである。
上記に挙げた4要素や、グローバル化・労働組合の減少・株主資本主義の台頭などにより時代によって給与額は変化している。

日本では賃金が上がっていないと大きく問題になっているが、比較対象となっている諸外国でも一般的な労働者の賃金は必ずしも上がっていない。上位1%のエリートの報酬額が異様に跳ね上がっている背景がある。
とはいえ、日本では賃金は必ず上げていかなくてはならないし、そのためにどうすればいいか、最低賃金の上昇は妙案ではないがやはり取り組むべき施策であると再認識できる内容であった。

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2022年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

歩合給の設計によっては、顧客に不利な商品を売り込む傾向ができる。
ウォールマートの賃金は最低賃金の象徴だった。
労働組合の減少が賃金の上昇を妨げている。テスラの工場にはGMのような労働組合はない。
トラックの運転には技能がいるが、賃金は大きく下がった。生産性は落ちていない。

格差は、平均的な労働者の賃金が停滞している、エリート層の賃金がけた外れになっている、同じ技能同じ職種間で格差が拡大している、の3点ある。

事前分配とマーケットデザイン。最低賃金を上げる。最低賃金が雇用を減らすという考え方は古い。
低所得者のための勤労所得税額控除。これによって低所得者の賃金がさらに下がった。前提が間違っている。最低賃金と組み合わせる必要がある。

世間一般では、人の市場価値によって給料が決まる。実際は権力、模倣、慣性、公平性によって決まる。
労働組合、最低賃金、天井を下げる、マーケットデザインによって改善する。

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2022年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あまりに資本側に偏っているという認識は反対しづらいのだが、さてどうするかの話になるとどうも歯切れが悪い。その根底にあるのが給与がその人の価値を表しているという信仰だという。それ確かにある。読んだけど、しんどくて、ちゃんと追い切れているかというと申し訳ない。あの人は稼がないとあの人は価値がないのリンクをほどけたら楽になるということなんだろうけど。

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2022年06月07日

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