斎藤慶典のレビュー一覧

  • レヴィナス 無起源からの思考
    圧倒的である。
    レヴィナス=斎藤、恐るべし。
    レヴィナスとフッサールを接続し。
    レヴィナスの他人と責任概念を掘り下げ、他者が複数の場合をぶつけ。
    従来の社会契約論が説く国家観とは違う国家を構想する。
    すごい本だった。絶版なのが惜しい。
  • フッサール 起源への哲学
    フッサールとの対峙し、格闘する。明瞭に言語化する作業は偉業だ。
    特に第3章 記号と意味ー「現象」の内実が素晴らしい。息を飲む。

    ・自己同一的なものとはすでにして過ぎ去り・失われたものの「反復」なのであり、
    したがって認識とはつねに再認なのである。(P155)
    ・「記号」とは原理的に何ものかが不在で...続きを読む
  • 死の話をしよう とりわけ、ジュニアとシニアのための哲学入門
    素晴らしい。久しぶりに大絶賛したい内容でした。
    難解な問題であり、内容も難解なのだけれど
    それを読みやすくわかりやすい内容にて語られていく。

    そこには、宗教のもととなる考えがあったり。
    本質があったり、本当に純粋な気づきがあったり。
    私の周りのすべての人に読んでほしいと思いました。

    哲学をしって...続きを読む
  • 中学生の君におくる哲学
     著者は慶應大学文学部教授で、去年まで系列の中学校の
    校長先生を兼任していた哲学者。
    難しいことを噛み砕き、心を尽くして
    子どもたちに語りかけてきた数年間の記録です。
    人生を輝かせるために「本当の自由」を手に入れなさい
    と繰り返し語られています。

     とっかかりとなる題材は「短すぎるスカート丈」
    ...続きを読む
  • 中学生の君におくる哲学
     身近なところで若者が自ら命を絶った。著者からこの本を贈られたのは、その十日後だった。亡くなった若者とこの著者の二人から「メメント・モリ(死を思え)」と言われたような不思議な気持ちで読み始めた。
     哲学者である著者が、慶應義塾中等部(中学校)の校長を務めたことから生まれた著作。
     全編を通して、「ま...続きを読む
  • フッサール 起源への哲学
    [ 内容 ]
    「世界が現象する」とはどういうことなのか。
    フッサールの問題系に気鋭の哲学者が挑む。
    驚きに満ちた「現象学」解説の、そしてフッサール解体の試み。

    [ 目次 ]
    第1章 たび重なる「転回」―数学から超越論哲学へ
    第2章 事象そのものへ―「現象」への還元
    第3章 記号と意味―「現象」の内...続きを読む
  • 哲学がはじまるとき ――思考は何/どこに向かうのか
    哲学するということ。問うこと、考えること。存在の話につなげたのは納得だが、有無だけではなく「ゼロ」も必要では。
  • 「東洋」哲学の根本問題 あるいは井筒俊彦
    井筒俊彦の思想を読み解きながら、著者自身の「存在」と「認識」にまつわる哲学的な思索を展開している本です。

    著者の本はこれまでも何冊か読んだことがありますが、フッサールを論じても、デカルト、あるいは西田幾多郎を論じても、つねに著者自身の考える問題へと立ち返っていくことになるので、じつのところ既視感を...続きを読む
  • レヴィナス 無起源からの思考
    軽い読み物として。 筆者自身の思想とレヴィナスの思想が注意深く区別されている点は好感。レヴィナスはカントを実存主義的に注釈した… が、国家と正義に関してはポスト実存主義に接続しているように思う。
  • フッサール 起源への哲学
    フッサールの思考の進展を丹念に追いながら、超越論的現象学が本来的にたどり着いた認識の絶対根拠を明らかにしていく。現象学というものが実に根源を追求する学であることを、著者自らが実践しつつ納得させてくれる。
  • 哲学がはじまるとき ――思考は何/どこに向かうのか
    思考とは反復であり、反復の中核をなすのは偏差(ずれ)である。

    「思考とは何であるか」と問うことに始まり、哲学の意味、存在や時間などの形而上学について細分化され書かれている。

    最初は具体的な例も挙げられていて内容を理解することが出来たけど、徐々に抽象的な話になってきて完全に消化出来なかった。 ...続きを読む
  • デカルト 「われ思う」のは誰か
    デカルトの解説書としては134ページと比較的薄くて、しかも発行日が2022年2月8日と比較的新しいため、手に取りやすい(ただし、あとがきにて「本書はデカルトの解説書ではない。」と明記されているため、この評価も適切ではないかもしれない。)。
    本書では主にデカルトの有名な言葉「私は考える、ゆえに私は存在...続きを読む
  • 哲学がはじまるとき ――思考は何/どこに向かうのか
    著者が、「哲学」と呼ばれる思索の営みの始まりから、「存在」そのものを問う形而上学への歩みを読者の前で実演して見せた本です。

    著者は、世界に対する当惑から「どうして?」という問いが始まるとき、「哲学」と呼ばれる営みが開始されることになると論じています。「どうして?」という問いは、理由や根拠、意味や本...続きを読む
  • レヴィナス 無起源からの思考
    読み終わったがとても眠かった。

    非常に丁寧に説明しているのだろうと思う。「ある(イリヤ)」の段階から亡霊、享受する糧、顔、理性、倫理、そうして無限責任と正義へ言及。ただし論の筋は行ったり来たり(後ほど説明する、がしばしば登場する)、もとから特殊な言葉遣いをする分野なので仕方がない部分はあるかもしれ...続きを読む
  • 中学生の君におくる哲学
    中学生に向けて発した哲学をベースにしたメッセージ集。
    決して簡単な本ではないと感じたが、考えることの大切さは分かる。
    日々「今」を大切にして、自分の頭でしっかりと考えたい。
  • フッサール 起源への哲学
    第1章では、心理学主義と論理学主義のはざまの道を歩もうとしたフッサールの努力が、たいへんわかりやすく整理されている。第2章以下では、フッサールの思索した道を著者自身の哲学的思索を通じてたどりなおしている。著者の議論はたいへん明晰だが、「現象学的」と呼ぶにはやや思弁的な性格が強いように思う。

    フッサ...続きを読む
  • レヴィナス 無起源からの思考
    レヴィナスの思想を、著者がみずからの足でたどりなおした本といってよいだろう。レヴィナスの議論に即して解説がなされているわけではないが、著者の議論はレヴィナス以上に明晰であり、一つの解釈としてはたいへんおもしろい試みだと思う。

    著者によると、本書は前著『フッサール 起源への哲学』(講談社選書メチエ)...続きを読む