【感想・ネタバレ】ココロのプログラム 2のレビュー

ある日、主人公・宇佐美 九(うさみ きゅう)の家にロボットの少女・いちこがやってきます。
いちこは見た目は人間そっくりですが、心はまだ未完成。そのためホストファミリーと一緒に暮らしながら勉強をするというのです。
同い年くらいな少女な見た目のいちこに戸惑う九。
いちこの“心のプログラム”の完成は彼が高校卒業する頃。それまでいちこと一緒に過ごすことになるのですが…。

物語は九が小学生時点からスタートします。
いちこが現れたことで、九と九に思いを寄せる幼なじみ・愛の関係に変化が起きます。
愛はそれまで九の一番近くにいる存在であったのに、いちこにその場を奪われてしまったことで心が揺れるようになるのです。
中学生編では、それぞれが思春期に向かい自分の気持ちの変化に戸惑う姿が描かれるのですが…。

いちこはロボット。そのため心もプログラムでしかない…と周りは思っています。
もちろん九も最初はそう思っているのですが、いちこの天真爛漫さや優しさに次第に思いが変化していきます。
それを間近で見ている愛は気が気ではありません。
九といちこと愛の三角関係がどうなっていくのか…。
自分に素直になれない感じや、あえて気持ちと反対の行動をとってしまう…など、思春期特有の行動にエモさが溢れています。

描くのは中村ひなた先生。
繊細な線にふんわりとした絵柄で画面から優しさが溢れ出ています。
そして…いちこと愛がとにかく可愛いのです!!
いちこのはにかむ笑顔や愛の複雑な気持ちが表れた表情など…あまりの可愛さにジタバタしてしまいます。

1コマ1コマじっくりと味わいながら読みたくなる今作。
少しずつ育っていく各キャラクターの心を感じてください。

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いちこちゃんも作者さんも大好き

最近この作品を発見して、いまかなりハマっています。

この作品に触れて気がついたのは、
成長・老化スピードが異なる者たちが寄り添い合うストーリーを、私がすごく好んでいるんだなということ。
『夏目友人帳』の人と妖の間の愛情・友情の話とか、アニメ『凪の明日から』みたいに、一部のメンバーの時間が数年間停められてしまうことで、年齢関係が変化することで起こる葛藤やそれでも変わらない思い、そういうものを見せてくれる物語もすごく好きでした。


この『ココロのプログラム』も、心やさしい少年と歳を取らないAIロボットの少女の恋物語です。
初めは姉弟のようだった二人の関係が徐々に逆転していく様子も良いですが、
大人びた見た目の子供っぽかった少女が、幼い見た目の達者な女性になっていく様子も素敵です。

人とロボットの恋愛という、社会的な規範や生物的合理性から外れた恋というのも、百合やBLに通じるような、よりピュアな慕情に接しているような感覚があり、
それがこの作者の柔らかくて可愛らしい画風と相まって、眺めていてとても癒やされる、心地よい作品になっていると思いました。

ヒロインのAI少女の名前が「いちこ」というのも良いですね。
音の響きは何か古めかしいオバちゃん的な感じですが、「いちこ」という文字の並びは果物の「いちご」みたいで、とても可憐な雰囲気があります。
子供と大人の二面性を抱え続ける当作ヒロインの名前に相応しいと思います。
ロボットの試験機・実験機としての「一号」というのとも掛かっているのかな。


最近はいちこちゃんのことばかり考えてしまっています。私もいちこちゃんに恋をしてしまったようです笑。
これが普通の女の子という設定だったら、余りにも良い子過ぎ可愛い子すぎて逆にあざとく感じてしまい、警戒してしまうところかも知れないですが、
それが「ロボット」で人外ですと言われるだけでむしろ何もかも許せてしまう。
不思議だなと思いました。

中村ひなたさんのファンになりました。
次巻以降も早く読みたいです。
個人的な希望としては、何時までも日常モノとして延々と読んでいたい。
あっという間に中学生・高校生と成長していってしまっていくのも少し寂しい…
スピンオフでも良いので、どうかよろしくお願いします。

#癒やされる #エモい #萌え

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

新たにいちこの友だちとなったロボット・ネオはいちこと方向性の異なるタイプだね。いちこが違和感なく日常生活に溶け込めるタイプなら、ネオは何処にも溶け込めず浮遊し続けるタイプ
まあ、ネオの理由は番外編にて明かされるのだけど
でもそれは実際に話を聞いてみないと判らないもの。だから九は急に現れたネオに取られるのではないかと危惧してしまったわけだ

自分は人間でいちこはロボット。いちこはロボットでネオもロボット。ネオなら自分のように懸念なんて生じやしない
その違いのせいで生まれかけた嫌な心、それをネオはすっぱりと霧消させてみせたね。ロボットに心は要らないと言う彼が伝える「好き」の保証
九の感情の行く先は難しいままだけど、ネオは意外な味方になってくれるのかもね

ただ、やはり全ての者が味方になってくれる訳がなくて。それが簡易に表れたのが11話のシーンかな
色恋に過剰反応してしまう中学生だから噂になればイジらずに居られない。その空間をやり過ごす為には空間に迎合するしか無くて
それは感情の否定、いちこにすれば九が自分をロボット扱いしているとの認識になってしまう。彼女の方も何らかの感情が芽生え始めているなら納得できない九の扱い

それだけに誰にも見られない非常階段での遣り取りは本当に付き合いたての恋人みたいな印象を抱いてしまったな
勿論、事実としてはそんな事無いんだけど、それでもあの瞬間における二人だけの遣り取りは尊いものであるように思えたよ


九といちこが近づくに従って離れてしまった九と愛。家はお隣なのに心は離れてしまった
それは愛の方が勝手に壁を作ってしまったようなものだから、彼女が九との付き合い方を改めて定める必要がある。結局の答えは「これまで通り」、でもそれでは恋愛的に進展させることなんて出来なくて

お隣さんから恋人に成れるかもしれない相手へ。その距離を詰める為にはこれまでしなかった恋愛の話題も選ばなければならない。そうすると自然にいちこが話題に上がってしまうわけか…

どれだけ愛が九と楽しく話していても、九がいちこを意識してしまえば愛は九と近づけない。だから彼がいちこに近づかないよう引き止める必要があって…
いちこが見える範囲から消えた瞬間に九を引き止めた手と言葉は彼にどのような感情を生み出させるのだろうか?


そういや、13話でいちこの制作者が登場したけど、やはりホームステイ先の子供とロボットの間に恋愛感情が発生する展開が狙いだったようで
そうなるといちこが懐き始めている感情も計算通りという話になってしまうが…

プログラム的に仕組まれた「心のプログラム」到達までの道程
その先にあるのは人間と同じ心かロボットのプログラムか、果たして……

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2023年09月19日

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