【感想・ネタバレ】奥行きをなくした顔の時代―イメージ化する身体、コスメ・自撮り・SNS―のレビュー

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Posted by ブクログ

面白かった。日本の正面顔文化、面白い。

「変わりたい」願望に関する話も面白かった。変身の結果に対する願望ではなく変身そのものへの願望。「なりたい」は現在の自分に戻らないノーリターンの願望であり、「変わりたい」はイメチェンする身近な願望だという記述が印象に残った。
また、女性が自分の行き着く先にある顔を収集・好む傾向にあるというのもなるほど、確かに…と感じた。

作り込まれた顔を批判する声は今はほぼない、という話に実感があった。SNSに流れてくる提示された世界観にあっている、プロデュースされた顔を私は普通に楽しんでいたなと思った。また、あえて雑多で生活感のある背景の自撮りにどことなく二次元感を感じて好んでいることにも気づいた。
私は自撮りをSNSにアップすることに抵抗感を感じているのだが、案外楽しいもんなのかもなぁ〜と思った。

服のように簡単に顔を脱げなくて苦しい
当時の女性の顔に対する意識というか…美醜があまりに大きな価値を占めてたことが伺えて、とても印象に残る詩だった。



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2023年12月28日

Posted by ブクログ

コロナウイルスが日本に広がって、変わったことはたくさんある。その中に顔も入る。マスクで顔を覆うようになり、表情を読み取りにくくなっている。目とマユ毛で読み取る必要が出た。女性の場合、メイクする部分が減った。




今回の本はクリーム、「イメージ化する身体、コスメ・自撮り・SNS」ということで、コロナ時代の顔について取り上げた珍しい本だ。





昔の顔に関する認識を言い表したものとして詩人の作品を取り上げている。それは井坂洋子が1979年に発表した「素顔」という作品だ。





服のように簡単に顔をぬげなくて苦しい





顔は服のように着せ替えできないのだからそうだ。しかし、SNSの発達で、自分の顔を変えるアプリの出現で顔を服のように着せ替えることができる時代がやって来た。






対談:アフターコロナ時代の身体で、ファッション雑誌の世界にも変化をもたらしていると述べている。今ではモデルというよりも、アイドルがファッション雑誌の表紙を飾ることが増えている。




ファッション雑誌はアイドルのファンに買ってもらうことで、何とかやって来ているという厳しい現実があった。




対談:アフターコロナ時代の身体で、ありのままでいいと言いながらも、必ずしもそうならないと指摘している。




例に出しているのが田中みな実の人気はありのままではなく、「現実的には、わりと一元的な価値観に基づいた美容資本がいまだに有効に働いているからではないでしょうか」と述べている。




キレイゴトだけでは生きていけない社会。キレイ、カワイイ、あるいはイケメン、カッコイイと言う言葉や価値観はなくなるものではない。




ただ、メディアで強調すると差別だとして叩かれるようにはなるだろうが。




コロナウイルスが収束したあとの人々の顔がどうなるのか。マスクを外して歩けるようになっても、見た目を気にして「ウイズマスク」で生活する人がどれだけいるのか気になる。

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2022年02月19日

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