とても読みやすかったです。経営のことなんて何にもわからない自分でも、楽しく読むことができました。
“ここに家族だけで経営している食料品店があるとする。”(p.101)の例えは秀逸ですね。これなら、小学生でも理解できるのではないでしょうか。
シンプルな考え方が潔く、わかりやすく、素晴らしいです。
...続きを読むただ、本来ならより伝わりやすいはずの、数字に関するところは……まったくわからなかったです。これはわたしの知識不足と、数字への嫌悪感のせいです。
表はあまり見ずに、流し読みをしてしまいました……。いつか、理解し、しっかりと読めるようになりたいものです。
この方ならではの語彙が普通に使われていて、説明がないので、ことばを知らないと「はて?」と引っかかってしまいました。そこだけちょっと、読みづらかったです。
「プリミティブ」は、太宰治さんの『斜陽』で──表記は「プリミチヴ」でしたけれど──何度も調べたことがあるので、理解できました。
「それくらいのことば、知っておいてくれ」と思われるかもしれませんけれど。人は最初、みんな、何も知らないところから始まるのですよ。得てしまうと、なかった頃のことを忘れがちですけれどね。
本の内容から離れてしまうのですけれど、奥付を見て、ハッとしました。「ブックデザイン 菊地信義」(きくちのぶよし)!
映画『つつんで、ひらいて』を拝見してから知った装丁家さん。数多くの本を手掛けた方で(『サラダ記念日』等が有名)、いまはお亡くなりになっているのですけれど……。この本も彼のお仕事だったとは……。
あらためて、じっくりと表紙を眺めてしまいます。フォントや、配置等こだわってらっしゃるのでしょう。
(以下、読みながら綴った感想)
日にち不明 p.5-8
2022/11/14 p.21-52
p.32
“二七歳で京都セラミツクを創業したとき、”
27歳……! 自分が同じ年齢だと仮定して、会社をつくれるか考えたら、即無理だと思ってしまいます。
勇気と行動力が素晴らしいです。
p.36
“「人間として、やっていいこと、悪いこと」という、ベーシックな基準で判断していこうと思った。”
すてきです。そういうところがしっかりしている人は、すきです。
p.52
“お互いに相手のことを慈しみ、相手のために尽くしてあげるという愛に包まれた家族関係”
そんな「家族」がいるのですか……、この世には。羨ましいです。
2022/11/18 p.52
2022/11/22 p.52-60
p.59
“ただ細かくすればよいわけではない”
そりゃそうですよね。どうして細かくするのか、その本質を理解できなければ意味がないと思います。
2022/11/23 p.60-246
p.60〜
“原料の調合を専業とするかいしゃがあるなら、”
(中略)
“独立した事業として立派に成り立つはずである。そう考えてら原料部門をアメーバとして切り分ける決心をした。”
確かに。それだけで成り立っている会社があるのなら、会社内で切り分けても問題ないです。
p.70
“単純作業が多いアメーバAも高い「時間当り」を出せることになるが、”
ここでの論点と違うことはわかっていますけれど……単純作業を軽視する傾向があるのは、いかがなものかなぁと思ってしまいます。世間的な話ですけれど。
もちろん、専門技術を身につけている人が評価されるべきです。それに異論はありません。
ただ、単純作業もなくてはならない存在であることを、忘れないでほしいなぁとおもいます。個人的には。
p.78
“知っていることと、やれるということは別である。”
(中略)
“なまじ才覚があるため、不正を思いつくのだ。”
最近和尚さんの動画をよく聴いているのですけれど、同じようなことが起こっているようです。善いことをして、悪いことはしない。一桁の子だって理解できるけれど、80歳の老人さえおこなうことはむつかしい……と和尚さんはおっしゃっていました。
大人はあらゆることを知っている分、ずる賢くなってしまうところがあるのでしょうね。素直でいたいものです、いつまでも。
p.80
“
(前略)信じ合う仲間たちから賞賛と感謝という精神的な栄誉が与えられる。
このことを社外の人に話すと、「それでよく機能しますね」と不思議がられることがあるが、
”
仕事の内容より、仕事仲間のほうが重要だと個人的には感じます。その場にいる人が良い人たちだと、のびのび働けますし、その人たちの役に立ちたいとがんばりますし、いいことばかりです。
お金で満たされない部分は数多くあるでしょうからキリがありません。一方、人間関係は満足度が高いです。新たな悩みは出てくるでしょうけれど、かなり心が安定します。
結局働いているのは、人間ですから。人間は心によって行動を変えるものですから。人の心に訴えかけるものは強いのでしょう、きっと。
p.82
“温情主義により、実力のない人物を、年長だという理由だけでリーダーにしたのでは、会社経営はすぐ行き詰まり、全従業員がその不幸を背負うことになる。”
それはそうでしょうね。仲良しこよしでなんとかなるものではありません。
社外の、商品なりサービスなりを受け取る側からすれば、そんなものは関係ないのですから。良いものを提供するためにどうしたらいいのか、それを考えなくてはならないですよね。
p.101
“ここに家族だけで経営している食料品店があるとする。”
この例え、面白いです! そしてわかりやすいです!
どう改善していったらいいのか、稲盛さんはどう考えてらっしゃるのか、よくわかります。面白いです。
時々ある、漫画の表現を思い出しました。
勉強を教える際に「おじいさんとおばあさんがいて……」等と例え話を始めて、教わった側が「すごーい! わかりやすい!」と感動するシーン。大抵その話の内容まではえがかれていないのですけれど……。今回のお話は、まさしくそれなのでは、と感じました。
経営のことなんて一切わからないわたしも、「すごーい!」と感動しました。
p.110
“朝令暮改(ちょうれいぼかい)”
「命令や政令などが頻繁に変更されて、一定しないこと。朝出した命令が夕方にはもう改められるという意から」……なるほど。
一日であれこれ変わってしまうのが、毎日続いたらつらいですけれど……たまに必要な判断をするのなら良いですね。
p.155
“新品を安易に購入するのではなく、まず現在の設備をいかに使いこなすかをとことん考えるように社内で徹底している。”
おぉ……。これ、ミニマリスト的な思考ですね。手元にあるもので代用できないか考えるのは、物を増やさないようにするため、必要なことです。
p.241
“高い目標を持ちつつも、一日一日を全力投球することによってしか成し遂げられないものである。”
天才に勝つために、凡人がすることは日々の積み重ねだとおっしゃっている方がいました。わたしからすれば、日々積み重ねていくことができる人こそ、天才だと思いますけれど。
何にせよ、ちりつもですね。小さなことを馬鹿にしていたら、大きなことは成せないのでしょう。