タイトルの通り、チェコのSF作品11編を集めた短篇集。
最も古い作品が1912年、最も新しい作品が2000年に発表されている。
チェコスロバキアからチェコとスロバキアが分離したのが1993年なので、全11編中10編はチェコスロバキア時代の作品になっている。
チェコの作家といえば、カレル・チャペック
...続きを読むが最も有名なのだろうけれど、実は僕はこの人の短編集を全く面白いと思わなかった。
色々な人が「絶賛」しているので、きっと僕の感性がおかしいのか、僕が読んだ短編集の翻訳がひどかったのか、あるいはその両方なのか、とにかくどこをどう面白がっていいいのかすら判らなかった、という経験がある。
なにはともあれ、カレル・チャペックって「ロボット」という言葉を作った人と言われているし、「山椒魚戦争」はSFの古典的名作と言われているのだから、凄い人なのである。
そんなカレルの作品も収録されているのだが、まぁあまり面白くなかったので僕とはトコトン相性が悪いのだろうなぁ、と思う。
ちょっとよく判らなかった作品や、前出のようにあまり面白くない作品もあるのだけれど、全体的には結構面白く読み進めることが出来た。
僕としては「再教育された人々…未来の小説」「裏目に出た発明」「デセプション・ベイの化け物」「オオカミ男」「ブラッドベリの影」(これが僕にとってのベスト)「終わりよければすべてよし」(反ナチ作品なのかな)といったところが面白かった。
古い作品はやはりプラハの春とか、ソ連の侵攻とか、共産主義政権とか、警察国家とか、チェコ(スロバキア)が辿ってきたけっして平和ではない歴史や社会情勢が反映されている作品が多いのだろうな、と思える。
上にあげた「再教育された人々…未来の小説」「裏目に出た発明」「デセプション・ベイの化け物」などはそんな印象を受けた。
なので、単純に「SF」と言われてもちょっと異質なものを僕は感じた。
まぁ、それが本書の楽しみを奪い去ることはなかったですが。