宮脇孝雄のレビュー一覧

  • 指差す標識の事例 下
    下巻は暗号解読の達人である幾何学教授の手記から始まる。
    上巻は、まずヴェネツィア人の医学生であるコーラの手記から始まったのだが、真面目でお人好しの好青年と思われた彼の姿は、ふたり目の法学生プレストコットの手記によって、いささか様相が変わってくる。
    重大な事柄の記述漏れ、明らかな噓。
    コーラはなぜ、ロ...続きを読む
  • 指差す標識の事例 下
    各章の語り手のミソジニーとパターナリズムに辟易しながらも、語り口と構成に乗せられて一気に上下二巻を読み通してしまいました。
    読後感も程よく、面白かった!
  • 指差す標識の事例 下
    長い。
    ちょっとした知識どころか、相当念入りに勉強してから挑んだほうがいい。
    下巻最後の人物解説、年表、訳者解説を最初に読んだ方が楽しめるような気もしました。
    かなり読み手を選ぶとは思うけど、個人的にはがんばって読んでよかったかなって感じでした。
    歴史、宗教絡みのネタに微塵も興味を感じない人には全く...続きを読む
  • 指差す標識の事例 下
    第三の手記は幾何学教授ウォリス、最後は歴史学者アントニー・ウッド。
    四部それぞれ翻訳者が違うという趣向がまた面白い。「信用できない語り手」、楽しいなあ。
  • 指差す標識の事例 下
    深いですね~側面どころか、縦・横・斜め・あげくは斜め下から読まなくてはならない本だったなんて・・・。
    4人の手記の形をとっていても政変ありスパイもどきも出没。そしてまさかのキュン話にまで行き先を変えながらもミステリーの形を保ち、謎は深まるばかり。
    『薔薇の名前』を称している通り、時間をおいてまた手に...続きを読む
  • 翻訳地獄へようこそ
    先日、「誤訳も芸のうち」などと悪びれもせず堂々と言い切っている某翻訳家の本を読んだら、解釈と訳があまりにも気持ち悪くて大変にストレスがたまった。(「超訳」は芸のうちかもしれないと思うけど、誤訳は誤訳だろ、と言いたい。まあそのタイトルの本は読んでないけど)
    とにかく「口直ししたい!」との思いから、宮脇...続きを読む
  • 翻訳地獄へようこそ
    文句なしに面白い翻訳指南書。翻訳やりたくもなるし、怖すぎて絶対無理とも思う。あーもっと読んでいたかった!
  • 翻訳家の書斎――〈想像力〉が働く仕事場
    最近、翻訳のおもしろさに目覚めて、趣味の一つとして好きな本の翻訳をしているのだけれど、むかし読んでいた「週刊ST」に、翻訳者のおもしろいコラムが連載されていたなぁ、と思い出して、改めて読みたくなりました。
    「週刊ST」は英語学習者向けの日本語まじりの英字新聞で、紙面では同時通訳者の新崎隆子さんのコラ...続きを読む
  • 翻訳の基本 原文通りに日本語に
    何度も読み返したくなる素晴らしい1冊。良い訳のために沢山遊べ(そこで得た知識や経験が翻訳に活きるから)、という著者の感覚が端々に出てきて嬉しくなる。
  • 翻訳家の書斎――〈想像力〉が働く仕事場
    様々な視点から翻訳についての考え方やテクニックが語られていて、非常に面白い。それも、頭ごなしに持論を振りかざすのではなく、ちょっと遠慮しいしい、ユーモアを織り交ぜて展開する翻訳論が、読み物としてもとても愉快。
    …ではあるが。デビューが早くキャリアが長いとはいえ、宮脇氏がこの本を書いたのは40代半ば。...続きを読む
  • 続・翻訳の基本――素直な訳文の作り方
    さすが翻訳のベテランだけあって、目からウロコの情報が満載。大学生なら必読の一冊だろう。
    ・拳銃の「三十八口径」は正しくは「三八口径」
    ・翻訳者のPCには、聖書とシェークスピアを入れておくべし
    ・textは動詞で「携帯でメールを送る」という意味
    ・give a laughは鼻で笑う
    ・back pai...続きを読む
  • 翻訳地獄へようこそ
    翻訳ものが大好きなので、このタイプの本も大好きです。
    個人的には誤訳も何のその、気にならないタイプですが、確かに時々読みにくい翻訳があるなあ、と思っていたことに対して、回答を得たように思います。スッキリ。

    翻訳から、いろんな雑学に発展する感じで、とてもおもしろいです。
    残念なのは、引き合いに出され...続きを読む
  • 指差す標識の事例 下
    上巻をよみおわってやっと話が少し見えてきた。
    話の構成にビックリ、歴史的な内容にやや戸惑いながらも、読み終わったあとの満足感もひと味違う!
  • 指差す標識の事例 上
    まだ上巻なので作品のできについての判断はできないけれど、あまりにも衒学過ぎてとっつきにくいにもほどがあると最初はうんざりした。

    何しろ17世紀のイギリスの話で、第一章の語り手はイギリスに着いたばかりのヴェネツィアの若者。
    多分本人による手記よりも会話は困難を極めただろうし、それに伴う勘違いのような...続きを読む
  • 洋書ラビリンスへようこそーー巨匠の珠玉の作品も未来の古典も!
    洋書を紹介しているものだけど、翻訳が出ているものも多々あり、紹介されている本を読むことは思っていたより難しくなさそうでした。単純に紹介文が面白くジャンルも多岐に渡るので、面白かったです。
  • 指差す標識の事例 上
    17世紀のイギリスを舞台にした宗教と政争と策略をめぐる物語。4人の異なる男性(異邦人であるヴェネチアの商人、汚名を着せられ命を亡くした父親の名誉挽回に猛進する弁護士志望の若者、暗号を解く技能を使い自分も重要人物であると自負してやまない数学者、華々しい政治の舞台には縁遠いながら身分としてはジェントルマ...続きを読む
  • 指差す標識の事例 下
    読み応えがあった。
    語り手が変わるたびに意味が変わっていく出来事の連続で、主観が違うとこうも違うのかと。もちろんあえて真実を書いていない語り手も存在しているのだけど。2人目が1番手こずった。ちょっとどこまでが妄想なのか…。下巻に入ってからは割と一気に読めたかな。

    手記ごとに訳者が違うも面白い。より...続きを読む
  • 指差す標識の事例 上
    本作が語られる時代背景や宗教の状況等、知っていた方が断然楽しめます。下巻の末尾についている年表をざっとでもよいので眺めておくとよいかもしれません。
  • 指差す標識の事例 上
    格調高い文章が、どうにも読みにくかったです。医学創成期の技法が興味深かったですね。輸血の方法とか。血液型も調べないでいいんかい!とは思いましたが、なかなか面白かったです。そうしたサイドストーリーには興味は引かれましたが、ベースとなるストーリーはやや浅め。下巻に期待。
  • 指差す標識の事例 下
    なぜ翻訳者が4人もいるのか、という読む前の疑問があったがそれは納得できた。

    ひとつの出来事を複数の視点から語るという手法は大好きで、信頼できない語り手感がどんどん増していくのは大変に楽しめた。

    ただ、それほどまでにして隠したかった暗号文は、正直なところ「ふ〜ん…」という印象だった。
    イングランド...続きを読む