カート・ヴォネガット・ジュニアのレビュー一覧

  • タイタンの妖女

    Audibleにて。

    「私を利用してくれてありがとう。たとえ、わたしが利用されたがらなかったとしても」
    「僕に命の贈り物をありがとう」

     登場人物たちの別れに際しての言葉。感謝により締め括られた別れの時。いかんともしがたい運命に翻弄されつつも、人生の価値を見つけられたという何よりの証左だろう。...続きを読む
  • スローターハウス5
    ヴォネガットの半自伝的名作。
    ありとあらゆる理不尽を「そういうものだ」と一言で言い表すセンスに脱帽。
    戦争を肌で体験している人にしか描けない境地。
  • タイタンの妖女
    世界観が鮮やかに僕の頭の中に映っていった素晴らしい小説だった。
    久しぶりにこの作者の他の作品も読んでみたいと思わせてくれる一冊でした。
  • タイタンの妖女
    400p過ぎから全てを回収しまとめていくのがあまりに読んでいて気持ちいい。
    最高のSFで最高のラヴストーリー。
    好きなフレーズがたくさん。
    また読みたい。
  • タイタンの妖女
     この作品が何を描きたかったのかを考えてみると、コンスタントに本当の愛を知ってもらうための物語なのではないかと思った。「天にいるだれかさん」は、コンスタントのことが好きだという記述が出てくるが、作品の最後がその言葉で締め括られていて、様々な困難は「天にいるだれかさん」がコンスタントに本当の愛を知って...続きを読む
  • スローターハウス5

    過去と今

    カート・ヴォネガットは自身が体験したドレスデン爆撃をもとに、この小説を執筆したらしい。
    自身で体験されたことあって、表現は、生々しく、そして、ユーモアに書かれている。

    ただし、物語として見ると、少し味気ないのかなと思う。
    同じ作者の作品のタイタンの妖女の方が、ストーリーとしては好きだ。
    場面がコロ...続きを読む
  • タイタンの妖女
    世界観や出てくる言葉が複雑で、気合を入れて丁寧に読み進めました。初めはよくわからなかったものが、読み進むうちに繋がっていって、すっかり宇宙空間の広大な時間の流れに引き込まれてしまいました。
    一度では理解できない言い回しの一つ一つが示唆的です。非現実世界の出来事なのに何度も自分の平凡な生活を振り返り、...続きを読む
  • タイタンの妖女
    面白い。
    人は生きる限り、使命やら目的やらを見つけねばならないが、それが全くアホみたいなものの力によって動かされていたとしても、耐えられるだろうか。
    「それでも良い」と言えるような意義を、私は見つけたい。
  • スローターハウス5
    人間の自由意志を否定したくなるほどの大量の死をもたらす戦争をトラルファマドール星人式の世界認識で追体験する。彼ら曰く全ては同時に存在しており、死は一時的なものなのである。
  • スローターハウス5
    SFというより本気の戦争小説でした。
    翻訳なので実際の文章はわからないけど、ただ少なくともこの文章は読みやすくて良かったです。さりげなく散りばめられた目を引く文章の数々。ヴォネガットの場合は、美しいとか迫力がある系よりも含蓄に富んだ文章で、言葉のゆるい空気以上に直接的に語りかけてくる。異星人、時間跳...続きを読む
  • スローターハウス5
    『タイタンの妖女』に引き続き、ヴォネガット二作目。こちらも私にたいへん刺さる作品で、これは作家読みするやつだな...という気持ち。笑い(というか朗らかさともいうべきか)もありながら、戦争をこう切り取るのかと、面白かった。実際に体験した人の感覚としてこういうのもあるのだろうというのが、しっとり伝わって...続きを読む
  • 母なる夜
    アメリカのスパイとしてナチスドイツに仕えた男が、戦中・戦後の出来事について綴った手記という形をとっている。一人称でありながら、心情はとてもドライに描かれる。ハードボイルド的といっても良いかもしれない。彼はユダヤ人迫害の正当性など何一つ信じていないのに——彼自身が言うところの分裂症的に——表向きは完璧...続きを読む
  • スローターハウス5
    久しぶりの再読。
    カート・ヴォネガット・ジュニアの世界観が好き。淡白な語り口に、大きな出来事にさえ感情的になることがない。その平坦さと、その時々の状況の悲惨さとの対照的な文体が、その物語から浮かぶ情景をより強く刻んでくる気がする。
  • 母なる夜
    人生において自分が何の役なのか、自分の役は善悪どちらなのか、自分を見つめる周りの目にはどう映るのか、それを知らないまま生きることも幸せな人生の一つの答えなんじゃないかなと思う。 それを知り、生きる意味や目標を追求することは普遍のテーマだけど、その達成は同時に失う事も所有することとなり、誰もが小さなレ...続きを読む
  • スローターハウス5
    著者が経験したドレスデン無差別爆撃をSFの型式をとって描いている。トラルファマード星人に連れ去られてから時の流れから解放される。トラルファマード星人はすべての時間を見る事が出来る、そして、それは決して変わる事は無い。過去、現在、未来全てを関係なく行き来する。時間の流れが無い瞬間を生きている。それ...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    この本が書かれた当時、まだ「格差社会」という言葉はなかった。にもかかわらずヴォネガットは、資本主義によってごく少数の人々にグロテスクなまでに富が集中し、一割の人間が、残りの九割が一生かかっても手することのできないお金と特権と享楽を手にするという未来を、正しく予見していた。
    そのようなマンモニズムの世...続きを読む
  • スローターハウス5
    読み始めた時、なかなか意味を掴めなくて何となく読み進める感じで入って行ったのだけど、読めば読むほど、作者の人間描写力に魅了されてしまった。

    これは、その、いわゆる第二次世界大戦中の、悲惨な戦争体験について書かれた本である。
    ヨーロッパに送られた、若き日のビリー・ピルグリム。彼のいた歩兵連隊がドイツ...続きを読む
  • スローターハウス5
    今の今までなんでこんないい本を
    読まなかったのか!と後悔しました

    今年に入って
    国のない男とこの本を読んで
    ヴォネガットがますます好きになりました

    上手く説明できないけれど

    「そういうものだ」

    ありがとう!ヴォネガット!
  • 母なる夜
    なぜ人はこうも寂しいものなのかという事をつくづく感じるばかり。畳み掛けるユーモアの効いた皮肉にズキズキ心が痛む。
  • プレイヤー・ピアノ
    1952年に書かれた近未来小説。現代を言い当てているようなところだとか、現代からつながっていく近未来を感じさせるところもあります。全体としてはレトロな未来ですけどね。たとえば、個人のもつIDカードがパンチカードだったりする古さがあるし、半導体はでてこなくて、真空管がでてきます。駒を動かす盤ゲーム(チ...続きを読む