空木春宵のレビュー一覧

  • 感応グラン=ギニョル
    なんて、なんて美しい「痛み」の物語群なんだ!
    まさに作中で引用されてた「きれいはきたない、きたないはきれい」が全編に通奏低音として流れているような。
    痛みに苛まれている側が主体性を獲得したり復讐者になる場面のカタルシスが最高すぎる。
    可哀想と思うことを許さない、痛みを持つ者の気高さがそこにある。
    1...続きを読む
  • 感応グラン=ギニョル

    なんと美しい文章と世界観…‎߹ㅁ‎߹)♡

    昭和レトロで耽美でSFとは…大好きです♡



    空木春宵(うつぎしゅんしょう)さん。
    初読みの作家さんです。

    短編集一作目の『感応グラン=ギニョル』のページを捲るともうチャカポコ聞こえてきそうな文章…(≧∀≦)

    芝居小屋、劇の開幕シーン、時代背景が昭...続きを読む
  • 夜の夢こそまこと 人間椅子小説集
    本気が感じられるアンソロジーだ。全編、妥協がない。絶対に楽しい。

    「地獄のアロハ」には、池田貴族など、早逝した友人たちをモデルにした人物が出てくる。オーケンの昔のエッセイをよく読んでその時代の空気感に憧れていた90年代生まれのわたしは、ホロリときた。そして後半のカオスにオーケンやっぱり天才か…と。...続きを読む
  • Genesis この光が落ちないように
    SF短編アンソロジー

    今回が最後のGenesis、以後は紙魚の手帖に移行するそうです
    海外作品ばかり読み耽っていた時期に、日本SFを読みたいと創刊号を手に取りました
    以来ここで何人もの推し作家様と出会い、珠玉の作品の数々を拝読いたしております
    自分の人生の一部であるこのアンソロジーが終了するのは少...続きを読む
  • Genesis 白昼夢通信
    東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。

    ■高島雄哉『配信...続きを読む
  • 感応グラン=ギニョル
    タイトルと装丁に惹かれて手に取りました。表題作他、「地獄を縫い取る」「メタモルフォシスの龍」「徒花物語」「Rampo Sicks」収録。どの物語も耽美でありながらグロテスク、スチームパンクを思わせる世界観、文章共々とても好みでした。お気に入りは見世物小屋を舞台にした「感応グラン=ギニョル」、吉屋信子...続きを読む
  • 感応グラン=ギニョル
    『地獄を縫い取る』という短編が良かった。性欲の吐口のための人工知能を作るみたいな話で、ぞっとするものがあった。
  • Genesis されど星は流れる
    SFアンソロジー7作品短編集。
    Genesisも3冊目となり、人の想いの数だけSFの世界があることを、あらためて知る構成。
    SFは日常のそこかしこに息づき、私たちの人生に奥行きと彩りを添えてくれます。


    『エレファントな宇宙』
    アクションSF。ミリタリー好きな方に超オススメ。
    宇宙から高次元生命体...続きを読む
  • Genesis されど星は流れる
    今回のアンソロジーは読みやすい作品が多かったように思える。あくまでも個人の感想であるが、世界観をぱっと理解できる短編揃いなのだろう。個人的に印象に残った作品は2つ。「メタモルフォシスの龍」(空木春宵)は個人的にはあまり好きではないジャンルなのだが、恋に破れると蛇化する女性と蛙化する男性、特に蛇化する...続きを読む
  • Genesis この光が落ちないように
    どの話も設定が面白く、ワクワクしながら読めた。
    ◆天駆せよ法勝寺
    最初から世界観に驚愕させられ、そのままの勢いで最後まで読み切ってしまった。最後、大人が大人であるがため苦渋の選択し、それでも前へ進まないといけないのに対して、主人公の意識が子供から大人へと変わる様子が危うげながらも、頼もしく清々し感じ...続きを読む
  • 感応グラン=ギニョル
    自分より劣るものを見ることで安心感を得る、あるいは憐憫の情を抱く傍観者に対し、痛みを見せ、感じさせ、当事者たる少女たちの憎悪を、あるいは絶望を教え、闇に引き摺り込む物語構成は圧巻の一言。全5作からなるSF短編集ですが、いずれも幻想的かつ耽美的な唯一無二の世界観を構成しており最高の読書体験でした。表紙...続きを読む
  • 夜の夢こそまこと 人間椅子小説集
    『うつし世はゆめ よるの夢こそまこと』と色紙に書いていた江戸川乱歩の言葉をタイトルにした、五人の短編を集めた小説集。どの作品も、それぞれ言葉使いに特徴があって面白かったが、中でも良かったのは長嶋有「遺言状放送」。青春小説のようで、安心して読めた。
  • 夜の夢こそまこと 人間椅子小説集
    元々、制作する楽曲の多くが、過去の文学作品を礎にしている人間椅子、彼らの作品が今度は小説のモチーフになったということで、いわば音楽界から文芸界への逆輸入、という発想がまず面白い。
    そして、そのような出自であるからして、彼らの楽曲がノヴェライズのベースとして馴染まない訳がない。
    まず選ばれた5曲を見て...続きを読む
  • Genesis この光が落ちないように
    一つ一つが癖のあるSF。
    「風になるにはまだ」は、この短編集を読もうと思ったきっかけだった。人の意識をアーカイブ化する技術は新しい哲学を生む土壌だろう。果たしてどこまでが自分なんだろうか?データは欠損しないのか?いつまで持つのか?色々考えると面白い。
  • 感応グラン=ギニョル
    世界に対する満腔の呪詛。
    生そのものと分かちがたく結びついた痛み。
    全身に刻み込まれた無数の瑕(きず)。
    畸型(フリークス)と虐待(アビューズ)。
    怨嗟と絶望。
    ……
    サディスティックな描写もさることながら、この奇怪な小説は読者に高みの見物を許さない。「お前も所詮、加害者のひとりだ」と指を突きつけて...続きを読む
  • 感応グラン=ギニョル
    創元日本SF叢書なので、SFだと思って敬遠していたのは大失敗でした。SFといえばたしかにSFでもありますが。これはむしろ幻想、少しホラーといってもいいかも。どれもが絶妙に歪んでいて、実に美しい作品ばかりでした。
    お気に入りは「メタモルフォシスの龍」。恋をしてそれに破れたときに変化し、お互いを喰らい喰...続きを読む
  • Genesis 白昼夢通信
    なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
    2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。

    第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
    「おまかせ」とは言え、オードブ...続きを読む
  • Genesis 白昼夢通信
    創元と関係が深い作者の作品を編んだSFアンソロジー。もっとも気に入った作品は松崎有理さんの「瘦せたくないひとは読まないでください。」だった。肥満の人には人権がないかのように扱われる健康先進国の日本で、デスゲームが行われる。肥満の人が5人選ばれて、食事をしたら殺されるゲームだ。極端なシチュエーションで...続きを読む
  • Genesis この光が落ちないように
    GENESIS(創元日本アンソロジー)シリーズが今回の五集目で最後になるという。いや~、実にもったいない、このシリーズとても気に入っていたのになぁ~。特に、表紙の絵(カシワイ作)が好きで毎回楽しみにしていた。まあ、社の方針だからしょうがないのかもしれないけど。私以外の人にはあまり好評ではなかったのだ...続きを読む
  • 感応グラン=ギニョル
    時間も空間も即ち時空を自由に飛び回り、時に浪漫、時に退廃、時に曼荼羅、時にSF。分離された世界かと思いきや接触しあう筋立て…なんという着想、なんという創造力、なんという文章の組み立て。

    誉めまくっているのに星が3つなのは、読者たる俺の嗜好の問題。俺は痛い辛い表現が苦手なのだ。そういう目にあう登場人...続きを読む