宮地尚子のレビュー一覧

  • トラウマ
    トラウマという語は最近では気軽に使われるけれど本来は言葉にできないことなのだろう。読み進めていく内に誰もが被害者にも加害者にもなり得ることに気付かされて辛かった。またこの本では割愛されているものの被害者の加害者性や加害者の被害者性についても何時か読んでみたいと思った。最終章で語られた創作という過程を...続きを読む
  • トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回
    題名通りのトラウマにずっと関わってきた著者の「触れる」ではなく「ふれる」である。繊細な臨床をおこなってきた著者の言葉も繊細であり、読んでいる度に心の輝線に触れる。トラウマ臨床で語られにくく、そして対処が難しい性の問題、そしてそれに絡むジェンダーの問題。徐々に難しい問題に章を進め、男性の性虐待の問題に...続きを読む
  • ははがうまれる
    子育て中で色々と悩む時に、ほっと一息がつけるエッセイだった。大人になった子供を持つ人が書いた文を読むと、今を大切にしなきゃ…と思うものの…大切にできない時間もあるけど、向き合おう!と思えました。
  • トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回
    Pⅲ
    『トラウマにふれる。
    触れる。振れる。震れる。降れる。狂れる。
    触れる。ふれる。ゆれる。ぶれる。ずれる。

     精神科の臨床をしていると,相手の抱えるトラウマ(心の傷)がなんとなく透けて見えることが多い。でもそこに触れた方がいいのか,触れない方がいいのか,迷うこともまた多い。傷には触れないですま...続きを読む
  • トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回
    傾聴とは何か。

    トラウマを知り、トラウマと向き合うことを知ることで、この問いの答えに一歩近づくことができた気がする。

    傾聴とは、自分のアンコンシャスバイアスとの闘いなのだと思う。向き合う相手が深い傷を抱えている程、自らの経験則、培った来歴を捨てて、ありのままを受け入れることが出来るのか、が試され...続きを読む
  • ははがうまれる
    新聞の書評を読んだこととタイトル「ははがうまれる」に惹かれて購入。分かりやすい言葉で、「心が軽くなる子育てのヒント」がかかれています。「母親のための酸素マスク」って、言い得て妙!ですね。
  • ははがうまれる
    ずばり、いい本でした。

    ・子供は親の失敗談を喜ぶ
    確かに!私も母がファミコンをやっていて鍋を焦がした話がたまらなく好き(笑)

    ・親は補助輪のようなもの。なくてはならないものから、あると邪魔!になって健全である。
    上手いこと言う。補助輪として必要とされているうちが花ということか。

    ・母性は育てる...続きを読む
  • ははがうまれる
    母の友で連載されていたエッセイ集。
    一つ一つはとても短いエッセイなので読みやすい。
    著者の人柄が現れているのか、文章も優しく温かい。
    しかし、

    母親の自己犠牲は美化されがちだが、実際には何のメリットもない。

    ズバリと清々しいほど言い切ってくれた!
    素晴らしい!!!
    この前後も夫に読み聞いてもらっ...続きを読む
  • ははがうまれる
    2016.5月
    突然お母さんになる。お母さんもその時に生まれる。ベタベタとママを褒めて持ち上げるのではなく、お母さんの気持ちを存在を正直にまっすぐ受け止めてくれる懐の大きい本。読めばお母さんの心がひとつ強くなるようなそんな感じ。誠実なメッセージ。

    (メモ)
    アウェイ感、子どもをなめていないか、理不...続きを読む
  • トラウマ
    トラウマとはどのような状態のことを示すのか、誘発される病気は何か、どのように向き合うべきか、などを知りたかった。今現在トラウマのようなものにとらわれているが、それに関して一般的な知見を得たり言語化したりすることで回復の糸口がつかめればいいなと思った。

    世間には自分よりもっと過酷な状況、深刻な症状の...続きを読む
  • 震災トラウマと復興ストレス
    震災とその後の復興にも傷つき、ストレスだらけであること
    被災者、支援者、傍観者それぞれのストレスについてわかりやすく説明
    いろんな立ち位置での罪悪感を鋭く説明されていた
     
    震災の意味、自分の人生に持つ意味を考えるとあるが、具体的に対策まではさらっと書いている
  • ははがうまれる
    最初から母であるわけがない。
    母であろうと、産んだ瞬間から後戻りできない道を歩き始めるのだ。
    なのに、当然のように母であることを求められる。できないことを責められ、また自分でも責めてしまう。
    そんなことしなくていい。
    大丈夫。
    完璧である必要なんてまったくない。
    だって、育児しながら育自してるのだか...続きを読む
  • トラウマ
    社会がトラウマを作り、トラウマが社会を更新していくという本書の主張に納得した。トラウマから社会を見ると、見えてくることが色々あるなと思った。汎用性の高い主張。勉強になった。
  • 震災トラウマと復興ストレス
    被災地支援を知るために手にとったブックレットでしたが、読み進めるにつれて、別の「現場」でも応用できる考え方が紹介されていることに気づきました。

    トラウマの中空構造に関しては、「語られないこと」をも大切にされていることが伝わってきて、胸がじんわりしました。

    「環状島」について知ったのは、このブック...続きを読む
  • 震災トラウマと復興ストレス
    【環状島=トラウマの地政学】で書かれた
    「環状島」をモデルに
    震災トラウマに焦点を絞って書かれた本

    本自体はとても薄い
    しかし 被災者のトラウマだけでなく、支援者の受けるトラウマを
    キーワードを使い簡潔に説明している
    とても分かりやすい本だと思う
  • トラウマ
    トラウマという言葉は、「PTSD」で有名になったが、逆にこのことで「医学化」されてしまい、問題が矮小化されすぎてしまっているきらいがある。何か大きな問題が起こると、すぐに「こころのケア」が叫ばれるが、いつも微かな疑問を感じてしまう。この著者の本を読むと、いつも何故かホッとする。いろいろな意味で幅広い...続きを読む
  • 震災トラウマと復興ストレス
    なぜか「自分の方が流されれば良かった」「なぜxxxを無理にでも止めなかったのか」と感じてしまう人達、それはどうしてなのか。東北の被災者でない人達も「こんなことで良いのか」と思ってしまったり、傷ついている。なぜ?東北震災から時間のたちつつある今、被災者も支援者も距離を置いている人も心に触れるところがき...続きを読む
  • 震災トラウマと復興ストレス
    震災ボランティアとして2度ほど被災地に行った身として、共感できる部分がたくさんあった。

    特に環状島モデルは秀逸。

    自分自身の問題意識に引きつけて、新たな環状島を浮かび上がらせることができる、というのは興味深かった。

    支援者として、仮設住宅の聞き取り調査に関わること、東京で脱原発の運動などを起こ...続きを読む
  • 震災トラウマと復興ストレス
    岩波ブックレットで薄い、安い。福岡-宮崎間の高速バスで読み切った。どちらかと言えば、被災者を支援する側にとって有用か。著者独自の環状島モデルで、自分の立ち位置がよく分かる。本体と思われる「環状島=トラウマの地政学」が読みたくなった。福岡には山ほどあったのに、ここいらでは売ってない。注文しなくっちゃ。
  • 震災トラウマと復興ストレス
     宮地自身の著書『環状島』にある、トラウマを持つ人と支援者との関係の「環状島」モデルによる説明と、東日本大震災への適用がまず語られる。そのあとに、被災者、支援者、被災地から遠い人、と説明が続き、最後に震災トラウマと復興ストレスについて語られる。
     『環状島』はやや手ごわい本だが、その理論部分を著者本...続きを読む