Ⅲに来て、急にバタバタし始めた感がある。
ドラマのノベライズだから仕方のない部分もあるのだろうが、場面転換が唐突すぎて、ついていくのが大変だった。
結局、チョコザイの症状は「個性」なのか「障がい」なのか。
「天才」という扱いも、実は逆差別なのであり、天才扱いしたからといってそれをアタルが喜ぶわけで
...続きを読むもなかろう。
個性として扱うには、たぶん人の心は弱すぎると思う。定型発達者にとっては彼の行動パターンは理解しづらく、そこに勝手に悪意をみてしまう。
アタルの母親がまさにそうだ。定型発達者としての反応だけを期待してしまうから、一緒にいるのが辛くなるのだ。
それから、「家族」というものの捉え方が今ひとつ類型的だった。
なんでもかんでも家族に還元すればいいというものではない、ということをそろそろ知るべきではなかろうか。
「障害がある人」の幸せを、周囲が勝手に決め付けることで起きる不幸には事欠かないのに。
だから、ラストシーンが小気味よかった。アップデートを忘れた、という理由はあるにせよ、アタルが戻ってくるのだから。
268ページ8行目の誤植には戸惑った。いきなり「マリ子」なんて出てくるから誰かと思った。ここは「ゆり子」でしょう。