映像作品を主として活動されておられた著者、平沼正樹さんが手掛けた小説。
ミステリー小説なのですが、どちらかというとエンタメに近く、語り口も柔らかくて現代的なので読みやすかったです。
「もし、一錠で苦しまずに死ぬことのできる薬がこの世にあったら」というお話。
今作『しねるくすり』の続編として、『い
...続きを読むきるりすく』というお話があるようで、そちらを読んで初めて完結する感じですね(『いきるりすく』は未読)。
ポップな表紙はダイスケリチャード氏が担当されています。まさに映える表紙。
上下巻(という呼び方が正しいのかは置いておくとして)を見比べて思うことは、この『しねるくすり』に描かれている女性が上から下へと落ちている少女なら、『いきるりすく』に描かれている女性は、『しねるくすり』の女性を上下逆さまにして、背後から見たところに似ていませんか?
表題が「しねる⇔いきる」「くすり⇔りすく」と対になっているところからして、単なる思い違いではないように感じました。
そのあたりも『いきるりすく』を読めばわかることなんでしょうか……?
自殺率の高い日本ですが、本当にそんな薬が闇に流通しているのだとしたら、密かにブームになりそうな予感はありありとします。
しねるくすりの副作用もまた面白く、たしかに人間ってそういうところもあるよな、と。
最後のとある人物(トリックが含まれているので明かせません)が一気に話す部分は、ああ若いってそういうことだよなーとしみじみ(笑)
熱量が高いがゆえに、燃え尽きるのも一瞬。
それが若さの副作用なのかもしれませんね。