永井みみのレビュー一覧

  • ミシンと金魚
    タイトルと装丁がよくて手に取った。

    どんどん読めるけど、途中で辛くなった。
    けど、がまんして読んだら、最後はなんとかなった。

    そして、なんとも言えない読後感。密度がすごい。
    死が近すぎる。危険な本だ。

    ※でも犬の描写がめちゃくちゃかわいい。
    次は犬がもっとでてくる軽い本を書いてほしい。
  • ミシンと金魚
    認知症を持ち、介護を受けて生活している高齢のカケイさん。
    彼女の視点で日常が進みつつ、カケイさん自身がこれまでの人生を思いかえす物語。

    作者の永井さんはケアマネジャーの仕事をしながら今作を執筆したとのこと。
    読み始めてまず、文章の読みにくさを感じた。文章は全て地の文で進み、語りはあちこちに話題が飛...続きを読む
  • ミシンと金魚
    介護についているからこそ書ける物語。一生分をこの物語に乗せて、他者の中にもある生き様を、こういう経過をとるんだよ、と教えてくれてくれる様な物語である。誰にでもある生き方を俯瞰して読むのは、では、自分はどう生きるか? を問われているよう感じるね。人に対して優しく接することができる人になりたいね。執着し...続きを読む
  • ミシンと金魚
    とある女性の生涯のお話。
    老女の独特なひとり語りが印象的でした。

    側から見たら、主人公はどこにでもいるような女性のうちの一人なのだと思います。そんな彼女の人生がこれほどドラマチックだとは。

    自分も最期の時には、手のひらに花が咲くだろうか、と思いました。しみじみと良い読書でした。
  • ジョニ黒
    大雑把で子供のような日出男と行方不明の父の面影を忘れられないアキラ。懐かしい昭和を背景にして、横浜の人々との温かな交流を活写。笑える筈の彼らの言動も、どこか切なくて哀しい。リズミカルな展開もいい。
  • ミシンと金魚
    とても良かった。
    カケイさんの人生はあまりにも壮絶で目を背けたくなるようなことばかり。
    だけど、ミシンがあって、道子と過ごした時があって、兄貴と広瀬のばーさんがいて、みっちゃん達がいて、本当に良かった。
  • ミシンと金魚
    認知症を患う高齢女性が主人公で、一人称の語りで書かれている。細かく認知症の人の内面を表現していると思ったら、著者はケアマネさんだと、読み終えてから知った。
    主人公の心の中の表現は秀逸で、「ああ、認知症の人からは、こんなふうに見えてるのだ」と納得してしまう。見方が少し違うし、時間軸も少し違う。そして、...続きを読む
  • ミシンと金魚
    最初は認知症の表現がなんだかリアルと感じる程度だったが、主人公とその周りの壮絶な人生がみえるにつれて、夢中になって読み進めた。
    壮絶な人生も認知症になって振り返ると残っているものは少ない、そんなものかもしれない…
    寂しいが孤独ではないだけいいのかもしれないよなぁとも思う。
    1人語りの形だからこそ、本...続きを読む
  • ミシンと金魚
    胸が詰まるほどの傑作。
    認知症のおばあちゃんの内面にここまで深く迫れたものはあるのだろうか。
    過去の苦しみや哀しみをひとり背負いながら生きていたカケイさん。
    その悲しさを分かち合えたことで救われる。
    その事を心から良かったと思えた。

    みっちゃんと今度...続きを読む
  • ミシンと金魚
    心にずんと響いた。

    その生涯は過酷そのものだが、その事実を淡々と受け入れ、あれこれ思い悩むことなく真面目一筋に生きてきたカケイさん。そんなカケイさんも今はオムツを履き、立ち上がるのにも一苦労だ。

    周囲から見たら何も分からない痴呆症の老女かもしれないが、心の中は自由だ。語りに嘘や欲、忖度や計算は一...続きを読む
  • ミシンと金魚
    かぎかっこもなく章もない。でも読みにくくはない。
    主人公の視点から見た世界と主人公の頭の中を洗いざらい書き出した、斬新なかんじ。
    認知症の人はヘルパーさんのことを自分の子供と重ねているのかなぁ…
    壮絶な一生を1人語りで書き切っているのがすごい。
    自分の親が認知症になったら読みたい本。少し優しくなれそ...続きを読む
  • ミシンと金魚
    むかし国語の授業で、すでにボケが始まっていた武者小路実篤が晩年に書いた文を読んだ時のことを思い出した。それを読んだ当時、人間ボケるのは怖いなって思いつつ、でもボケてたら本人は別に何も感じないだろうし、むしろ悩みもなくて幸せなんじゃないかと思いつつ、でもやっぱりボケるのは嫌だな…みたいな事をぐるぐるル...続きを読む
  • ミシンと金魚
    認知症のおばあさんの長い人生。

    デイサービスのみっちゃんや訪問介護のみっちゃんたちは明るくて優しい。

    時々様子を観にくる嫁は、うなぎを食べて長生きしろと言いながら、相続がどうとか言っている。

    一人息子の健一郎はなかなか会いにきてくれず、嫁に聞くと2年前に自殺したと何度も教えてくれる。

    乱暴だ...続きを読む
  • ミシンと金魚
    認知症を患い、身体機能も衰え、人生の終焉に向かうカケイ。その語りは、不思議なほど生命力に溢れている。それは優しいおばあちゃんがお茶菓子出しながら語りかけてくるようなものはなく、有無を言わせぬ迫力でもって顔面を固定されて対面で聞かされているような感じである。カケイが語り始めたら、もういっときも目を逸ら...続きを読む
  • ミシンと金魚
    こりゃまたすごいものを読んでしまった。同じ作者の「ジョニ黒」よりも数段すごい。最近の小説は読む本読む本どれもあたりが多くて、うれしいとともに、この豊穣な世界を今まで見てなかったなんて、もったいないことをしていたなあ。この人の他の本も読んでみたいけれど、まだ二冊しか刊行されていないみたい。
  • ミシンと金魚
    私も少し医療に関わっている。
    デイサービスの人とも触れ合う機会もあった。
    名前も忘れてしまったが、あの時のお爺さんやお婆さんの顔が浮かぶ
    当たり前だけど、人には人生があり、皆必死に生きてきたはずなのだ。その人生を垣間見れると、胸にグッとくるこの感情はなんなのだろう。貴方に優しくした自分は誰かにわかっ...続きを読む
  • ジョニ黒
    「親とはこうあるべき」みたいな理想像を作ろうとして戸惑いながら暮らすのもいいかもしれないが、子供の隣で自分の人生を精一杯楽しむだけでも、主体的な思考と感性を育てる良い教育になるのではと思わされた。
    子供が持つような瑞々しい感想を意識して言葉を使っていて、類似の少ない形の小説だと感じた。
  • ミシンと金魚
    カケイは、お迎えの人力車に乗り込めたのかな。チャンスとだいちゃんのアンバランスな引き手が、軌道修正するあたりの描写が、妙に細かくておもしろかった。
    みっちゃんは、3才でこの世を去ったけど、不幸ではなかったんだな、と思えた。
  • ミシンと金魚
    物語が語り口調で進んでいくので、しかも方言のような独特な口調が読みづらい感じもあるけど、後半その語りがリアルで、お話に力強さが加わったように感じた。
    認知症の人の語りは、つらくて背けたくなり、
    こんなふうに周りを見ているのかな。と感じた。

    主人公のカケイさん、最後に思った言葉
    『わるいことがおこっ...続きを読む
  • ミシンと金魚
    壮絶な人生を送った認知症主人公のひとり語り。ずっしり重く、心が詰まる作品。私は救いを見出せなかったので、とても辛い読後感でした。