工藤庸子のレビュー一覧
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フランス史はおろか世界史の基礎知識不足の読者(私)にもわかりやすい。それは著者の専門領域であるフランス文学を引用しながら、史実とその背景を読み解こうとする試みにあると思う。
フェミニストらしく、「その時女性の立場は」という視点を必ずいれているのも好感。
政教分離と市民社会について、新書の範囲でよくま...続きを読むPosted by ブクログ -
一読の価値アリ!!
政教分離の問題、西欧(特にフランス)における宗教の扱いの近代史がわかりやすく解説されています。
例のスカーフ事件も、フランスの歴史的な観点から解説されているのでなかなか興味深い。
宗教問題というのは日本人には縁遠い感じなのでとっつき難い部分もあるかもしれませんが。Posted by ブクログ -
フランスの女性参政権 -2007.04.18記
1789年の人権宣言をもって革命の先駆をなしたあのフランスにおいて、女性の参政権が認められたのは、第二次世界大戦の終結を目前にした1944年であったという、工藤庸子の「宗教vs.国家」書中の指摘には驚きを禁じ得ないと同時に、おのれの蒙昧を嘆かず...続きを読むPosted by ブクログ -
レ・ミゼラブル、フローベール、ゾラなどを読み解きながら当時の歴史事実とリンクさせて、フランスでの政教分離"laïcité"がどのようなものか?というのを歴史的に分析した本。ガチガチの学術書ではないから、それほどしっかりした分析が行われているわけではない。だから、入門書という位置づけが正当かな。フラ...続きを読むPosted by ブクログ
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フランスに旅行したとき、意外にも黒人が多かったことに驚いた。フランスの移民の歴史については大学のとき学んだけど、まさかこれほど多いとは、と思った。民族問題と関わってくるのが宗教、とりわけフランスでは政教分離というスタイルだ。黒人移民は主にイスラーム圏からなのだが、それを象徴する事件として、少し古いが...続きを読むPosted by ブクログ
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『失われた時を求めて』のプルーストと、『シェリ』や「クロディーヌ」シリーズのコレットという同時代の作家を取り上げ、世紀末から1920年代のパリの風俗が両者の作品世界に取り入れられる仕方を論じています。
著者は「エピローグ」で、この時代の女性の変化を「見られる女」から「見る女」への脱皮だと要約するこ...続きを読むPosted by ブクログ -
現在は当たり前となっている「政教分離」の原則がフランスにおいてどのように成立したのかを論じた本。内容は第三共和制(1871-1940)の時代のことが中心になっている。
フランスでは、ナポレオン3世の第二帝政期から政府とカトリック教会の対立が激化していた。第三共和制が成立すると、教会も市民社会...続きを読むPosted by ブクログ -
[ 内容 ]
権力をめぐって対峙するカトリック教会と“共和派”の狭間で、一般市民は、聖職者は、女性たちは何を考え、どう行動したか。
『レ・ミゼラブル』などの小説や歴史学文献を読み解きながら、市民社会の成熟してゆくさまを目に見える風景として描き出す。
[ 目次 ]
第1章 ヴィクトル・ユゴーを読みな...続きを読むPosted by ブクログ -
フランス第一共和政から第五共和政までの宗教と政治との関わり合いについて。同時代を扱った他の作品などを理解するための副読本として、理解しておくと良いのかな、という感じ。
それにしても、鳩山首相のおかげで、友愛が耳慣れた言葉に変わってしまったなぁPosted by ブクログ