フィクションでありながら、とても作り物は思えない・・手に汗を握る慟哭のストーリー展開だった。
かなりの分量があり、読み通せるか時間的に不安だったものの、細切れの時間を積み重ねた分、感動がじわじわとボディブローを効かせ、ラストは圧巻。
ホノルル警察の刑事が辿る怒涛の時間は日本人がぜひとも読むべき内容と
...続きを読む思えた。
3部構成で、骨格が明確な事もあり、中だるみは全く感じさせない。
第一部な刑事もの、捜査の執念とお定まり「上司との方向性のずれ」
第2部に入るとマクレディのプライベイトに少しずつ光が当てられていき、事態は思いがけない動きを展開・・ウェーク島、香港、日本と時空間を隔てる舞台が広がっていく。
第3部に移ると急展開。お蔵入りされたと思われていた当初の事件に再び、帰国したマクレディが絡んで行く・・そして。
パールハーバーと言えば日本人の視点ばかりやたら強調されてきたように思えるこれまで。だがアメリカで、ハワイで、香港でそれぞれに命が煌めき、生活が培われ、命がいとも簡単に踏みつぶされて行った。
野沢温泉の山道を歩くマクレディが滑落したり雪まみれ凍傷寸前の体であの人の元に辿り着く。
小説とはいえ、もう感動でした。お湯の中で心身ともにくるまれ一つになって・・これからを思っていくシーン。素敵です。
心は痛んでも優しさにくるまれると蘇っていく。。。