【感想・ネタバレ】アウトロー・オーシャン(上):海の「無法地帯」をゆくのレビュー

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Posted by ブクログ

陸で生活する人々は生涯知ることがないであろう、海上の無謀っぷりを追ったルポルタージュ。内容は衝撃的でどんどん読み進めたくなるのだが、無駄に長い文章が若干読みにくい。特に著者の下記の発言には驚いた。『自分は頭が良い特別な存在』という姿勢が文章の端々から滲み出ているように感じる。

「天下の『ニューヨーク・タイムズ』のフルタイムの事件記者である私が社の人材とコネを総動員しても、シンガポールとフィリピンの病理学者を見つけることはできなかった。」

「虐待の話を聞き過ぎると、虐待に対して鈍感になってしまう。さらに悪いことに、虐待というのは画一的なものなので、何回聞かされても毎回同じ話を聞かされているような気分になる。」

アメリカ人でジョージタウン大学を卒業し、天下のニューヨーク・タイムズのフルタイム記者となった著者からすると、低賃金の仕事に飛びつき、過酷な船上で同性からの性的虐待に苦しむアジア人は画一的で哀れな存在に見えるのだろうか。

はたして下巻では、どのように自身のジャーナリズムを満たす旅を続けるのか…著者の人間性はさておき、取材内容は非常に気になる。

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2023年12月02日

Posted by ブクログ

海上は特にEEZ範囲外のいわゆる公海は、一応その船舶の掲げる国籍の司法が支配する場所ではあるが、そこではならず者国家に近い国籍を金で取得してげ、無法の利を貪る企業、海賊が多くいる。現在補給は会場でも行え、小規模な漁船は何年も寄港せず操業を続け、その中では貧しい社会から半ば日本の職業訓練性である話のように騙され連れてこられた人たちがほぼ奴隷のように働かされ、殺人も多く行われている。

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2021年09月18日

Posted by ブクログ

久しぶりに骨太のノンフィクション作品を読んだ。海、特に領海外での実態を生身の取材によって描いた作品。正直読んでいて決してよい気分にはならない。むしろ気分を害するといってもいい。それくらい、過酷な実態を書かれており、ここに描かれている実態が事実なのだという迫力もある。

たとえば、日本の捕鯨船を追うシーシェパードへの同行取材、法律の適用外となる領海外での妊娠中絶船の存在、違法漁船の人権を無視した過酷な労働実態と殺人行為、船を回収する専門家の活動、などなど。

読んでいて気分が悪くなる理由としては、日本が捕鯨活動をしているからでもなく、実際に自分自身が魚を好きで好んで食べているからでもある。魚のフードチェーンについて真剣に考えたことがなかったが、仮に自分が食べている魚が、カンボジアからさらわれた青年が騙されて、船に乗せられ、人権無視で何年も過酷な労働を強いられたうえで得られたものだとしたら、ぞっとしてしまう。

この本を読む前と読んだ後では魚を見る目が変わってしまう。それくらい、インパクトがある本だと思う。

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2022年08月13日

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