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でも、立ち上がって
まだ暑さの残る秋。ある書店で銃乱射事件が発生。被害者の人物像や過去から犯人を追う。事件の捜査1本に絞った作品。87分署で1番若手のパート・クリング。金髪でスラっとして、彼のことを嫌いな読者はいないと思う。そんな彼のクレアが死んでいたのだ。前作と同様に人種差別が根底にあり、貧困層、性被害の問題も取り扱っている。
Posted by ブクログ
バート・クリングの恋人であり、これまでも物語の中で仲むつまじい様子を見せてくれた、クレアの死。
クリングとのデートの前に立ち寄った本屋にて、一人の男による銃乱射事件に遭遇してしまったクレアは、命を落としてしまいます。
犯人は誰なのか。そして犯人の目的は…。仲間であるクリングの恋人を襲った悲劇ということで、スティーブ・キャレラはじめ87分署の刑事たちは、躍起になって事件の捜査に向かいます。
なかなか掴めない事件の全貌を暴くべく、復讐の念に駆られながらも根気強く立ち向かう刑事たちの姿に、87分署という彼らの繋がりが見えたように思います。
恋人を失い、失意の底に沈むクリングの姿を見ていると、クレアという存在が彼にとってどれほど大きかったのかを、改めて感じました。
犯人を挙げることに燃えるスリリングな展開と、そのモチベーションとなる心の内を細やかに描いた個々の刑事の心理的描写により、これまで読んできた『87分署シリーズ』の中でも特に、リアリティのある優れた作品であると思いました。
クリングの悲哀を思うキャレラの心情を描いたシーンが、今も心に残ります。