黒部ダム建設は、昭和31年に始まり7年余りの歳月と、当時のお金で513億円という巨費と
延べ990万人の労働力をかけて行われた偉業である。
そしてその間に171人の尊い命も失っている。
本作品は、黒部ダム建設最大の難関である「大町トンネル貫通」について、大湧水と戦う苦労を描いたものだ。
1968年
...続きを読む、石原裕次郎と三船敏郎主演で発表された同タイトルの映画は、
ビデオ・DVD化されていないので幻の作品となっているが、
来年、香取慎吾と小林薫主演でドラマとしてリメイクされるらしい。
スケールの大きい大工事をテレビでどのように表現するのか楽しみだ。
昭和30年当時、電力は大飢饉時代で日に何度も停電していた。
このままでは電気が危ない!!と、関西電力が想像を絶するリスクを背負って工事に踏み切ったのだ。
次々と犠牲者が出る現実を前にして、作者は大成建設の大熊部長にこう語らせている。
人間が人間のために何かを打ちたてようとする時に、どうして犠牲が、
いつも目的そのものの中に内在するかのようにあるのだろう。
人間全体の生活や将来に、何かをプラスするために、同じ人間が、自分の尊い生命を、
どうして捧げねばならないのだろう。・・・幾ら考えても割り切れない矛盾だけれど、
それはまた、酒用のない現実でもあるのだ。