歯切れが良くて面白い。といっても乱暴な簡略化をしているというわけでもない。
特に面白く思ったのは、クラウゼヴィッツ『戦争論』を読み込んで消化しきったレーニンが、そのエッセンスを国家間の戦いではなく、共産主義の階級闘争に応用したところ、その絶大なる効果のために20世紀後半に世界が苦しむことになったとい
...続きを読むうくだり。
ナイーブな民衆や「自由主義者・進歩主義のインテリ」を、反論し難い正義感や倫理観の衣をまぶした暴力思想に感染させ、結果として世界の進歩を遅らせたレーニンの罪は重かろう。
現代でも、階級闘争は、環境保護運動に姿を変え、ナイーブな知識人や大衆を惑わし続けている。システムとして環境保護や反核を推し進めているきっかけを創り出した一握りの人々は、環境破壊防止ではなく、もっと利己的なあるいは独善的な欲望を隠しているに違いない。・・というと陰謀史観みたいだが・・。