石母田正のレビュー一覧

  • 日本の古代国家
    大学時代には絶版となっていて、なんとか入手できないものかと古書店をのぞいていたものだ。文庫化され、しかも電子書籍にもなっている。本当に嬉しい。

    日本古代史を学ぶ人が最初の方で目を通したほうが良い本なのではないかと、今でもいろいろな古代史の本を読むにつけ思う。知識を詰め込んで満足しがちな中高歴史から...続きを読む
  • 平家物語
    日本を代表するマルクス主義歴史家による平家物語論。「保元」や「平治」にはない平家のスケールをその戦乱の規模から論じたり、平家物語の増補過程を琵琶法師と貴族・民衆との関係性から論じたりする点は、石母田のマルクス主義的史観の面目躍如だろう。
  • 平家物語
    『平家物語』研究の基礎文献です。本来、歴史研究者である石母田正が書いた作品論です。これを読まずに「平家」は語れません。『平家物語』の物語の進行にそって、その内容を歴史社会学派の立場で論じていきます。
  • 平家物語
    平家物語研究の、代表的著作。
    重盛や知盛など、平家の運命を見通す存在、また、清盛、義仲、義経が、中心的な人物となっていること、後白河法皇や源頼朝があまり深く関っていないことなどを指摘してくれます。
    また、女性や王朝裏の駆け引きが上手く描かれていないことや、もとは叙事詩だったのではないかという指摘もあ...続きを読む
  • 平家物語
    戦後の歴史学を領導してきたひとりである著者が、文学作品としての『平家物語』について考察をおこなっている本です。

    著者は「あとがき」で、『平家物語』にえがかれている治承・寿永の乱の歴史について研究をおこなっているときに、「いつもこの物語のことが念頭にあってはなれない」と語っています。そして、すでに江...続きを読む
  • 平家物語
    作者の登場人物の捉え方がおもしろくて、平家物語への理解が深まりました。特に、平知盛。前から登場人物の中で1番好きだったけど、どうして好きなのか、説明してもらえました。
    西行や鴨長明といった同時代の遁世者と比較して、平家物語の作者の「人間」に対する興味と愛情を論じていますが、それは同時に石母田正氏のそ...続きを読む
  • 平家物語
    内容はともかく、語り口が面白く思わず笑ってしまったり唸ったり。例えば私たちは歴史上の人物や事件について、「これって当時でもあまり評価できないことしてるんじゃ…」と思っても「まあ昔のことだし、今の我々には理解できないこともあるかもね」と評価を留保することがほとんどだと思うけど、石母田正はきっぱり「いつ...続きを読む
  • 平家物語
    平家物語という文学を文学史の中で捉えなおした史学的文章であるような印象を受けた。
    私が根本的な興味を抱いてるのは「平家物語に描かれた平家」ではなく歴史の史上の人物としての平家一門だけれども、「史」としての彼らだけでなく、平家が人々にどのように捉えられていたのか、平家の滅亡が人々の中でどのように消化さ...続きを読む
  • 平家物語
    [ 内容 ]
    すぐれた古典文学のひとつである平家物語は何故に長くかつ深く日本人の心をとらえてきたのか。
    その力は一体どこにあるのか。
    歴史家でかつ古典文学を深く愛好する著者が、時代についての学問的造詣と清新な感覚によって、平家物語の文学としての本質を追究し、登場人物とその運命を生きいきと描く。

    ...続きを読む
  • 平家物語
    平家物語の入門書として本当に素晴らしい一冊。あまりいいことではないですが、これさえ読めば平家物語を読んだ気になれます。

    近年の知盛に関する視点はすべて石母田さんのこの著作が元になっているそうです。彼の知盛論は非常に面白いのですが、一番面白いのはやはり平家物語の「運命論」

    メインストリームの清盛、...続きを読む
  • 平家物語
    文学としての平家物語の意義がよくわかり大変面白かった。年代記的なところも文学、主人公がいない、あくまでも平家の滅亡に焦点を当てているなど。とても読みやすかった。依然読んだ、太平記読みと比較しても面白い。
  • 平家物語
    思いの外、読みやすかった。
    平家物語を知るには、なかなか良いのでは。

    歴史書、文学の専門書…というよりは、平家物語に纏わる筆者の所見・思いが綴られているように思います。
    だから読みやすいのよ。
  • 平家物語
    昔の本なので、さすがに現在の研究の水準から見て満足できる内容ではないかもと思いながら読み始めましたが、反して現在でもかなり通用しそうな良い内容でした