小山聡子のレビュー一覧
-
冒頭、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」を引用し、著者はこう言う。「これほどまでに栄華を極めた道長は、周囲の貴族から怨みや嫉みも大いに買っている自覚があった。その上、病気がちで精神的にも脆弱だったこともあり、非常にモノノケを恐れていたのである」(「まえがき」より)...続きを読むPosted by ブクログ
-
『浄土真宗とは何か』
2023年5月22日
親鸞の生涯やその思想について、簡潔にまとまった一冊。浄土真宗の入門にふさわしい。
本書では、親鸞以前の平安時代における密教から平安浄土教、さらには源信による臨終行儀にも触れる。浄土真宗の前夜を説明することで、親鸞の思想における矛盾への理解がしやすくなって...続きを読むPosted by ブクログ -
日本の仏教に求められていた現世利益をもたらす呪術的行為(加持祈祷)と『往生要集』に端を発する平安浄土教による臨終行儀に代表される自力信仰の影響は、他力本願を提唱し革新的と考えられていた親鸞とその家族、そして子孫たちに多大な影響を及ぼしていた。彼らの教義とその実際の信仰生活はまた別物であったことがよく...続きを読むPosted by ブクログ
-
本書の本筋ではないが、霊と遺骨の関係、墓参り、霊魂観の変化などについて言及がある。
これらに関心のある方は、一読の価値がある。Posted by ブクログ -
「もののけ」の言葉を紐解いた1冊。ぜひ派生して各年代の宗教、俗信を研究したくなった。
コミカルな絵がもののけ好きな私には嬉しかた。
美術にも時折解釈として触れながら進行するので、美術から見るのもののけの歴史も読んでみたい。(あるのかは知らないが)Posted by ブクログ -
もののけ・幽霊・妖怪。現代ではこれらの語はほとんど区別なく用いられているけれど、語の歴史を遡っていくと、古代、中世、近世とそれぞれの時代で意味が異なることを豊富な史料を元に明らかにされていてもう圧巻!すごい…これがプロの研究者の仕事…(ごくり)
中でも面白かったのは碁や双六がもののけの調伏に用いら...続きを読むPosted by ブクログ -
遥か昔、恐ろしい存在であった「もののけ」が時代の移り変わりの
中で、どう変容していったかを豊富な史料から解き明かす。
序章 畏怖の始まり
第一章 震撼する貴族たちー古代
第二章 いかに退治するかー中世
第三章 祟らない幽霊ー中世
第四章 娯楽の対象へー近世
第五章 西洋との出会いー近代
終章 モノノ...続きを読むPosted by ブクログ -
歴史学の立場から、浄土真宗について、開祖親鸞やその家族、継承者らの信仰の実態を明らかにしている。
これまで浄土真宗の開祖として理想化するかたちで語られがちであった親鸞、そしてその家族・継承者について、史料に基づいて、他力に徹しきれず、理想と現実の間で揺れ動く等身大の姿を描こうとしているところに本書の...続きを読むPosted by ブクログ -
もののけと一口に言っても、色々と歴史的に見ると変わってきているんです
新書という内容にも関わらず、膨大な資料のレビューをされている(ここらへんは中公は新書といえどさすがの重厚感)
他方で、「モノノケ」にかかる歴史資料のレビュー的な要素が強く、あまりこの分野に精通していない自分からすると結構文献自体が...続きを読むPosted by ブクログ -
<目次>
序章 畏怖の始まり
第1章 震撼する貴族たち~古代
第2章 いかに退治するか~中世
第3章 祟らない幽霊~中世
第4章 娯楽の対象へ~近世
第5章 西洋との出会い~近代
終章 モノノケ像の転換~現代
<内容>
「もののけ」を日本史のなかでたどりながら現代まで俯瞰したもの...続きを読むPosted by ブクログ -
比較的読みやすく読み進める事が出来ました。
「良くも悪くも学者・研究者だなあ~」と言う感想。
「宗祖・開祖としての親鸞ではなく歴史上の親鸞を」
という試みとしては成功しているんでしょうが・・・。
タイトルの「浄土真宗とは何か」は少しミスマッチかと。Posted by ブクログ