【感想・ネタバレ】ジョイランドのレビュー

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Posted by ブクログ

 洋書は物語に入るまでに時間がかかるものが多いけれど、すぐに物語に入ることができるのは、さすがはキングの小説でした。
 キング得意のノスタルジーな雰囲気にミステリーと、幽霊を掛け合わせたようなお話。楽しめました。

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2024年01月10日

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 2013年刊。
 ジャンルは「ミステリー」ということらしい。が、半ばほど読んでもなかなかミステリーらしさは無い。60代の筆者が21歳の頃の夏から秋にかけての体験を回想し、叙述していく内容は「青春小説」である。大学生の彼がジョイランドという遊園地で働くのだが、その遊園地の中の幽霊屋敷には本物の幽霊が出るという。その幽霊の正体は以前そこで殺害された女性の霊なのだそうで、彼女を殺したのは誰か、ということが本作の「ミステリー」としての主眼となる。幽霊が出てくるからいつものキングのホラーとしての色彩も濃いはず。
 しかし、このエピソードは当面、物語の核の部分には無くて、150ページを超えてもまだまだストーリーは青春物語であって、失恋の痛手やら、夏に出会った人々との交流が丁寧に描かれ続ける。従って小説の大半は「怪奇」や「謎」への求心力に支えられているわけではないのだが、ぐいぐいと読ませるキングの語りは本当に見事だ。
 ここには、キング特有の一人称独白体の魅力が溢れている。そのモノローグ体は典型的なアメリカ人の語りを示しているようにかねてから私は感じていた。モノローグの肉薄性、リアルさ、重さという点で共通性を感じるのはドストエフスキーだ。ドストエフスキーの小説内のモノローグも、私は当初ロシア人の典型的な語り口なのかなと感じていたが、よく考えたらそれはロシア人の普遍的な語りというよりも、やはりドストエフスキー個人のそれなのだった。キングの場合もやはり、アメリカ人の普遍というよりも、キング個人の体質が現れているのだろう。
 モノローグの魅力に加えて、順次描かれていく小エピソードの配列の仕方が、「読ませる小説」特有の巧みな技に則っているのに違いない。読み進むにつれて引き込まれ、読者は語る主体に導かれて彼の経験を一体となって経験していくのである。
 ようやくミステリーらしくなっていくのは小説の残り3分の1くらいになってからだ。徐々に過去の殺人事件についての謎解きに引き込まれ、同時に「幽霊の出現」というキングらしい超自然現象のカラーも明確になっていく。クライマックスは実にサスペンスフルだ。最後の最後に、ああ、これはミステリーだったと納得させられる構造になっている。
 ミステリーであり、ホラー要素もあるが、読者の記憶に残る全体的な印象やエピソードはやはり、みずみずしい青春小説のそれである。それは輝かしく、同時に痛みを伴っており、切実で愛おしいような追憶だ。
 これはスティーヴン・キングの傑作だと思う。

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2021年10月26日

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大学生時代の遊園地バイトでの甘酸っぱい青春、そこで起きた恐ろしい事件を回想形式で振り返るという、フォーマットこそスタンドバイミーと似通ってはいるが、焼き直し感は感じずウェルメイドな一級品の青春ミステリに仕上がっている。恋愛要素が特に最初の不安感を孕んだ失恋のくだりから、沢山の大人に囲まれて働いて、周囲の信頼を勝ち取っていくさまは、自身のバイト経験を振り返って共感することが多く、恋愛だけではなく仕事の青春という側面もある。主人公が絶妙にモテない等身大の男子大学生というのもあって、語り口はロマンチックに過ぎるが、友達の彼女との間に一瞬芽生えた、タイミングの違いによる恋愛の萌芽などは、青春期の恋心の切なさを非常に的確に捉えている。シングルマザーとも恋仲になるが、そこに未来がないのは互いに分かっており、年上の女性に対する思慕や恋慕で留める筆致がまた小憎らしくて素晴らしいのだ。アニーの言う「住む世界が違う」はまさにその通りで、世界の違いを認識したその瞬間に、青春は終わる。ただ、一瞬でも重なり合った世界と生まれた感情は紛れもない本物であり、人生にはそういった運命的な出会いが訪れる瞬間が何度かある。そしてそれは、振り返ったときにしか分からないものなのだろう。話の核となる遊園地の殺人鬼の話も面白く、荒唐無稽な怪談に過ぎない話が、徐々に輪郭ができて実体化する恐怖はまさしくモダンホラーの帝王ならではの筆運びで、犯人こそ分かったものの、後半の怒涛の展開は流石の一言である。主人公は幽霊が見えない、というのがまさか最後の最後まで貫くとは思わなかった。また、善意が裏切られることなく、最後の最後でその善意が主人公の身を助けたというのが、個人的には一番の感動ポイントだった。こういう無駄に思えた善意がちゃんと報われる話は大好きである。クライマックスの映画的なスペクタクル、一抹の悲しみ、そしてエンディングの凧のシーンは感涙必死である。潰れた遊園地、アニーの言葉、それらが青春の終わりを実感させるのだ。キング作品は久しぶりに読んだが、一番キング作品を読んでいた高校〜大学時代にタイムスリップしてしまったかのような、そんな思い出深い一冊だった。これからもキングを読むと固く決意すると同時に、やはりキングは稀代のストーリーテラーであると認識した一冊である。

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2019年05月29日

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いつも思うのだが
スティーヴン・キングの描く青春は
甘酸っぱく愛らしく、そしてじーんと切ない。
余韻がずっと残っている。

アメリカでドラマ化するらしい。
出来栄えはともあれ見たい!

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2018年11月29日

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傑作!キングの本なので反射的に購入してしまったけれど、正直なんの期待もなかった。
いや、面白いではないか、泣けるではないか!
女の子としたい盛りの大学生の主人公は冒頭で振られてしまう。夏のバイト先として選んだ遊園地で不気味な体験と素敵な経験をする。筋ジストロフィーにかかった男の子とのふれあいは泣かせる要素満載。ホラー要素をちょっぴり効かせたミステリーで痛いところをえぐるのだけれど、最近のキング、人間に対して優しくなってない?厳しい状況を描くなかにも優しさが溢れている感じ。出張帰りの新幹線の中で泣いてしまった。ささくれ立った心にしみる、穴場的傑作。

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2018年07月14日

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序盤これは何の話だろうと思っていたが、まさか中盤以降毎日読むたびに泣かされそうになるなんて。たまらなくロマンチックな時のキング筆による過ぎ去りしきらきらした青春の日々。ラストシーンも染みる(息子さんジョー・ヒルの『ポップ・アート』もちょっぴり思い出した)。

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2017年12月18日

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ロンドンの空港でペーパーバックを購入して読んでいたがそのうちに日本語版が出版されこちらに切り替えた。テイスト的には『スタンド・バイ・ミー』に近いか。個性的で魅力的な登場人物の中で古めいた遊園地を舞台に物語が紡がれていく。ホラー主軸ではないがそれがロマンスの周辺にスパイス的にちりばめられて飽きさせない。そして忘れてはいけないのは藤田新策。もう還暦を迎えたであろう氏の素晴らしい装丁はいまだに健在。ジャケ買いと言われても差し支えない。

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2016年12月06日

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 夏休みに<ジョイランド>でバイトする大学生の話。

 大学にはいって彼女ができて、でもなんかうまくいってなくて…。という悶々が続くのでなんか切なくなる。
 うんうん、10代の終わりから20代の前半って、四六時中こんな感じだったよなって思う。自分が好きな人が、自分が好きなほど好きでいてはくれない、っていうのは本当に切ない。

 それでも人生は続いていくわけで、遊園地というちょっと特殊なバイトを選んだことが、彼をいい方向に導く。
 このあたりって上手いなって思う。人間、ちゃんと働けばお腹がすくし、お腹がすいてご飯食べれは、満たされた気持ちになる。そして、創造的な仕事はやりがいに直結している。

 多分こういうことが人生において一番大事なのだろう。
 
 大事なところを見せておいて、ふいに物語は幽霊譚になる。
 そして、職場への行き帰りに会う、難病の少年とその母親。少年への哀惜が物語を動かす。

 少年がちょっと霊感があるみたいな感じに描かれていたけれど、結局はすべての<愛情>が重なってのことだったように感じた。重なり合ったからこその奇跡で、結末なのだと思う。

 も、涙が…。
 
 最後の1行がしびれるほど、よかった。

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2016年10月03日

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キングの青春小説。
オカルティックな要素を含みつつも、メインは一夏の体験の中、人々に喜びを与える遊園地の中で繰り広げられる優しさ、別離、人の儚さを細やかに歌い上げる。
個人的にはキング久しぶりのヒットでした。

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2016年07月31日

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青春とミステリーが歪なバランスなので、名作!という訳にはいかないけど、とても楽しく読めた。過去の輝きを描くときのキングはいつも冴えてる。終盤の「見世物筋」の矜持には泣けました。

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2023年09月12日

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アメリカの作家スティーヴン・キングの長篇ミステリ小説『ジョイランド(原題:Joyland)』を読みました。
『スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編―』に続き、スティーヴン・キングの作品です。

-----story-------------
巨匠が放つノスタルジックで切ない青春ミステリー
遊園地でアルバイトを始めた大学生のぼくは、幽霊屋敷に出没する殺人鬼と対決する……もう戻れない青春時代を美しく描く巨匠の新作。

1973年。作家志望の大学生であるぼくは、恋人との距離を縮めることのできない鬱屈を抱えながら、夏休みに遊園地「ジョイランド」でアルバイトをはじめた。
乗り物の運転から園内の清掃まで、観光シーズンまっただなかの遊園地での仕事は、多忙ながらも楽しかった。
しかし気がかりもあった。下宿屋のおかみから聞かされた、4年前に遊園地の幽霊屋敷でかつて喉を切られて死んだ女の子がいたという話。
調べてみると同様の事件が何件も発生していることがわかった。
仲間とともに情報をあさった結果、事件の前後に移動式の遊園地が現場近辺に来ているということだった。
そしてぼくは、ひょんなことから殺人鬼の正体を告げる事実を知った。
冬期閉園が近づくジョイランド。
殺人鬼に捕らわれた車椅子の少年を救うため、ぼくはやつとの対決を決意した。
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2013年(平成25年)にミステリー専門の出版社からペーパーバック・オリジナルで刊行された作品で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック部門の最終候補作となった青春ミステリ… 回想シーンの描き方やGS&WM鉄道で雌ジカと遭遇するシーンが使われる等、『スタンド・バイ・ミー』に通じる、切ない青春小説の味わいが漂う物語でした。

1973年、大学2年生の夏、「ぼく」ことデヴィン・ジョーンズは付き合っていたウェンディ・キーガンの気持ちが一方的に離れて行っていることに気付き、鬱屈を抱えながら、大学から離れた遊園地ジョイランドでアルバイトを始める… そこで出会うアルバイトの同僚トム・ケネディ、エリン・クックや彼らを束ねるジョイランドの従業員レイン・ハーディ、ゲイリー・アレン、エディ・パークス等々、遊園地を訪れる客、下宿の人々と交流をするなかで次第にウェンディのことを忘れていくデヴィン、、、

そんな中、遊園地の幽霊屋敷・ホラーハウスに現れるという、そこで殺害された少女リンダ・グレイの幽霊の噂を聞いたデヴィンはその謎に惹かれ、下宿と遊園地の間にある浜の脇の館に住んでいる体の不自由な少年マイク・ロス、彼の母アニー、飼い犬のマイロも着実に謎に巻き込まれていくことに……。

スティーヴン・キングの作品なので、ややホラー要素も含まれていましたが、物語全体としては切なくて甘酸っぱい青春小説の要素が強く、そこに様々な土地で殺人を犯しているサイコキラーが絡んでくることによりミステリ要素も絡んでくる感じ… 恋愛の不安と痛み、人と人の別れや喪失も巧く織り込まれていますが、読後に爽やかさも感じる展開で、余韻に悲しさを爽やかさで包むことで生まれる独特の甘酸っぱさが広がる作品でした、、、

スティーヴン・キングって、ホラーのイメージが強いですが、少年や青年が大人になるまでのエピソードや若者の恋愛や青春の甘やかな痛みを描くのがとてもう巧い作家だと感じましたね。

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2022年06月05日

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なんかこの人いつもこんな感じじゃないか、と何冊も読んだわけじゃないのに言いたくなるような展開、なんだけどもいい感じに引き込まれていくのであった。
割と爽やかに描かれてるけど、青春の1ページとして済ませるにはかなり激しい話で、こりゃもうトラウマものなんだけど、うまい感じでまとめていて、そこらへんは主人公もタフだ。そして童貞を捨てたらすっかり上手くやるようになってて、そこらへんもやりおるな、お主、て感じ。
まぁでも一番いけてたのはワンコだワンコ、やっぱ可愛いくて賢いってワンコ最高よね。

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2020年08月11日

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キング見落としシリーズ、その……いくつだっけな(笑)? 21歳の青年が、大学の夏休みに《ジョイランド》なる遊園地で働くことになる。そこで彼が体験し成長していく姿を、老境の彼が回想する形で描いた作品。ミステリーやスーパーナチュラルの要素もあるが些細なもので、青春小説として楽しんだ。解説にもあるように、『スタンド・バイ・ミー』や『シャイニング』を思い出した。

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2020年07月19日

Posted by ブクログ

「ジョイランド」
これは青春小説。


スティーブン・キングと言えばホラーと思っていましたが、本書はホラーだけではなくミステリーと青春の要素が合わさった作品である。ジョイランドに幽霊が出る、その幽霊は過去に殺された少女であり、まだ殺人犯がウロウロしている等、ホラーやミステリーのテイストもあるのだけれど、一番焦点が当てられるのは、主人公デヴィンの青春期の様に思える。


作家志望で幸せな家庭(それも恋人ウェンディとの!)を夢見る大学生デヴィン・ジョーンズは、彼女との距離を縮められないない(そう。アレに辿り着かない)鬱屈を抱えながら、夏休みに遊園地「ジョイランド」でアルバイトを始める。ジョイランドの従業員や下宿先の主人、アルバイト仲間のトムとエリンと交流を深めながら、ウェンディと上手くいかないことを段々悩まなくなる。


しかし、デヴィンは遂にウェンディに振られてしまう。そんなデヴィンを励ます仲間たちと新たな女性との出会いを通じて、デヴィンは立ち直っていく。ウェンディとの幸せな将来を考えていたのに、新たな彼氏と自分を比べて落ち込み、終いには自虐ポエムを呟いてしまう哀しくなる姿から立ち直っていく過程がとてもリアルなのです。甘酸っぱさや男特有のいじっぱりもうまく描写されています。


ジョイランドの少女の幽霊をキッカケに連続殺人事件をアルバイト仲間と追うことになり、最後には対決するデヴィンであるが、このミステリー要素よりも、デヴィンの思春期らしいうじうじ感からの脱皮と父との関係が微笑ましく印象に残ります。ホラー2:ミステリー2:青春6くらいの配分だろうか。

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2018年09月04日

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海辺、夏、遊園地、殺人、幽霊、超能力、失恋、友情、そして淡い恋。甘くてほろ苦い青春小説と、ミステリとホラーの融合。キングの幅広さにはいつも驚かされる。そして相変わらずのハズレなさ。

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2017年09月14日

Posted by ブクログ

これはミステリーなのか、青春モノなのか。
21歳の夏に『ぼく』は失恋を経験し、ジョイランドでのバイトを通じて人助けを経験し、初体験を経験し、連続殺人犯に殺されそうになったり、様々な経験をする。
ぼくが経験する全てが瑞々しく、自分がその年代だった頃に投影して、こういう感じわかるなぁと切なくなります。
ジャンルとしては、青春ミステリーってことになるのかな。映像化してもヒットしそう。オススメです。

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2016年12月19日

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私の好きなタイプのキング作品だった。
(個人的な好みだが、SF展開のキングは好きではない。)

過ぎ去った≪古き良き時代≫を懐かしみ、慈しむ心が感じられて、かと言って「あの頃は良かった」と言うわけでもなく。
私にはキング作品が持つそういう雰囲気がどことなく心地良いのだ。
別に70年代のアメリカにいた訳でもないのに。

人に薦めやすいキング作品とも言えるかも。
映像化もしやすそう。

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2016年10月27日

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ネタバレ

1973年の夏から秋のアメリカン青春小説。

ミステリーサスペンスやホラーはトッピング的なもので、愛と青春の旅立ちという感じでした。
失恋から始まり、遊園地での仲間たちや子供たちによる再生、大事な人たちの出会いと別れが圧倒的な筆力で物語られています。
現代からの視点で物語られているので、トムなどのその後のエピソードが語られるのですが、エリンの現代エピソードがないところが、サスペンスのネタバレにならないようにしていると思われてうまいと感じました。
キングにしては灰汁が強くなく、むしろセンチメンタルな感じにもなるので読みやすいと思います。
それにしても、この長さだと短く感じてしまう作者ってすごいですね。

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2016年10月20日

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切ない青春小説。主人公の成長とそれを取り巻く人々。ミステリー要素は少なが、スタンドバイミーにも似た、限りある生命の愛おしさが伝わってくる胸熱な一冊でした。

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2016年08月13日

Posted by ブクログ

キングらしいホラー要素に溢れているけれど、スタンドバイミーを彷彿とさせるノスタルジックな青春小説でもある。恐怖と、恋と、人間味にあふれた作品。おと、キングの描く子供はやはり、最高にクレバーで最高のヒーロー。

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2016年08月09日

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「スタンド・バイ・ミー」を彷彿させる作品。もう少し若い頃に読んでいたら、今以上に好きになる作品だと思う。ああ、やっぱりキングはいい!!

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2016年07月23日

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童貞小説でした。ミステリーもホラーもキングの基本アイテムですが巻き込まれた童貞の運命やいかに!
私にはちょうど良い長さでした。長い大長編にありがちな長い中だるみがなくてよかった。

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2016年07月23日

Posted by ブクログ

まずはジャケットで、ん?クリムゾン・キング?と思わされ、早くも術中にはまる。キングと言えば藤田新策、藤田新策と言えばキング…というくらい刷り込まれている黄金コンビに、否も応もなく1973年に連れ込まれて行く。

夏、失恋の気配、遊園地、幽霊屋敷、かつての殺人事件、海辺の親子(美しい母親と病弱な少年!)、凧などの配し方も、緩急をつけたストーリーも、安定して適切で巧いなあと思う。
凧のシーンはやっぱり印象的だよね。

「感涙必至」はちょっと言い過ぎかと思うけれど、遠く甘い夏へのノスタルジーの造形は、見事と言うほかない。

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2016年07月21日

Posted by ブクログ

「クリスティーン」とか「IT」とか、キングの青春ものは大好物なんだけど、本書は、主人公の失恋と友情を描いた前半部分と、後半のミステリー部分がはっきり分かれてしまって上手く融和していない気がした。

マイクとアニー、それにエディをもっと早く表舞台に出して、彼らと主人公との交流を濃密に描いたほうがラストの感動が大きくなったんじゃないかなあ。主人公が彼女に振られる顛末なんてプロローグで十分。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

舞台は70年代のアメリカ、失恋したての大学生が連続殺人事件を追ったり、新しい恋に出会ったりしながら、大人への一歩を踏み出す物語。

大人になってから、印象的だった青春の1ページを思い出すというのは『スタンドバイミー』でもおなじみの手法で、読みながら主人公とともにほろ苦い“あの頃”を追体験するような、懐かしさを覚える。時おり挟み込まれる主人公の現在の姿が、過去の様々なエピソードの結末を先に提示しているのだが、そのさじ加減がまた絶妙だ。

最初のうちは、うじうじした主人公とキング特有の脇道にそれていく描写になかなか集中できなかったが、中盤から一気に引き込まれた。幽霊あり、犯人探しあり、大人の恋と不治の病などなど盛りだくさんだが、読み終えてみればバランスのいい作品だったと思う。

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2019年08月24日

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著者の中ではスタンドバイミー的な系統の作品のようです。私は読んでないですが。私が読んだ中ではグリーンマイルに近いかなと思いました。どうといった話でもないけどグイグイ読ませる系?ミステリの要素もありさすが面白かったです。

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2017年07月17日

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ミステリー4、青春6位のバランスの小説。

ひと夏の思い出といった感じ軽く読めて良かった。

キングはこういった青春小説もあるんですね。

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2017年06月27日

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約三分の一、130ページを読んだ。
なんか苦痛を覚える。なんでこんな本を読んでるのかなと思いながら読んでいる。
自分に合わないだけなのかもしれない。
これまでこの人の本は何冊か読んだ。夢中になったものがほとんどだった。でも…
ここのレビューを見る限りそんなに悪い本でもないみたいだ。さて、もう少し読んでみるか、それとも無駄な時間は切り捨てるべきか、はて?
・・・なんとか読み終えた。親子が登場したあたりから面白くなった。
 若い頃はそうじゃなかったけれど、歳をとってキングの文体があまり好きじゃなくなったのかもしれない。

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2017年02月19日

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ネタバレ

ザ・スティーブンキングだった。ほんとにいつもの、青春と死。今回はその死の部分が弱かったけど、青春の描写はいつもどおりに最高だった。とくに、主人公がハウイーの毛皮を着て、遊園地の託児所でホーキー・ポーキーを踊る場面。人生でいちばん煌めく時間をこんなに嫌みなく、切ないほど鮮明に描くのがたまらない。キングが描くのは、スタイリッシュさとは程遠い、毒がなく田舎っぽいダサい青春だけど、格別にノスタルジーを換気させる。
その素晴らしく美しい青春からまっ逆さまに恐怖のどん底に落とされるのがまたいいんだけど、今回は恐怖の要素が薄目だった。そのため後半はタルい。でもまあ、前半だけでも読んで損はなかった。

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2016年09月04日

Posted by ブクログ

うーん、それほどはまらなかった。相変わらず前半は大きな出来事もなく、中盤で鍵となる親子がでてきてから面白くなった。ってことは自分はキングにスーパーナチュラル要素を求めてるのかな?

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2016年08月10日

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