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翻訳の道には落とし穴がたくさん口を開けている。 翻訳家の書斎にはどんな道具がそろえてあるか、誤訳はどう発生するか、それをどう防ぐのか、 日本語をどう選ぶか、さらに、明治時代からの翻訳の先達たちの業績など、 ベテラン翻訳者が楽しく語る、翻訳百科。
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Posted by ブクログ
最近、翻訳のおもしろさに目覚めて、趣味の一つとして好きな本の翻訳をしているのだけれど、むかし読んでいた「週刊ST」に、翻訳者のおもしろいコラムが連載されていたなぁ、と思い出して、改めて読みたくなりました。 「週刊ST」は英語学習者向けの日本語まじりの英字新聞で、紙面では同時通訳者の新崎隆子さんのコラ...続きを読むムとこの宮脇氏のコラムが見開きで対になっていて、両方を毎回楽しみに読んでいました。 新崎さんのコラムの方は書籍化されたものを読んで、非常に感動した記憶があり、同じSTつながりの翻訳者の方も本になっていないか探してみると、やっぱり書籍化されていて、見つけたのがこの本です。 翻訳をする上でのコツとか心得が、基本的なことからかなり上級者レベルのことまで、端的に解説されていて、非常に勉強になりました。 でも、コラムという形式で書かれていたためか、全然お勉強っぽくなくて、クスっと笑えるツッコミがあったりしてとてもおもしろいです。 内容も非常に多岐にわたっていて、英語の解釈についてよりも、どちらかというと日本語の作文技術について深く考えさせられます。 また、翻訳にまつわるいろんなトリビアも興味深かったです。 特に驚いたのが、明治期に書かれた作文技術の本に、翻訳技術の項目もあった、ということ。しかも、その内容が今も非常に有用なことに驚愕します。 作文の一つなんですね、翻訳って。言われてみるとそれはそうなんだけれど。 ほかにも、芥川龍之介がすごい勢いで英語の本や英訳本を読んでいたという事実や、半七捕物帳は著者が雑誌に連載されたシャーロックホームズを読んでインスパイアされて書いた、というエピソードなど紹介されていて、ビックリしました。 今と比べると、当時は辞書もまったく充実していなかっただろうし、ネットもないし、海外旅行に行く機会もなかっただろうし、と考えると、昔の文学者たちはすごい、としか言いようがないです。きっと彼らは好奇心が抑えられず、読まずにはいられなかったんだろうなぁ。 環境のせいにばっかりできないな、とつくづく思いました。
様々な視点から翻訳についての考え方やテクニックが語られていて、非常に面白い。それも、頭ごなしに持論を振りかざすのではなく、ちょっと遠慮しいしい、ユーモアを織り交ぜて展開する翻訳論が、読み物としてもとても愉快。 …ではあるが。デビューが早くキャリアが長いとはいえ、宮脇氏がこの本を書いたのは40代半ば。...続きを読むもう知識量とかそういう問題じゃなくてアタマのレベルがそもそも違ってるじゃん…と完全に自信喪失し、発作的にさじを投げたくなる危険な本でもあります。とほほ。
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宮脇孝雄
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