【感想・ネタバレ】歪んだ波紋のレビュー

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Posted by ブクログ

面白かった!新聞記者と報道にまつわる話の連作短篇。話は全部つながってる。報道とフェイクニュース、真贋混ざっていく感じ。短篇がつながって収斂していくさまをドキドキしながら読みました。報道とか真実とか、自分の掴んでるもののもろさを突きつけられる。多分誰にもある傲慢さとか正義とかと向き合わされる感じです。

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2023年06月05日

Posted by ブクログ

非常に耳が痛い。でも思っていることを代弁してくれたような清々しさもある。
「いや、小説内の出来事で、ヴァーチャル・エステイトなどという団体は現実には起こり得ないよ」などと言いそうな人たちに、言いたい。起こり得なくとも、実際に自分たちが立っている場所は、小説の中の種々の会社と同じだぞ、と。
「自由と無料をベースにした難敵を相手にしているという自覚がない」。まさにその通りで、刺さった。
「記者は現場やで」という言葉はまさにその通りで、でもだからこそ、ホンモノの記者がちゃんと存在意義を果たして活躍できる場が必要。誰もが発信できる玉石混交の情報時代だからこそ、過去の栄光に縋らず、おごらず、変わっていかないといけない。
とても胸に刺さりましたーーー。
風刺的でありながら、レガシーメディアのケツを叩くような気概も感じました。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

久しぶりの塩田作品。
新聞記者("元"を含む)を主人公にした短編集ですが、それぞれの登場人物が巧みにリンクしています。

誤報、黙殺、虚報-。
正確さの求められる新聞記事による誤りによって人生が変わっていく人達。
自らが発信した情報の重さに気付く記者達。
彼らが複雑に絡まりあった後に見えてくる恐ろしい存在とは。

世に溢れる様々な情報をどう受け止め、どう考えるべきかというテーマに大変興味があるので、この作品もとても面白かったです。
マスメディアの在りかた、私たちがニュースに求めるもの、発信された情報の扱い方。
現代社会の課題の1つをテーマに、レベルの高い短編集に仕上げていると思います。

レビューを書くのがとても難しいのは私なりの誉め言葉。
とにかく一読の価値あり。

目にした情報を真に受けることなかれ。
今一度、調べて考えなくてはいけないのだと痛感します。

2020年25冊目。

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2022年09月09日

Posted by ブクログ

「ジャーナリズムとは」
と考えさせられる。

タイムリーだなと思ったけど、2018年に出てるみたい。

今読むべき。小説としてのエンターテイメント性もあるからおもしろい。

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2022年07月13日

Posted by ブクログ

連作短編集。それぞれが薄くつながっていて、最後に大クライマックスを迎える、という体。やっぱり好きです、こういう系。フェイクニュースに焦点が当てられているけど、背筋が寒くなる内容。こんなの、フィクションの中での話でしょ、と軽く扱いきれない現状を思ってゾッとする。

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2021年11月26日

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新聞社近畿新報の記者である沢村は、上司の桐野から渡された特ダネのため、ひき逃げ事件の被害者の元へ向かった。そこで悲劇の被害者と思われる女性にカマをかけたところ、予想と異なる反応に動揺する。社に戻ると桐野やその上司の中島の動きがおかしい…。

5人の新聞記者、元新聞記者達が、誤報もしくはもみ消された事件の真相を負うミステリ。短いアンソロジーのようで、その裏にある組織の存在が見え隠れする。

元新聞記者である作者の面目躍如という作品で、テレビ局や組合をネタにした話に比べるとやはり活き活きした筆致で読んでいて爽快。嫌な気分になりそうな話もそんなに気にならない勢いがこの本の醍醐味。

一方で、その勢いが良すぎるのが災いして、近畿新報、大日新聞など、足場が変わっているがその関係が素人読者にはわかりにくいという欠点が有る。

それぞれの話自体は新聞社のシステムが分かっていなくても読める、わかりやすい事件物というところで、やはり書きたかったのは2本目の自殺した元同僚の話なのだろう。

ところで、表題作となる最後の作品で、忘れていたような話が蒸し返されるのだが、フェイクニュースグループは、必要だったんだろうか?まあそれがないと最後の作品は成り立たない…かなあ?個人の恨みなんかでも話はできていたように感じるので、無理にねじ込まなくても良かったかなとは思える。

それでも、塩田武士の作品の中でもおすすめ。最後の終わり方も良かった。良かっただけに、フェイクニュースグループ必要だったかね…。結局そこが引っかかる。

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2024年01月22日

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2023.12.03
ネット社会で「書かれる」ことの怖さを感じる一冊。みな、自分は安全地帯にいてネットの情報を消費しているが、自分が消費される素材になる怖さを考えたことはない。考えたら何もできないということか。

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2023年12月03日

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読んだ後、マスメディアに対する考えが少し立体的に見るようになった。
物語も面白く、また読むだろう1冊。

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2023年06月15日

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ネタバレ

元々メディアの報じる内容が真実とは思っていなかったけど、これを読んで益々そう実感した。
メディアを失墜させるための活動家。
そういう人たちもこのネット時代で活発になってきてるんだろうなぁ。
興味深い内容でした。

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2023年05月20日

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連作中編。既存の新聞ってメディアに対して警鐘を鳴らす内容。まあ面白かったけど、まわりくどいな。一冊で見ると群像劇なんだけど、なんというか人物が多すぎてそれを繋げる横軸がバブルの大物韓国人フィクサーなんだけど、そこがいかにも弱い。ドレインってグループも良くわからないし、放火で死んだ女性もはっきりしないし、記者の自殺も釈然としないんだよな。不完全燃焼。

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2023年01月30日

Posted by ブクログ

何か今のネットで、安易に情報を広げるのにも似通った感じ。
新聞とかの媒体で、誤報は致命症にもなりねない…発信側の致命症は、自身の問題でもあるから仕方ないにしても、発信されて、致命症になる人は別問題!
ネットは匿名性というので無責任になるのは理解できなくはない(調べりゃ分かるんで、ホンマは匿名性ないんやけど。一部の本格的なハッカーとかは、別にして)
しかし、誤報が意図的だとかまでいくと、キツい。フェイクニュースだらけでは、私らは、何を信じたら良いの?…自身で見極めるなんて、キツい…
メディア側も安易な方向に走らすに、地に足つけて、真実を語るように意識改革して〜
現在の最大の武器は、ミサイルとか戦闘機やなく、情報という事が身に染みる作品でした!
「記者は現場やで!」
のセリフが響く…

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2023年01月02日

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誤報、捏造、盛りだくさん。メディアだからといって正しくも高尚でもなんでもない。訂正記事を出したくないとか勘弁してください。

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2022年09月19日

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ネタバレ

短編集なのかと思いきや全てが繋がっている展開は面白い。ただ前の章の人物は忘れてしまっていたので人物相関図みたいなのを作ると分かりやすそうだし面白いと思った。マスコミへの見方が少し変わると思う。新聞だから、ネットだから、という区分はこれからはせず何が真実か見極めがだ大切だと思った。

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2022年09月04日

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期待を裏切らない力作とは感じるも、ストーリー立てが少し複雑で何度も前段の話の登場人物の確認が必要になった。記者出身の著者ならでは視点であると思うが最終的なメッセージを掴み取りにくいとも感じた。

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2022年06月03日

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いろいろ考えさせられるストーリー。「誤報」がなされる背景に、ライバルを出し抜かなければならないとか、会社や個人が存続していくために仕方がなかった…というような展開は想像に難くないが、最後の最後に全く違う視点を与えられ、背筋が凍ってしまった。

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2022年05月01日

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吉川英治文学新人賞受賞作。地方紙記者の報道を通して現代社会の虚と実に迫る。ジャーナリズムの姿を・・・。ここまで描くとは!

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2021年12月17日

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私だって「存在のすべてを」を読みたい
読んで待ちます塩田さん、5作目
第40回吉川英治文学新人賞受賞

元新聞記者である作者が、報道媒体として終わりが近いとも思われる新聞での誤報と虚報による歪んだ情報の対応を描く連作短編集。
誤報により人生を狂わされる人というストーリーは、とても好みです。また、元新聞記者の社会派小説なの?と言われようとも、突き進んでいただきたいと思っているですよ。
どうもプロローグ的な部分が足りなくて、話の流れに乗りにくい。エピローグ的部分が多すぎてまとまりがなくなってしまう。きっと、今、ステップアップ直前の作品で存在のすべてをでガツンとくると期待する。

「黒い依頼」
ひき逃げ事件の誤報と虚報によって被害者側の妻を傷つけてしまう記者
「共犯者」
サラ金問題の誤報により失職流転の人生を歩む女性。その誤報を出した記者との歪んだ関係。そして誤報の情報提供した元記者がその後を追う
「ゼロの影」
報道されない事件の裏側。その真実を知るも保身のため沈黙する元記者でもある新聞記者の妻
「Dの微笑」
視聴率のため報道番組での捏造。気づいた記者が記事として深い部分をネットであげようとする
「歪んだ波紋」
虚報捏造を企てているグループの存在が明らかになる(のかな)古く巨大な情報機関をアンインストールしようとしているとか。
ジャーナリストさん達のこれからの方向性を問うているのでしょうか。
この各タイトルが松本清張作品を意識しているとのこと。おしゃれだけど、チャレンジャーだなと思いました。

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

マスメディアに対する考え?
情報自体を信用させないようにさせる団体達がいる!→自分で情報をよく選ぶ、考えることが大事

ということを伝えたかったのかな?
メッセージ性が強くて私には少し難しかった、、

情報は必ず誰かのフィルター、思いが入ってしまうもの、受け取る方もまた同じ。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

記者魂短編集、ちょい難しかった。

「誤報」にまつわる5つの物語。新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア―昭和が終わり、平成も終わる。気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった膨大な情報に囲まれていた。その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、この国で蠢いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。

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2023年09月04日

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短編がどう最後に繋がるのか、期待高く読みました。元新聞記者らしい展開と陰謀めいた展開になんかモヤモヤした気持ちになったが、何事にも
現場を自ら確認することの重要性を改めて認識した。今までの職業が今後も続くかわからないこのご時世に誰かにたよるネットワークは必要だか、自己責任として自分の目で確認、判断は重要で人から言われたまま信じることは破滅に繋がるなと中年としては恐ろしさがら最後残った、歪んでるわ。

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2023年05月07日

Posted by ブクログ

メディアの在り方…
今ではサクッとネットで『情報』がとれる時代。
そしてその『情報』ありきで拡散される。
果たして…どこまでが真実なんでしょうね。

・黒い依頼
・共犯者
・ゼロの影
・Dの微笑
・歪んだ波紋

それぞれの主人公の視点から描かれています。
あるキーワードで微妙に繋がっており、そして最後にガツリと繋がる。

こんな形式のストーリーは好きなので楽しめました。
だが、社会派!スラスラとは読めんかったな^^;

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2023年01月19日

Posted by ブクログ

塩田さんの作品はどれも好きではありますが、どハマリしたボクシングの話や、将棋だったりオーケストラだったりの話と比べると、いかにも新聞記者らしい『罪の声』や本作はかなり硬質。読みやすさの点から見るとサクサクすいすいというわけには行きません。

しかしじっくり読めば、世の中にはこんなにも「創られた」記事があってしかもそこには悪意が存在することに恐怖を感じます。

新聞を取る人も減っているであろう昨今、ネットに負けじととにかく人の目を引く記事にしなければならない。でも罪のない人までもが傷つけられるなんて。嘘を見抜く力が私たちにも必要。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

ジャーナリズムの誤報や虚報を扱った連作短編集。
事実とは何かと、事実のあり方を問いかける小説。
現代のネット社会では、情報が錯綜し、さらに混迷に拍車をかけている。
マスコミに対しての重い言葉。
「報じないこともまた、誤報」

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

「ニュース」という名の悪意に翻弄される記者たち。「誤報」を通じて現代社会の虚と実に迫る、著者会心の報道小説。
「事実が真実とは限らない」という。「事実」は嘘偽りのない本当に起こった事柄、「真実」はその事柄に解釈が加えられる。新聞記事にも当然、新聞社の方針や記者個人の思想が介入していることを知っておかなければならない。

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2021年12月26日

Posted by ブクログ

マスメディアによる<誤報>が題材の連作短編集。著者の【先輩】でもある横山秀夫さんを意識し過ぎたのか、些からしくない作風に思えるものの、旧態依然とした新聞社に視聴率至上主義のテレビ局、PV稼ぎに躍起となるネットメディアなど、マスメディア全方位への警鐘を声高に鳴らす作品である。所謂民間企業になぜ情報を管理する権限があるのかは確かに深く考えたことがなかった。既得権益に甘んずることで、新興勢力に足元を掬われるというのも決して有り得ないことではない。これからは情報の受け手にもより一層のリテラシーが求められる時代だ。

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2021年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めてから連作短編集だと気付いたけれど、五篇とも虚報や誤報がテーマで、現実にもあり得そうな話だし、結末が気になって一気に読みました。
著者の塩田さんの元新聞記者という経歴もあって、余計リアルに感じたのかも。

最後の「歪んだ波紋」は、ウェブメディアの編集長があんな簡単に言葉だけで信用しちゃうものなの?って違和感が残ったな、、、
記者に限らず、自分で見て考えることを放棄しては駄目だと思いました。

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2021年11月27日

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