【感想・ネタバレ】ある男のレビュー

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Posted by ブクログ

ずっと気になってた初めましての平野啓一郎作品、映画原作、すごく面白かった!
全体的に暗いけど、「人を愛するとは?」「自分とは何か?」という疑問を常に投げかけてくる。
主人公の弁護士・城戸の思考や会話が賢過ぎて「え?大衆小説で合ってる??」と時折戸惑ったけど、平野さんは京都大学出身なのね…納得。「マチネの終わりに」も読んでみたい!

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

きっと誰もが持つだろう変身願望。自分という存在、固有名詞に対する違和感。そんなものを表象したような小節。
人は誰も心の奥底に虚ろなものを抱え、それでも生きていくのだろう。
ミステリーではないが男の正体を探る主人公の弁護士に感情移入してスラスラと読める作品であった。

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2024年05月12日

購入済み

深い

重厚な文体ですが読みやすい作品。重犯罪加害者の家族の問題とか、社会問題を扱っていてとても考えさせられた。さすが作者は法律に詳しい。弁護士ではなく、渦中のXさんの視点で読んでみた。司法とかhateとか今まであまり考えないことを考える機会になって良かった。

#切ない #深い #共感する

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

映画を観てからずっと読みたいと思っていて、やっと入手。

もう打ちのめされっぱなし…

平野さんって、やっぱり文学なんだよなぁ。

先に映画を観ていたのも良かったかも。

良い作品に出会えて良かったな。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

めちゃめちゃはまった。平野の文体はさすがに美しい。展開もそれぞれの個性もきれいにはまっていてお見事。「ある男」を通していろんな人生を見ることができた。人間にとって過去とは何だろう。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

小説を見てから映画を。
サスペンスの要素もあり、家族の物語でもあり、差別を考える内容でもある。
確かに一緒に生きた幸福な時間があっても、自分と出会う前にどのような人生を生きてきたかは確かめずにはいられない。
出自は自分の力ではどうすることもできないのに、そこに根強くある差別はなくらならいのだろうか。

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

主人公が絶えず、色んなことを自分に返って考えていて、私もこの本を通じて、木戸さんの人生を考え方を教えてもらった。震災後の木憂鬱な社会が、震災の色々な長い影響を思い出した。だんだんと真相に迫ってくるのも面白く、あっという間に読めた。

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2024年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

名前は生を受けて初めに授かるもの。でもそれは極論ただのラベルにすぎない。“人”を”その人“たらしめるものとは何か、を考えさせる作品だった。

ーーー
この作品は、ある男を中心に描かれる。彼は林業に携わりながら素朴な絵を描く男で、文房具店の娘里枝と結婚し、花という娘と連れ子の悠人と4人で暮らす、よくいる幸せな家庭を築いた男だった。
だが事故で亡くなったことをきっかけに、名乗っていた「谷口大祐」が本当の名前ではなかったことが発覚する。
里枝から依頼を受けた弁護士城戸が、「谷口大祐」を名乗る”X“の正体を辿っていく。

序盤ではミステリー要素にかなり引き込まれ、この男は誰なのか、ということが知りたくなり読み進めていた。
しかし読み進めていくうちに、これはただのミステリーではないと感じた。

Xの正体という点では、何度か戸籍を交換することで「谷口大祐」となった殺人犯の息子「原誠」であったが、そこは物語の本質ではないように思う。
Xが里枝と会って過ごした時間は間違いなく(何が本来かはわからないが)本来の彼だった。だが彼が原誠だったら里枝と出会っていたのか、彼の語る過去が谷口のものでなく誠のものだったらどうなっていたのか。彼は原誠、谷口大祐、簡単に割り切れる存在ではなく、原誠と谷口大祐、二人の人間が混じり合った人物だったのだと思う。

自分と違う人生、自分以外の人間が混じり合った人生を生きるのはどういう感覚なのだろうか。
違う人生を生きてみたい、というのはたまに思うが、どこか非現実的で、ありえないと思っている。でもそれが叶った時、そしてそれを心から望んでいた時、自分はどういう気持ちになるのだろうか。

私自身、”名前”について考えたことがなかった。親から与えられたもので、それに対して違和感や疑問を持つことなく、当然のものとして過ごしてきた。
だが、名前というものは唯一のものである一方で親や子など他者との繋がりを持ち、そして戸籍がなくなってしまえば案外脆いものなのだと思った。


本書の冒頭では、小説家である”私”が出てくる。
彼は、「他の登場人物(おそらくXなど)を主人公にしなかったことを疑問に思うだろうが、城戸さんにこそ見るべきものを感じた」と言っている。
おそらくは「谷口大祐」を名乗る”X“と、在日3世の弁護士城戸がどこか自身の存在に不安を持つという共通点を持ち、のめり込んでいく城戸にこそ魅力を感じたということなのだろう。
アイデンティティの不安定さに共通点を見出す著者がすごいと思った。
ーーー
内容として素晴らしいのはもちろん、本書の構成も練られたものだった。
最後にまた序章を読み直すことで、”私”から見た城戸を改めて見ることができる。
それにより、今まで読んできた”城戸章良”という人間は実在する人物だったのか、を疑わせる構成となっている点に、さらに感動。

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2024年03月07日

匿名

購入済み

読む価値有り!!

最近読んだ中で上位に入る作品でした。
続きが気になりすぐに読み終えました。
楽しい秋の夜長を過ごせました。
また、作者さんの他の作品にも興味がわきました。
是非、読んでみたいです。

#深い

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2023年09月23日

購入済み

複雑な背景に戸惑いながらも、その物語の世界に引き込まれていった。何も疑うことなく過ごす中で、触れることのない事実があるということが、衝撃的でもあった。人を愛することが人としての全てなんだと思う。家族のかたちはそれぞれであるが、子どもが穏やかに成長できるように、その根底に愛は存在して欲しい。

#切ない

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2023年02月24日

ネタバレ 購入済み

とてもいい作品

最近読んだ中で1番良い作品で、1番表現しにくい作品。
最後に幸せがそこにあって、本当のことを言うべきなのかすら悩んだのではないか、その事で3回目の自殺だったのではないか...。
想像できる限りの当事者の心情を慮ったが、正解はわからない。
生きるとは誰しも難しいのだと、そこに立場や出自は関係なく皆悩みながらそれぞれ懸命に生きているのだと思った。

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2022年09月17日

Posted by ブクログ

そんな事もありえるの?かなぁーと考えた作品。
自分のこと、嫌いでも嫌いでもそこまで出来ない。
自分に非は無くても、、。うーん。
でも世間の目はコワイ。
そういう目で見られるのと、戦うとき
やっぱり内面の強さ?なのかなぁー。
だけど、その度に違う環境に行くのもなぁ、、

これは映画も観たい!と思って、観たんだけど、なんとも、もどかしかったーー
|ω・`)
いろいろ、端折られているーー!
もっと詳しく、触れてぇ〜と感じた。

本を読んで映像をみる。ってのと、映像を見てから本を読むのと
照らし合わせをしたいとき、どっちからするべきだろう〜、、と感じた。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

平野啓一郎さんの作品は何冊か読んでますが、ストーリー構成はホントによく考えられてると思うし、何より、必要な言葉が適切なシーンで適切な使われ方をしているなぁと感じます。
登場人物の心情を表す場面では、あまり長く説明を加えると、一歩間違うと説明過多になり読んでると間延びしたりする事もよくあるが、平野さんの作品は絶対にそうはならないし、全ての言葉が必要な表現方法の道具として機能していると感じます。

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2024年05月10日

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夫が仕事中の事故で死亡
夫の親族に連絡を取ると別人であることがわかり
それじゃあ彼はいったい誰なのかということで
弁護士が調査するお話でした
調査の過程や気づきなど
内容的には満足できました
そういうことだったのかという思いです

読み切るのにかなりの日数を要してしまいました
日々ちょっとづつしか読めなくて・・・

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

城戸さんが、本物の谷口さんと会った時の谷口さんの態度や発言ムカついた。
氏名や過去じゃなく人柄で、「谷口君」は愛されたんだな。人生の最後の数年幸せで良かった。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

事故死した夫は別の人だった。その男は誰なのか?依頼を受けた城戸弁護士はいろいろな人に巡り会いながら真実に近づいていく。自分の在日コリアン3世としての日本史上での過去と向き合って、ずれてしまった妻との関係も話し合いで修復しようとしていく。過去と今を愛すると言うことは愛が変化してきているのだろうと思いながら、その過去が全く違うものだったら、その人を愛することができるのだろうか?城戸弁護士は妻の裏切りを許すのか、また冷たい関係に戻ってしまうのか。今起こることでも愛が試されていると感じた。

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2024年04月22日

Posted by ブクログ

映画を見てスッキリしない部分の、補足説明的に読んでみた。
映画と原作はそんなに違いはなかったが、原作の方がズドンと重い気持ちにはなった。
他人と戸籍ごと人生を交換するなんて事あるのか?!という驚きがあったが、死ぬ以外で人生をリセットできる方法でもあるのかと考えさせられた。誰かと語りたくなる話だった。

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

とても読み応えのある作品でした。
愛とは家族とは自分の存在とは過去とは。

ナルキッソスは一体何の暗喩なのか、まだ考え中です。

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

先日、NHKの「スイッチインタビュー」という番組で、 作家の平野啓一郎さんとタレントのpecoさんの対談を見ました。 pecoさんは昨年亡くなられたryuchellさんの元奥様で、 平野啓一郎さんは、私も「マチネの終わりに」や「ある男」が好きな人気作家です。 大きな悲しみに直面した時、 どのようにして前を向いて歩んでいけば良いのか、 とても考えさせられる内容でした。 これは、我々精神科医にとっても大きなテーマです。 患者さんの治療に当たる時、 薬の治療などで改善すればもちろん一番良いのですが、 実際には薬が効きにくい人もいらっしゃったり、 困難な環境要因などで、 なかなか良くならない人も少なからずいらっしゃいます。 そんな時こそ、精神科医としての力量が問われます。 どのように患者さんと共に歩んでいくか、 一生勉強ですが、常に考えて成長していきたいと思います。

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2024年04月02日

Posted by ブクログ


徐々に登場人物の過去、真実が明らかになっていく展開がおもしろくて、のめり込んでしまった。

序章のバーで出会った「城戸さん」は、宮崎で谷口大祐のふりをしていた城戸章良だったのかな。その後出会った弁護士が中北のことで。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わった後、少し寂しさもありながらお腹の底からジーンと静かに伝わる温かさを感じた。人と関係を結ぶのに私はその人のどの部分を見ているのか考えさせられた。城戸の中で原誠が善人であって欲しいとする気持ちはとても理解出来た。最後の方でミスズの言葉からイメージしていた谷口大輔と城戸が実際にあった谷口大輔の印象が全然違うことに驚いた。谷口大輔という人間は1人だけど谷口大輔と関わる人の数だけ、その人を通した沢山の谷口大輔がいて、その人らしさなんてあって無いようなもので、関わる人がどう見出すかに大きく影響されるものなのだなと思った。とすれば自分の良いところを見出してくれる人と一緒にいるということが幸福な人生を送る上でとても大切で、それを自分の過去が邪魔をするなら私も名前を変えるだろうな。というかこれからの時代、もっと自分のアイデンティティは自分で選べるというふうになっていくんだろうなと思った。名前って過去と結びつく強固なものなんだなと思った。

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

海外旅行に行った際、誰しも思うのではないだろうか。『ここには〝自分〟を知ってる人は誰1人いないのだ』と。そしてなんとなく心の皮が一枚向けたような、そんな解放感を味わったことはないだろうか。読後、ふとその感覚が心をよぎった。

何を持って「自分だ」とするのか。そう聞かれたときに、一番自分を自分たらしめるもの、その軸になるのは「生きてきた過去」ではないだろうか。現在の判断や評価も、未来における可能性も、その人が今まで歩んできた「過去」を足場としている。では、その足場がなかったとしたら、もしくはその足場を変えることができたとしたら・・・。

本書は弁護士・城戸に舞い込んできた『愛した夫の正体が分からない』という謎を、彼と一緒に解き明かしてゆくミステリーである。なぜ、彼は他人の過去を背負い、今を生きる事になったのか。そのことにより、彼の自我・存在はどうなるのか。事件を追うことで、そして根無草のように漂う『存在X』を通すことで、これが特殊な事例ではなく私たち全員に当てはまる『自分とは何か』という哲学・テーマへと視線の内面化が引き起こされてゆく。

作者平野啓一郎氏による『分人主義』のエッセンスを作品の隅々から読み取ることができた。『統一した自我ではなく、その時・その場に応じた様々な自分を人は使い分けている、そしてその全てを総合したものを〝私〟と呼ぶ』。分人主義について自分はこう理解している。谷口にとっては辛い過去を背負う自分も〝私〟であり、愛する妻と子と過ごした短い日々も〝私〟なのだろう。本書後半の林業に関する部分(木としての50年、木材としての50年)も、谷口の人生を象徴しているようで考えさせられてしまった。今の自分を証明・支えてくれている物の揺らぎに不安を覚えると同時に、Xのようにそれらを薙ぎ払い、新しい自分の人生を歩むことにもそこはかとない魅力を感じた。

とはいえ平野氏の表現についてはまだまだ味わえていない部分が多い。Xの謎を追うことばかりに興味を惹かれ、神話についての引用などをじっくり読み味わうことができなかった。本書は映画化もされているため、そちらを鑑賞してからもう一度読み直したい。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

登場人物の心理的な揺れ動きが丁寧に描かれて楽しんで読めた。

あまり気にしてこなかった在日という背景がぼんやりとした不安に変わる。社会の風潮が変わると危うい立場に転落してしまうという不安。


なるほどという感想。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

純文学、訳わかんない表現とかありそう…すごい偏見で読み始めたけど、どんどんストーリーに引き込まれて集中。
ボランティア活動して、他人の為に動きたい主人公。それを偽善と呼び、家族や身内とそれ以外の人たちをきっぱり分ける奥さん。
完全に私と夫の関係と同じだなぁと共感。私も夫にそれは偽善だとよく言われます…でも、いつも思うのは、そんなふうに私が偽善者でいられるのは、現実的な夫が側にいて日々の暮らしをキープしてくれているから。哀しいけど、理想だけではメシは食えない。

あなたの隣にいる大切な人、本当は誰ですか?

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

愛に過去はどう関係するのか。

この命題について、
はじめから最後まで一貫したストーリー。

この小説で気になるのは序盤の存在。
これは誰が書いたことになっているのか。
城戸さんと同じ1975年生まれ、小説家とあるから、著者の平野さんが城戸さんとあったというていで、この小説が始まっているのかな。

そのあたりからもう面白くて、引き込まれた。

城戸さんがある男のことをのめり込んで調べていくけれど、ある男のことを考えながら、実は自分のことを考えざるをえなくなっていく。自分の出生ルーツもある種あまり人に知られたくない過去であり、でも「気にしてないって感じが気にしているってことだ」みたいなことを人に言われてめちゃくちゃ腹たったりとか、ほとんど自分にも向き合う旅になってしまったのでは。

あとこの作者は、嫌な感じのする人物描写を、ほんとに嫌な感じに描くのがうまいと思った。

恭一郎の田舎のイタい経営者風情とか、ブローカーの会うだけで気が滅入りそうなゲスさとか、何より再会したダイスケの荒みっぷりがなんか読んでいて辛かった。美涼がまだかわいいですか?とかヤバいなとか、なんか生きていて欲しいってあれほど願っていたその人の痛みっぷりが…なんとも。

人は過去を取り替えても生きていけるけど、そこから良い現在を積み重ねていかなければ、結局幸せな人間にはなり得ないというか。健全さを少しずつ失ってしまうのかな。

文章中の言葉も独特というか…知らない言葉もあり、なんどか辞書を引いて調べた。勉強になりました。




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2024年02月28日

Posted by ブクログ

城戸さんと、里枝さんと心の描写が丁寧に描かれているなあも思いました。
城戸さんが周りから、「大丈夫?」と聞かれるのはいろいろ考えすぎる所があるからかしら?
具体的に何かあった訳ではないけど、相手との心の動きが描かれているのは流石です。細やかでした。
読み終わって、また最初を少し読みました。
導入部分も改めて読むとまた最初とは違って読めました。

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宮部みゆきの火車を思い出した
そちらでも言及されていたと思うのだが戸籍とは一体なんなんだろうか
こんなに簡単に交換などができてしまうものになんの意味があるのだろうか

戸籍交換をした後に必要ないはずなのに、元の戸籍の持ち主の歴史を背負って振る舞うのは面白かった
他人になることに快感を覚える描写があったと思うがその感覚なのか
もしくは単純に語るのが楽なのだからなのか?

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

ストーリーはとても面白いが、色んな人の名前が出てきて、自分の中で整理しながら読まなければならず、少し疲れた。
映画で見た方が楽しかったかもしれない。

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2024年05月17日

Posted by ブクログ

離婚し故郷に戻って知り合った男性と結婚したが、その男性は戸籍ごと全くの別人であったことが判明。調査を依頼された弁護士がその謎を解明していく。

自分を捨て別人として生きていくことを選択した男性を通して、世の中の理不尽さや弱者への容赦のなさが浮き彫りになる。そのような選択をせざるを得なかった背景がやるせない。

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

他人の戸籍を譲り受け、自分の過去を上書きした男の話。男が死んで真相が判る。感動したのは、残された中学生の息子がその調査報告書を読んで、母親と会話を交わす場面。父親の過去を全部受け止めて生きていこうとする姿に胸が熱くなった。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

作者が天才過ぎて、難しい表現で話が遠くに飛んでしまうことが多々あった。私には理解できなかった。過去にも現在にも避けられない事実はある中で、みんな幸せになるために今を一生懸命生きてるんだな。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

犯罪者の息子は何もしてないけど、被害者側からしたら、犯罪者の息子もきっと許せないだろうな。もし私がそうならば、できれば幸せになって欲しくないし、辛くて惨めに底辺で生きていてほしい。でも、犯罪者の息子からしたら?自分は何もしてないのに、何故日陰で生きねばならないのか。ふついに生きていたいだけなのに。
戸籍を交換したあと、Xは幸せだったのかな。そうだといいな。里枝はXの本当の過去を知って、Xへの愛は変化したのかな。私もそうやって人を愛し続けることができればいいな。
とても辛い話だけど、とても愛に溢れた話だった。

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2024年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夫が亡くなり、夫のものだと信じてた名前、生い立ち、過去全てが別人のものと分かる。自分は誰を愛していたのか。奥さんの立場になるともう何も信じられなくなるだろうけど、残された血の繋がりのない子供の心情まで描かれていて胸が苦しいと同時にその描写が素晴らしいと思いました。
『わかったってところから、また愛し直すんじゃないですか?一回、愛したら終わりじゃなくて、長い時間の間に、何度も愛し直すでしょう?色んなことが起きるから。』
解決はしないけど温かな気持ちになれたフレーズでした。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2024.2.26
恭一を呼んでいなかったらこの事件に発展していなかったことを考えると嫌な奴だと思いながらもキーパーソンなんだよね、、と思いながら読んでた
戸籍を交換するとか自分には別世界のようで、身近に感じられなかったけどほんとにそういうケースも同じ世界であるんだよねと思った
誠は過去が辛かった分、戸籍交換して幸せを掴んでて良かったと思った
この人に自分の人生歩んで欲しいとかこの人になら譲れると思ったと言った大祐も素敵だと思ったね

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2024年02月27日

匿名

ネタバレ

良かったです!

人が人を愛することの多面性を改めて感じさせられる作品でした!

人が人を愛するとき、その根拠を過去の体験に求めることはあり得ます。
一方で、過去の自分に起きた出来事をどう感じとるかは人によって異なるのであり、今回であれば、〈入れ代わった人が語った〉谷口大介の過去にりえが惹かれたのではないかとも思います。

私個人の意見としては、入れ代わった人がありのままの自分の過去を理恵に話したとしても、世間体を抜きにして考えれば、りえに愛されていたのではないかと思います。

城戸も出自に対するコンプレックスを抱いているという意味では大介と僅かに共通点があり、それが城戸の大介に対する印象を美化させていたのではないかという妄想が膨らみました。

夫婦関係についても繊細な描写で、没入してあっという間に読み進めてしまいました。

#切ない #深い

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2023年08月01日

購入済み

ある男

この小説のミステリーな部分とあったかい部分の割合が心地よかったです。
じんわりあったまる感じが。

人ってびっくりするようなことが自分に起きたら、実際はこんな感じなんだろうな、て気がしました。
この微妙な感じをうまーく表現出来ていて、引き込まれたんだと思います。

家族の在り方てほんとそれぞれだけど、そこに心を乗っけるか乗っけないかでまるっきり行き先違うんだなぁ、て再確認した作品でした。
フィクションだけれどもこの家族がうまくいくように応援して祈りました。

#ほのぼの #泣ける #切ない

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2023年05月17日

ネタバレ 購入済み

アイデンティティを揺がす一作

「ある男」というタイトルは不確かな人物を指す筈だ。そんな曖昧で内容がなかなか見えてこないタイトルが故に「ある男」とはどんな奴だ?と気になり、さらには映画化も決まっているということで手にとってみた。
「ある男」というのは奴のことを差しているのだと思うが、正直なところ、その「ある男」は特別何か光って見えるとかそんなものではなく、日常のどこかに溶け込んでいるような平凡な人物であったなぁというのが私の受けた印象。
ではなぜ奴を「ある男」と呼んでいるかというと、名前を偽って生きてきていたからだ。
奴がしていたように、もし私の妻が名前を偽って、さらには戸籍を他人と交換して生きてきたのだとしたら私はどう思うのか考えさせられた。
そのまま好きでいられるのか?そんな嘘を許せるのか?など。たぶん無理。
他にも、実際戸籍の交換は不可能であると信じたいが、可能であったとして、この戸籍の交換というのは何かメリットはあるのだろうかと読んでいて思った。
戸籍を変えたいと思う理由でまず考えつくのは、傷のついた経歴を無かったことにしたいからだと思う。それって傷のついた経歴同士を交換することになるから、必ずどちらか一方はより傷の深い経歴を持つことになるのでは?



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2022年07月04日

ネタバレ 購入済み

試し読みでは面白かったのに

映画は見ていないのですが、表紙と映画のシーンに興味があり、試し読みで面白いと思い購入しました。ある男の正体を知りたいと思い読み進めました。結末は戸籍の交換の話ですが、弁護士が在日韓国人の為差別を受けてきた事などのエピソードが何度も何度も出てきて少し鼻に付きましたそこがなければ、もっと面白かったのにと思いました。

#切ない #タメになる

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2023年02月12日

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