J・K・ユイスマンスのレビュー一覧

  • さかしま
    世俗を厭い、人里離れた一軒家に自分の趣味を詰め込んだ理想郷を夢見た青年の話だった。
    無邪気さを持っていたはずの少年が世の中を知るにつれ、いつしか偏屈な大人になっていた。資産はあるが孤独であったことが少なからず影響していると思う。
    孤独で静かな部屋で語られているのに、その内容は何よりも刺激的で歪んだ情...続きを読む
  • さかしま
    引きこもり貴族が世界中から宝石とか花とか香水を買い漁って部屋にぶち撒けて遊ぶ、スーパーこどおじ小説。
  • さかしま
    デ・ゼッサントは病弱な貴族の末裔で、パリを離れ趣向を凝らした屋敷で隠遁生活を送る。下女には修道女のようなボンネットを被らせて歩かせている。およそこの世の放蕩生活をし尽くした主人公は、ペイステギの仮面舞踏会を思わせるような葬儀のようなパーティー、喪の宴を開き、隠遁先では黄金の盾を背負わせ宝石をあしらっ...続きを読む
  • さかしま
    これほど美しい世界観を持った主人公は他には、なかなかいないと思います。
    この本の耽美な世界に溺れるのが大好きです。
  • さかしま
    ウエルベックの「服従」の流れで読んでみた。
    1884年の小説だけど、とにかく暗い。
    いくらお金があっても、病気になるとネガティヴになる感じがリアルに書かれている。
    そしてとにかく性格が悪い。金持ってるやつが性格悪いと最悪だっていうw

    好きなのは
    主人公のデ・ゼッサントが、歯医者が怖くてたまらないけ...続きを読む
  • さかしま
    反自然主義、反小説であり、デカダンスの聖書と呼ばれ、ワイルドやブルトンに影響を与えたらしい。人工的な楽園に閉じこもり高度に洗練された収集物を前に奔放な想像力は時間や地理上の制約を受けることなく旅をする。想像力の前では現実は無力であり虚しい幻想である。没落する貴族になりかわり台頭してきたブルジョワへの...続きを読む
  • さかしま
    デカダンスの聖典。
    特に大きな話の流れがあるわけではなく、主人公の退廃的な生活がつらつらと書かれています。どこから読んでも楽しめる感じです。
    それだけだけど、とにかくそれがかっこいい。大好きな本です。
  • さかしま
     なんともいいがたい。デ・ゼッサントの孤独と趣味に走った日々の話。各章でそれぞれ主題が決まっていて、文学や宝石、花や酒に対する博学がかき鳴らされる。文句なく面白く、ずいずい読み進んでしまった。文句なく面白いのだが、人に薦められるかといえば、微妙。
  • さかしま
     自然は実際にはグロテスクで不潔で危険極まりないということから、デ・ゼッサントは人工物をこよなく愛する。小説の最後らへんで衰弱して潅腸法による栄養摂取しかできなくなった時も、これぞ人間にしかできない芸当だ、などと考えて満足するしまつ。あらゆることを可能にする空想を第一とし、現実は何とも醜いものだとし...続きを読む
  • さかしま
    絶対最後まで読めない、と思って読み始めたら、意外な程に面白い。
    貴族ゼッサントの趣味を語るだけのお話なのに。何故か引き込まれて読める。
    このゼッサントの、好きな空間で自分が認めるモノだけを愛でて生きていきたい気持ちは分からなくもない。
  • さかしま
    貴族ニートのデ・ゼッサントの偏執的な一人趣味が延々と語られる訳のわからない一冊。登場人物は基本的に一人。特にストーリーがあるわけでもない。
    自宅の食堂の周りを水で囲んで海に行った気分になる。旅行記を読んで旅行に行った気になる。夕方に朝食を食べて夜に昼食を食べる。ラテン語文学にやたら精通している。モロ...続きを読む
  • さかしま
    技術と人工に魅せられた主人公のほぼ独白のようなかなり変わった小説。澁澤龍彦の訳がかなり秀逸(癖はある)で、主人公の造る人工世界の悪魔的煌びやかさが過剰に展開されるべっとりとした小説。
  • さかしま
    【あらすじ】世の中いやになったのでひきこもっていろいろ連想を働かせていたら躰を壊しちゃいました。ああ、いやだなあ。

    【笑えたところ】インテリアへの異様なこだわり。ひきこもりだから。
    文学への衒学趣味は完璧。あ、でも忘れてた、音楽にもまずまずこだわりあるんだよーとエクスキューズ。その必死さ。

    いわ...続きを読む
  • さかしま
    何かを拒絶し続けた果てには、また違う世界の扉が待ち構えている。論理の構築物に完成がないのなら、逆に、どんな逆境にも、必ず、何らかの世界への扉は、静かに開いていているということだ。しかし、その次の場所が、夢の場所か、現実の場所かはわからない。
  • さかしま
    主人公デ・ゼッサントの趣味嗜好が永遠と綴られる、引きこもり小説です。
    そして、「デカダンスの聖書」と言われることで有名ですよね。
    でもでも、デカダンスの「入門書」と勘違いしてはダメかもです。
    あくまで「聖書」。
    キリスト教の聖書がキリストの生き方を記した様に、デカダンな人の生き方が描かれた内容なので...続きを読む
  • さかしま
    [ 内容 ]
    「生産」を至上の価値とする社会に敢然と反旗を翻し、自らの「部屋」に小宇宙を築き上げた主人公デ・ゼッサント。
    澁澤龍彦が最も愛した翻訳が今甦る。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ...続きを読む
  • さかしま
    2010/5/19

    退廃・デカダンス、教養のすごさ、
    ギュスターヴ・モロー賛美。
    一回の官吏が書いたとは信じられん。
    妄想・書物・偏執・神経症。

    あ、終わっちゃった、と言う感じ。
  • さかしま
    ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」に出てくるヘンリー卿が主人公ドリアンに送った「悪書」はこの本だと言われています。
    あわせてどうぞ。
  • さかしま
    覚悟して読み始めたが、思いの外読みやすく、スッと入ってくるものがあった。(実情は作品真意の3割程度しか解釈できていないものだろうと思うが、理解できた範囲で感想を書く)

    ストーリーは、主人公の

    社会に対する絶望

    厭世的生活(美と頽廃の「人工の小宇宙の創造」。宝石を埋め込んだ亀、口中オルガンなど...続きを読む
  • さかしま
    それこそ澁澤龍彦などの頽廃的・耽美的な世界観にはまっていた時分に買い、積読し、数年が過ぎ、そういう関心の薄らいだいまになってようやく読んだので、そうか……としか思えず、半分ほど読んで辞めてしまった。