アメリカに生活していると中南米の国々との関係を日々意識せざるを得ない。政治、文化等に大きな影響を及ぼしているし、その影響力は益々大きくなることは間違いない。
一方でその歴史、国の成り立ち、個々の文化等、知らないことが多いことに改めて気付かされる。
本著は中南米の歴史を古代から現代へ広く薄く解説してい
...続きを読むるもので、全体の歴史の流れを知るには参考になった。
然しながら、全体の大きな流れを重視しているが故に、個々の国の成り立ちや、そのアイデンティに関しては、物足りなさがあり、これはもう少し国別の歴史を追うしかないのだろう。
単純にスペイン、ポルトガルの旧植民地、という扱いではなく、イギリス、アメリカの影響、また、独自な文化との融合等、興味は尽きない。
以下引用~
中南米の歴史のステージ
1.アジアから渡米した民族が、南北アメリカの各地に定着して、他の文化圏からの影響をほどんどうけず、自力で国有の文化を創造した時代。
2.1492年のコロンブスの渡米にはじまり、アメリカ大陸の大部分が、スペインとポルトガルの政治支配下に入り、その強烈な影響のもとに、ラテン・アメリカ文化の形成がはじまった時代。イベリア両国は、経済的にも他国を排除して、アメリカ植民地との通交を独占しようとした。この体制は、原則的に19世紀初めまで、約300年間続いた。
3.17世紀以降、カリブ海を中心に侵入をかさね、イベリア両国の独占体制を崩そうとしてきたヨーロッパ列強、特にイギリスの勢力を背景に、ラテン・アメリカ各地で独立国が成立した19世紀はじめから現在までの時代。これは大きくわけて、イギリスの経済的支配が強かった19世紀はじめから第一次大戦までと、アメリカ合衆国の影響が決定的になったそれ以降の時代、を区別することができる。