その薬が救えるのは命か魂か。
行き場のない死者の魂が落ちる場所である「辺獄」で、その身そのものが薬となる人間の少女は、異形の医者と共に自らを削りながらも病を癒し、様々な出会いを通じて自分や世界を知っていく。
天使や悪魔、命と魂、人々の思いが全6話で描かれる、悲しみと慈しみに満ちたダークファンタジー。
一見するとホラー・サスペンス系の雰囲気を感じるタイトルですが、内容的には少し複雑なところがあるものの、ダークでありながら繊細な物語が繰り広げられ、全6話とは思えない満足感がある作品です。
また、病や命を題材にしてはいるのですが、グロテスクだったりキツい表現が多かったりするわけでもないので、そういった描写が苦手な方も安心して見られる内容になっています。
ネタバレになってしまう部分もあるので具体的な内容は控えますが、何よりも主人公である人間の少女と異形の医者の関係性が非常に魅力的でおすすめポイント!
個人的には、もっと眺めていたかった、もう少し続いてほしかったと願ってしまうくらいに読んでほしいと思う一作でした。
感情タグBEST3
愛される世界
ヒロインが本当に登場キャラたちに好かれているのが、愛おしくて楽しいです。ともすれば暗い方向に向かう可能性を秘めている作品が、こんなに安心して読めるのは、有一先生の手腕によるところ。
キャラクターたちが生き生きとしていて、しかし、その裏に秘められた謎のようなものも見えてきて目が離せない展開です。
久しぶりにのめり込んだ名作
ストーリーの構想がしっかりと練られ、展開も早い。医学的な面もきっちり押さえられている。さらに、絵も細部にわたり描き込まれており、毎回楽しませております。読み返す度に色々と考えさせられる面があり、じっくり単行本で読んでみたい気がします。次回が待ち遠しいです。