ジョー・ウォルトンのレビュー一覧

  • わたしの本当の子どもたち
    結婚するかしないか、人生の選択で変わりうる人生を、並行して描く。
    結婚しなければ自分の道を進めて幸せだったかもしれないけれど、その結婚でうまれた子供達には出会えない。
    自分でも、ついつい何度も考える事なので、読んでいてせつない。
    そして、どの道筋を選んでも、人は生きて死んでいく。
    自分に置き換えて、...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    イギリスで1926年に生まれた女性の2015年までの記録なのだが、途中で「もし、あの時、xxしていたら」という分岐点があり、二つの人生が語られる。彼女の人生を通して、近代史、女性問題、環境問題などが見えてくる。読む人によって、色々なことに考えが及ぶ小説だと思う。星雲賞の候補作になっているけれど、星雲...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    男のプロポーズに対する返事が波動関数を収束させ、運命が分岐した女の人生を描いた物語。認知症により波動関数が再び発散するところや、描かれる世界史が史実通りではなく、偽史が含まれるのが面白い。また、セクシュアリティが生来固定のものではなく、人生の途中で変わっていくという描写も良かったと思う。
    それにして...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    パトリシアがマークとの不幸な結婚をした世界は平和な世界。マークと結婚しなかった世界は最愛のパートナー、ビイと出会えたが世界は混沌。核兵器が何度か使われてしまう。
    この二つの世界、最後は同じ老人ホームにパトリシアが入居するのだが、トイレの位置が変わっている。
  • わたしの本当の子どもたち
    パラレルワールドもの。最初の章で認知症の老婦人の日常が語られて此処が並列世界の終点であることを匂わせる。
    そこから過去に遡り同一人物の二つの人生が平行して語られていく。どちらかが劇的な人生と言うわけでもないのだが、明らかに世界観は異なる。
    パットが生きる世界では限定的に核戦争が有り各地で死の灰が降る...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    これが、遅れてきた、2017の私的ベスト1だと思う。
    人生には選択があり、どちらも命をかけて守りたい愛しい人と、吐くような痛みをともなうのだ。時は過ぎていく。
  • わたしの本当の子どもたち
    一気読み。ジャンルとしては、歴史改変ものとか幻想ものに入るんだろうけど、そうと意識させないジョー・ウォルトン独特の雰囲気がある。「図書室の魔法」のモリと同様、ここでもパトリシアに肩入れしながら読まずにいられない。

    ある決断を境に、パトリシアの人生は二つに分岐する。二つの世界で彼女自身の人生は大きく...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    二通りの女性のそれぞれに過酷な人生が描かれているが、波乱万丈とはいえ普通にありえる人生。それを読ませるリーダビリティは翻訳の良さもあるんだろうな。
  • わたしの本当の子どもたち
    パトリシアという女性の一生を描いた物語。ただし2人分。
    パットとトリッシュで分けられた彼女の人生は、世界ごと全く違う道を歩んでいく。
    ひとつの名前に愛称が複数ある海外の名前の特徴をうまく使っていておもしろい。やはり名前は人生を決定するほどの力を持つのだ…。
    と思っていたが、どちらにしてもパトリシアは...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    ジョー・ウォルトンは『図書室の魔法』に続いて2作目。前作がかなりはっちゃけた感じだったのに比べて、こちらは余韻とじんわり染み込む感じがとても素敵な作品。
    たらればSF(?)なんだけど、「選択」って、もう、善いも悪いも、ないんだよね、ただでも、それを主体的に行うことそのものに善さはある気がする。結果は...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    一つの決定がかくも人の未来を変えるのか……と。
    ヒロインの結婚という決断を起点に、それぞれ二つの世界が並行して描かれるパラレル小説。
    秀逸だなあと思ったのは、どこまでも人間ドラマを描きながら、私たちが知り得る「現実」とは少しずつ違うこと。
    それは「ちょっとした決断で、世界は大きく変わり得る」と思わせ...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    芯のしっかりした女性があるときはレズビアンとして、あるときは夫に強いたげられる妻として生きていく。設定がSFなのに回りの人たちとのやり取り、社会との関わりがやけに具体的でリアルで、小説読まされてる感がない。運命はわからない、どんな人生になるかわからないが、社会参加しながら生きてくことが大切だと思った...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    私たちは日々選択している。日々は選択の積み重ねで出来ている。
    選択しなかったほうの人生はどうだったのか、そっちのほうがよかったのか、と考える瞬間がたまにあるかもしれない。考えてみたところで、選んだ今を生きるしかないのであるが。

    選んだ人生と選ばなかった人生をリアルに細かく描いて膨らませていくのであ...続きを読む
  • わたしの本当の子どもたち
    普段SFはあまり手に取らないのですが、ファージング3部作の作者なので読んでみました。同じく歴史改変もので今回も楽しめました。このページ数とは思えない中身の濃さです。
    カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」もそうですが、設定がちゃんと確立されているSFなら苦手な人も読めるということですね。
  • わたしの本当の子どもたち
    久しぶりに店頭で読みたい本を物色していて出会った一冊。ジョー・ウォルトンの作品は読んだことがなかったけど、とても好みな作品世界で、後から世界幻想文学大賞や英国幻想文学大賞受賞作家と知り、なるほど…と納得。
    1926年生まれのパトリシアは、2015年現在、認知症を患い、老人ホームで暮らしている。冒頭の...続きを読む