【感想・ネタバレ】本日、サービスデーのレビュー

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ネタバレ

表題作である中編と、短編四編からなる作品集。
とにかく表題作が感動的です。解説の北上次郎氏は、欧米の小説にたとえていましたが、自分は藤子・F・不二雄先生がいうところのSF(すこし・ふしぎ)作品だと思いましたよ。
巻末の短編「蒼い岸辺にて」は藤子・F・不二雄作品と水木しげる作品をミックスさせたような感動作。
「あおぞら怪談」も、なんとなく水木しげる作品を思わせます。
「東京しあわせクラブ」は、猟奇的で変態な内容。「気合入門」は、夏の日に少年がザリガニ釣りをするというだけのノスタルジック・ストーリー。
作品世界のノスタルジックな要素は少なめにしながら、昭和世代には藤子不二雄作品や水木しげる作品を夢中で読んでいた頃を思い出させて逆にノスタルジックな気分にさせられる作品集でしたよ。

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2017年07月10日

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 久々の朱川さんの作品でした。
かなりゾクッとするものやしんみり涙するものが多かったですが、今回はタイトル作のように結構笑えるパターンがありました。
 人生で一度でもこんなものに巡り会うチャンスがあったらいいなと思います。

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2013年03月03日

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表題作を含む短編集。最後の「蒼い岸辺にて」が秀逸です。
自殺した若い女性と、あの世への渡し守との会話で構成されるこの作品。これからの可能性が卵の形であらわれますが、彼女には必要ないものであり、渡し守はそれを<未来ゴミ>と呼びます。可能性に満ちた未来が、自分が死んだことでゴミになってしまう。それを知った彼女は――。

読み終えて、温かな気持ちに満たされました。
明日はいいことあるかも、世の中捨てたもんじゃない、そんな希望が見えてくる短編集です。

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2012年11月21日

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毎日2時間あまりの通勤。同じ立ち食いそば屋で朝ごはんを食べて会社に向かう。うだつの上がらない営業課の課長として毎日夜遅くに帰る。そんなある日、一人で夕食を食べながら映画のビデオを見ていると「明日は一生に一度のサービスデーなの」という女性の声が聞こえてくる…。

少し懐かしいノリの怪談メインのSF短編集。5本収録されているが、最初の3本がメインで、あと2本はちょっと毛色の異なる話。最後の三途の川はそこまで違わないか。

表題作から、ちょっと長いもの、天使と悪魔との戦いに、人間が巻き込まれるという、星新一のショートショートのような話。ただ、オチは割とウェットでご都合主義的なところは有るが。

2作目から、おそらくこの作者の本領発揮という感じで、昔ながらの幽霊の話を核とした怪談ベースの話。怪談を描くといきいきした雰囲気を感じるので、こちらが本物なのだろうと思う。ただ、いずれも最後はふわっと終わるんだな。

星新一のドライなショートショートの感覚と、阿刀田高の怪談のちょっとどんよりウェットな感じの中間を行くような話で、短編として楽しむにはなかなか良いのではないかと思われる。電子書籍としても読みやすいだろう。

ただ、もうちょっと無慈悲にどうしようもないバッドエンドなどが有っても良かった。

余談。

ちょくちょく、ちょっと昔の時事ネタを具体的に入れた、情景比喩のような表現が見られ、作者なりの照れかくしのようなものなのだろう。また、小ネタとして入れている部分も有るのだろう。ただ、たとえば1984年に、大学生がバイト先のおじさんからCDを借りるなど、実際には+2~3年は必要な部分が見られたり(CDが一般家庭に普及するのは1986~7年)、ネタに組み込むのに必死で、裏付けが取れていないのはちょっとね。

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2024年03月03日

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ネタバレ

①は朱川作品の中で一番繰り返し読んでるかな。おめでたい、ご都合主義と言われようが自分には心地よいのだろう。④さえ、オチがつけられていれば五つ星でも良かったのだが・・・。オススメは①と⑤。
①本日、サービスデー
家庭でも会社でも冴えない中年鶴ヶ崎が迎える奇妙な一日。天使も悪魔も出てきて。
②東京しあわせクラブ
「事件」の証拠品を競いに集うマニア達。最高に悪趣味だが朱川さんしか書けない。
③あおぞら怪談
昔、チャンピオンに連載されていた「手っちゃん」の女版。最後の台詞、味がある。
④気合入門
マッカチン(アメリカザリガニ)に勝った!と叫んだ瞬間、中途半端さがとても残念。
⑤蒼い岸辺にて
目覚めるとそこは早織の知らない青い世界。生きるのがしんどい人に捧げたい。

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2021年09月23日

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朱川湊人さんの本、先日、2015.6発行の「今日からは、愛の人」を読みました。猫の家を営むデリヘル嬢のところに男5人がやっかいになってる話で、セクシーな女性の魔女とちょっととぼけた男性天使が登場したりで、奇想天外な物語でした。読後、この本が2009.1刊行、2011.11文庫化の「本日、サービスデー」の続編と知りました。「本日、サービスデー」、この作品は、テンポも良く、キレもあって、なかなか面白かったです(^-^)

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2015年12月30日

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ネタバレ

書店でタイトルを見たときに感じたのが普段の日常から脱却した特別なことが起こるんだろうなと勝手に想像して読んだ。大まかに言ってしまえばその通りなんだがタイトルの小説以外にも短編が4つ入っていてどれも心が少しだけほっこりする作品で変な裏切りが無い分人によってはイメージ通りとか感じてしまうかもしれないがこれはこれでよいと思う。

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2014年07月16日

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どの話も面白くて、考えさせられましたが、特に響いた作品が、「気合入門」と「蒼い岸辺にて」です。

前者では、気合一つがあるか、ないかで、見ている世界が変わってくるということ。

怖がったり、避けたりしていても、何も変わらない。気合を入れて、目を逸らさずに、最後まで立ち向かうことで何かを得られることもある。

後者では、自分の未来を自分で決めつけてはいないだろうかということ。

誰かに言われたままを真に受けてはいけない。夢があるなら夢に向かって突き進むことが大事だし、ありのままの自分に誇りを持ち、自分が好きでいられる自分でいるということは素敵なこと。

生きていくのに、大切な、普段の生活の中では忘れてしまいがちな教訓を教えてもらった小説でした。

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2014年03月14日

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 表題作の中編一編と短編四編収録

 一日だけどんな願いことも叶えれることを知った男の一日を描いた『本日サービスデー』、三途の川での橋渡し役と女性のやり取りを描いた『蒼い岸辺にて』。
 どちらも設定や展開はベターな作品だと思うのですが、朱川さんの語り口の巧さ、ベタな設定にも一つのスパイスといえるアイテムやルールを加えることで、見事に朱川さんらしいオリジナリティが加えられていると思います。どちらの作品もちょっと元気をもらいたいときに読むにはピッタリな作品です。

 この作品集の中で最も朱川さんらしさを感じたのは『あおぞら怪談』。バイト先の先輩のアパートの部屋に出現する、女性の腕だけの幽霊との不思議な交流を描いた話。
 幽霊が出てくるのにほのぼのとした話の展開、そして何より見事だったのが、先輩の最後の一言。こういうオチの見事さもあるから朱川さんの作品を読むのはやめられません(笑)

『気合入門』はザリガニ釣りに来た少年を描いた話。あっさりした話ながら、爽やかさな少年の心情の変化がすがすがしく心に残る短編でした。

『東京しあわせクラブ』は作家の主人公があるマニアたちが集まる寄合に参加する話。
 この短編集の中では少しテイストが違う作品ですが、語り口の軽妙さが絶妙で不思議と浮いている印象は受けませんでした。それでもしっかりダークさを含んでいるあたりもさすがです。

 朱川さんらしく今回の短編集も安定感抜群で、安心して読むことができました。

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2014年01月18日

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あーーーー満足。朱川さん、こんな楽しい感じのも書くんだー。幅があっていい!短編五作。どれも独特で面白い。 「あおぞら怪談」のるり子さんってあの妖怪アパートのるり子さんとはまた別手ですよね?!次の朱川さんがどんなのかとっても楽しみ。

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2012年09月25日

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表題作を含む短編集。不思議な世界に誘われる。「あおぞら怪談」が出色。これだけなら☆5つ。性欲とは無縁な純愛が長年とりついて離れなかったるり子の魂を天空に解き放つ。人を思いやる愛情に心が揺さぶられ、青空の青が目にしみた。「気合入門」、「青い岸辺にて」は子供たちに読ませてやりたいような仄々と心温まる作品だ。行動も起こさず早々に諦め、可能性という卵が無造作に割れてゆく様にただただ罪悪感。

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2012年08月05日

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とにかく、どの作品もおもしろく目の付け所が良い。作者は、『もしも...』という
非日常を書くのにこだわっており、読みやすかった。
ただ、どの作品ももう少し長くなると更に肉付きがよくなり、ボリューム感がでると感じた。

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2012年02月09日

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一生に一度のサービスデーを返還したことで、多くの命が
救われた。

人に感謝されるようなことって、
なかなかできないので、

感動的。

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2012年01月02日

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これまで読んできた朱川さんの作品とは少々毛並みが異なる。ユーモラスで、見方によっては児童文学のようでもある。『気合入門』は志賀直哉『小僧の神様』っぽい無邪気な雰囲気。
正直、『東京しあわせクラブ』以外は私好みではなかったが、色々と著者の他の作品を読んでいる身としては、作風の幅広さに驚いた。

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2021年09月09日

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すべての人間に与えられた、どんな願いがいくつでもかなうサービスデー。ただし、その日は人生に1日だけ、普通は気づかぬままに終わるのだが、悪魔の囁きで自分のサービスデーを知ってしまったら、いったい何を願うのか。表題作ほかほか短編4つ。
鶴ヶ崎の善人、小市民ぶりに和む。自分であればもっとうまく使って、あれをして、これをして、と思ったりもするが、結局は善人が得をするという花咲仕様。「東京しあわせクラブ」はうすら寒いく、正直下衆い。「あおぞら怪談」はいい話だが、皮肉が効いているし、よく考えると日下部さんはかなりきている。「気合入門」は掌編だが、幼い頃の経験って大きくなって意外と大きな影響があるんだよなと納得、「蒼い岸辺にて」はオチがみえみえでいまいち。
総じていい話が多いはずなのだが、全体的にほの暗さを感じてしまった。何故かはわからないが。

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2018年10月24日

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ネタバレ

手軽にさっくり読める、エエ意味にもワルい意味にも。
アクがなさすぎるし詰めも甘いように感じるねんなぁ。手軽に読める半面、軽過ぎて歯ごたえない感じ。
特に表題作は、朱川風味抑え過ぎじゃないかなぁ。もうちょっと個性出して練ればオモロい話になりそうな設定だとも思うんだけど。

収録作で一番気に入ったのは気合入門、大げさに言うたらマーク・トウェインとかヘミングウェイ風味が感じられる青春譜。だけど、いかんせんこの短編も練り込みが足りてないように思える。もうちょっと練り込んだら書き込んだら、ひょっとすると大化けしそうなだけに残念。

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2016年09月30日

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直木賞作家のファンタジー短編集。タイトル作は二流天使と二流悪魔の憎めないやり取りが笑える。しかしこの著者は”ほのぼのホラー”というか絶妙の空気感を持った作品でいつも楽しましてくれる。
(収録作)本日、サービスデー/東京しあわせクラブ/あおぞら怪談/気合入門/蒼い岸辺にて

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2014年06月19日

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ネタバレ

どの短編もしっかりとカラーが違って面白い。
本日サービスデーの主人公は庶民だけど、好感もてるし、そういう人がしっかり報われるお話は好きだ。

あおぞら怪談も、個人的に好きだった。のんびりした怪談ってこの人お手の物なジャンルですが、安定感あり。

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2014年05月20日

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ホラーでありサスペンスであり、でも、その中にも情があり温もりがある。
そして、こっそりとメッセージを伝える。
著者とは同世代でもあり、Key Wordを共有できることも読んでいて心地良い理由かもしれない。

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2013年04月07日

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まぁまぁ。なんか明るくないか?朱川湊人。こんな感じの文章書く人だったんだ?という印象。前回の太陽の村?がひどかっただけにまだ明るい文章に恐れを抱いている。次は違う作家のを読んで間を取ろう。

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2012年12月10日

Posted by ブクログ

生涯一度のサービスデー。自分なら何を願うだろうか?やっぱり予告されていないと無駄に一日を過ごしてしまいそう。
「蒼い岸辺にて」の未来の幸せは卵のくだりがいい。大切に育てないと孵化しない。サービスデーがあってもなくても、一度きりの人生、大切にしよう。

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2012年03月01日

Posted by ブクログ

朱川さんと言えば、どこかノスタルジックなソフトホラー。
でも、これはホラーとは呼べそうもないですね。確かに幽霊は出てきたりするんですが。
朱川作品はちょっと暗く、どこか夕闇を感じさせる雰囲気の作品が多いのですが、この本に収められている作品は妙に明るいし。

面白くはあるのですが、何か足らない気がします。
表題の「本日、サービスデー」が一番面白いと思いますが、例えば荻原浩さんあたりも書きそうな雰囲気で、どうも朱川作品と言う気がしません。
朱川さんだからと言って、必ずしもノスタルジックでなければとか、ちょっと暗くなければという訳ではないのですが、色んな要素を取り除きすぎて、結果的に朱川さんの良さが消えてしまった気がします。

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2016年07月23日

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