【感想・ネタバレ】愛なき世界(下)のレビュー

国立T大学の向かいにある洋食店で住み込み店員として働く藤丸陽太は料理人見習い。彼は、よく店に来たり出前を頼んだりするT大学の松田研究室に所属する研究者見習いの大学院生、本村紗英に恋をしてしまう。植物学を専攻する彼女は研究対象のシロイヌナズナに夢中で、恋愛にはまったく興味がない様子だが、この恋はいったいどうなる?

三浦しをんさんご本人によれば、本作は新聞の連載小説だったので、「毎日読む人も飛び飛びに読む人もいるから、ストーリーの時系列が行ったり来たりしない方がいい」というアドバイスがあったそうで、そのためか、お話は非常にわかりやすく進んでいきます。藤丸くんと本村さんだけでなく、研究室の松田教授や先輩たちもそれぞれ個性的にイキイキと描かれていて、気が遠くなるほどコツコツと地道な実験作業の描写が続いても、読み続けている間になんとなく植物学の実験に対する理解が深まるという、非常に三浦しをんさんのお仕事小説らしい側面が存分に楽しめる作品ですが、それと同時に、個人的には「恋愛が“成就”するとはどういう状態を言うのか」を考えさせられた作品でもあり、私はそこがいちばん好きです。何かを追求し続けようとする人を見て癒されたい方におすすめ。

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感情タグBEST3

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ネタバレ

舟を編むでは辞書つくりの世界を、風が強く吹いているでは走る世界を、今度は植物研究の世界を、じっくり、しっかり、丁寧に、そこに料理人のエッセンスを加えて彩りある、知らない世界を浮かびあげ、体験させてもらえた。今回は化学を専攻し、顕微鏡を覗く経験と大学の近くで飲食業経験があったことで、感情移入もよりしました。いつも主人公はのめり込むことができる世界に一所懸命で憧れる。藤丸くんの様に、未知の世界に触れられのは飲食業の喜びの一つです。

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2024年03月22日

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研究で賑やかな大学院での物語。研究者描写がたまらない。女性ポスドク岩間先輩の今後も物語にして、ポスドク界隈事情も世に知らしめてほしい…

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2023年10月24日

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久しぶりの三浦しをん作品をじっくり味わいました

愛なき世界に生きる、愛すべき人々の毎日が、楽しく描かれている、素敵な作品だと思います

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2023年08月12日

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実験の詳細についての文章は専門用語が多く難しいけれど、それもこの小説の世界観に入り込むために必要な部分だと感じました。読後はお散歩したくなりました。

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2023年08月11日

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ネタバレ

絶体絶命のピンチのとき、誰かに相談するのは本当に救いになるのだと覚えておこう。

一章で撃沈して以降も徐々にいい感じになって来た気配があったのに、これは藤丸君最後は大逆転か?と思いながら読み進んだが、彼の恋敵はメチャクチャ手強かった。

本村さんとシロイヌナズナに幸多かれと祈る。

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2023年07月17日

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ネタバレ

藤丸くんにはこのまま引き続き頑張ってもらいたい。

愛なき世界だけど色々な意味では愛に溢れた物語でした。好き

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2023年07月02日

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すき
すきなしをんさんだった

ひとつの事に情熱を注ぐ人を描くのがとても上手。箱根駅伝も辞書作りも、知らなかった世界に興味を抱かせてくれるしをんさん。

今回は植物の研究。

なんだけど、Т大学傍の洋食屋「円服亭」で見習いとして働く藤丸青年の話しから始まる物語。この藤丸青年の天真爛漫さと 少しアホなところがめちゃくちゃいい。

藤丸青年の恋するお相手は T大の大学院で「葉っぱ」の研究をする本村さん。『恋のライバルは草でした』の帯の通り、本村さんは恋することも結婚も捨てて植物に全てを捧げると誓う女の子。
本村さんと同じ研究室の仲間も変人ばかりでまたいい。

本文はほぼほぼ本村さんと愉快な仲間たちの植物に対する異常な愛や 研究内容や 実験や それに対してぶつかる壁や。 専門用語の飛び交う文章に頭は?だらけでついていかないんだけれど、そこで藤丸の存在が救いになる! 本村さんの説明を聞く藤丸の頭の中も?だらけだし、遺伝子AHOを「アホ」と呼び、顕微鏡で見たシロイヌナズナの細胞を「星が見える」と感動し、あ、藤丸 わたしと同じレベル、これでいいんだ!って安心して読み進められた。研究室のみんなも 藤丸の「公私混同」を「子牛近藤」と脳内変換するアホさに、いや可愛さに救われてるはず。

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「その情熱を、知りたい気持ちを『愛』って言うんじゃないすか?」
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植物を愛する本村さん
本村さんに恋する藤丸
藤丸に愛情を持って接する師匠や常連客

「愛なき世界」は あちこちに愛が散りばめられた世界でした。

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2023年06月24日

愛に溢れています。

単行本で読みました。(現在販売終了)やはり三浦しをんさんの作品は大好きです。今回の作品も登場人物が素敵な人たちばかり。研究者の人達が身近に感じました。藤丸君がどんどん植物に興味を持つように私も引き込まれました。

#ほのぼの #感動する #深い

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2022年01月04日

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専門知識が多いページはサラサラっと流しましたが、、、
藤丸くんが素直で可愛すぎて、本村さん!!って何回もなりました。
三浦しをんさんの本は文章がとても読みやすいので、つまずくことなく読み終えました。

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2024年05月18日

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登場人物の 色がますます濃くなってきて 楽しかった。本村さんの実験の説明は むずかしい所も あったが 本村さんの研究について熱意が感じられた。彼女を大きな愛で見守り 応援しながら 成長していく藤丸くん、ステキです。

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2024年05月10日

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ネタバレ

藤丸くんの愛はついに本村さんには届かなかった…!タイトル回収。
でも、恋愛とかとは違う形の愛情にはなった気がする。
いわゆる「嫌な人」が全く出てこない本なので安心して読める。
松田教授の友達が亡くなった話は松田教授の心情がリアル過ぎて泣けた。
しかし、ホントに植物って感情とかないんだろうか。総じて感情とは?ってドグラマグラな感じになりそうではある。

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2024年04月22日

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ネタバレ

後半も本村目線で、実家帰りから始まる。松田教授の親友とのエピソードでは、親友である奥野の父親に真実を語った際の父親の反応に涙。しかしフィルムカメラを使っているとするとかなり昔ですね。木村によるサンプルの選定ミスから来る大失敗がとてもありそうで巧妙ですね。実験の細かな描写といい、(解説が丁寧すぎて読み飛ばしてしまったところもあり)また植物に取り憑かれた院生たちの心の葛藤といい、作者は相当大学に趣き取材を重ねたのだろうと思う。
最後の章は再び藤丸目線。恋愛成就にならないところも個人的には好感。
読んでいて植物に興味をもった。せめてよく見かける植物の名前くらいは覚えたい。

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2024年04月17日

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植物の研究
面白そうだなと思った。
植物好きだけど、今まではただ眺めているだけだった。
変異株の存在も気にしたことはない。
ただ眺めるだけ。
我が家にもパキラがいるけど、葉っぱの大きさの違いとか気にしたことがない。
これからはちょっとその辺も気にしつつ観察してみよう。

藤丸と本村の関係。
悪くないと思う。
何度振られても好きなものは好きだろうし。

三浦しをんさんの作品、やっぱりいい。

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2024年03月09日

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ネタバレ

植物研究に並々ならぬ情熱を燃やす研究生本村さんと、彼女にひとめぼれした真摯に料理に向き合う料理人藤丸くんの距離感が、植物研究の進捗と共に少しづつ近づいていくのを見守る物語。不器用な二人が誠実に仕事に互いに向き合う姿が尊い。

植物は本村に愛されているから愛ある世界にいるのなら藤丸に愛されている本村も実は同じ形で愛ある世界にいるのよね。そこまで同じ方向向けているのに、あの不器用さと思い込みの強さではしょうがないけど、さすがにちょっと藤丸くんが不憫でした。何年かしたら少し余裕が出てくるかもしれないから諦めずにひっついておけ。いつかどこかで幸せになれるといいねえ、藤丸くん。

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2024年02月27日

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ゆるりと。
久しぶりに好きな新たな好きに出会えたかも
植物には詳しくないけど、愛がないわけじゃない
そこに愛を持って接している人も居る

本音が出ちゃうところも狡いって思っちゃうのもあるあるって思う。
そこを正直に謝れる岩間さん好きだな
終わっても、また始まるから。
藤丸くんもまだまだがんばれ
身近な気持ちになって、自然とみんなを応援できる
嬉しい作品

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2024年02月23日

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この物語にこの題をつけられるというところに、やっぱり作家先生はすごいと感じます。
『舟を編む』から続けて読みましたが、三浦しをんさんの書く、何か情熱を持った人物像は力強くて、それでいて一人の人間としての迷いや弱さも感じてこんな風にありたいと励まされます。

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2024年01月26日

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2022年3月に購入して長らく寝かしてて、読み始めたらなんと先日終わった「らんまん」とシンクロすること!国立T大理学部植物学教室が舞台で藤丸くんが登場して。
リケジョというだけでは収まらない植物に魅せられた、でも可愛げのある本村さんと、本村さんが好きななんともいい奴の藤丸くん。藤丸くんの恋はこの先も成就しないと思うけど、もう少し見ていたい気持ちで読み終わる。

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2023年10月16日

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静かな世界、にある真摯さとすこし狂気

三浦しをんさん、なにかに熱中してるひと、好きなんだろうなあ、とか。
おもしろさをお裾分けしてもらえて、うれしい。楽しい。

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2023年10月12日

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植物学の研究室をテーマにした。軽やかかつ、のどかな話。
観葉植物を飾ったり、植物園に行ったりが大好きな自分にとっては、かなりストライクな話だった。
星空を見上げたり、大海原を見たりすると、宇宙や世界の壮大さを実感する。ただ、小指よりも小さいような植物の葉っぱ一つ一つにも、この世の神秘が詰まっている。
知りたいと思う気持ちを大切にしていきたいなと思った。
あと、藤丸青年めっちゃいい人!

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2023年09月30日

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愛ある世界。それは人間愛だけでなく、色んな形がある。対象をもっと知りたいという気持ちもまた、愛であると。人間同士のありふれた恋愛モノでは収まらないというのが、これまた良い。

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2023年09月10日

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楽しく、最後までさわやかな気持ちで読みました。

藤丸くんの作るお料理が美味しそうなのと、研究室の皆さんへの愛おしさと。

好きなことに全力で向かう方たちは本当に素敵だと、読み終えた今もまた思いました。

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2023年08月21日

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主人公が好きな人が夢中な植物の研究に対して素直に、かつ鋭く、自分の世界(料理)と照らし合わせながら理解しようとする描写がとても好きだった。
理解出来ないことに落ち込むのではなく、そこから相手ぎ何を大切にしているのか感じ取ろうとすることを諦めない姿勢が眩しく、また、私に欠けているものだと思わされた。

途中、複雑な実験の描写が続き、正直飛ばしてしまいたくなることもあったが、その細かい描写も本村さんの特徴や性格、また研究者のシビアさ、楽しさを現しているのかなと解釈した。

私は研究車には向いてない笑、
と思いつつ、どこか憧れてしまう自分もいた。

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2023年08月19日

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大きな出来事といえば本村の実験が根本から無になりかねない大失敗くらいで、あとは淡々と日々が過ぎていくだけなので、ストーリーにメリハリがないとも言えるけれど、三人称で語られることによって地の文で作者が登場人物に突っ込みを入れられるため、ちょいちょい吹き出してしまう。
こういう場合、登場人物は真面目であればあるほど愉快だ。

特別賢いわけでもなければ、どちらかといいうと人より不器用(手先も人間関係も)な本村が、何よりも大事にしているのが植物への愛情。
その割に植物枯らすが。

だから藤丸の気持ちに応えることができないと思い定めている。

藤丸は、本村以外に好きな人ができてもかまわないけれど、多分しばらくは本村一筋なんじゃないかな。
だって、植物にそこまでの情熱を傾けられる本村を好きなのだもの。
そしてそんな彼女を見ているのが、決して嫌ではないのだから。

本村も、植物か恋愛かの二択ではなく、藤丸がいいというのなら研究の合い間にちょっとデートするくらいの付き合いはしてもいいのではないかな。
自分で自分を縛る必要はない、と、老婆心ながら思ってしまいましたよ。
すぐに目の前のことしか見えなくなる本村には、よくわからないなりに俯瞰で状況判断してくれる藤丸がお似合いだと思うんだけどな。

教授の過去は思いもかけないもので、教授の思いに泣きそうになったけど、泣かせないのがしをんちゃんの腕。
終始ニマニマしながら読みました。

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2023年07月22日

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研究途中で大失敗をしてしまったことを教授に打ち明けられない本村さんの気持ち、すごくわかる。
その時の先生の反応が研究者としても人としても器が大きいし、研究に限らず、人は大人になればなるほど失敗に不慣れになるんだなと改めて気づかされました。
内容は難しい部分もあったけれど、研究にかける情熱と周りの人達との素敵な関係性がありありと浮かんでくる読後感が爽快な作品。

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2023年05月26日

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人が気に留めず通り過ぎてしまう物事に疑問を持ち、知りたいという欲求に従い邁進する研究者たちの物語。穏やかに、難しくなく描かれています(でも主人公の研究している葉っぱの仕組みの詳細は、ほぼ理解できず。できてもびっくりだけど)。主人公の女性は自分からかけ離れた人物で共感はあまり出来ないが、応援したくなりました。もう1人の主人公の青年の朗らかさがよかったです。彼の視点でのストーリーが多かった方が楽しめたかもしれない。けれど、女性主人公の研究へのひたむきさが伝わってきたので、よかったです。指導教授の松田先生みたいな人のもとで研究できる学生は幸せだろうな。

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2024年01月28日

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ネタバレ

上巻に続きあっという間に読むことができました。
植物を真剣に研究している人たち、難しい用語が出てきても藤丸と一緒になんとなくわかるようになりました。
藤丸、本当に好青年ですね。そして大将と彼が作るご飯を私も食べたい!と思いました。この店なら一人でも入れそうw

最後の最後の展開が納得は出来るんですがもう少しその後の話が読みたかったなと思った次第です。あれから数年後、彼らはどうなっているのか。

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2023年10月09日

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三浦しをんさんの小説は、いつも登場人物が魅力的。もっと各人物のことを「知りたい」と思った。
さすがの取材力ゆえのことと思うが、実験パートの描写が細かくて長めなので、文系要素しかない自分は、藤丸くんと同じ状態になってしまった。

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2023年08月13日

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全く知らない、研究者の世界。愛なき世界は、沢山の探求心と愛情で成り立ってるんですね。
知らない世界を少し知れた気になれました。
膨大な作業の中で引いたかもしれない当り、読んでるこちらも嬉しくなりました。

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2023年06月20日

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毎回たくさん取材されて書かれてるんだなぁと感心する。皆いい人。激しい事は起こらないけど優しい起伏があるお話。

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2023年06月13日

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やはり植物の研究についての記載が多く、退屈な部分も多かったが、最終的にはほんわかした気持ちで読み終えることができた。

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2023年06月09日

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理系の大学院の生活の様子が分かって縁のない世界のことを知れたことご面白かった。
結末は結局2人とも自分を貫く感じだったので、本村さんの研究一辺倒からの変化も見たかったのが本音です。

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2023年05月25日

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