水島治郎のレビュー一覧

  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    とても面白かった。
    本書では、ポピュリズムを『既存のエリート層を批判することで人々の支持を集める手法』と定義付けしており、当たり前だけどポピュリズムだからといって必ずしも抑圧的であったり問題があるとは限らない。

    ポピュリズムというのは民主主義の部分集合であって、問題が発生する時というのは、全体の一...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    各国で猛威を振るっているポピュリズムに関する概説書。ベネズエラのチャベス政権といった南米のポピュリズム政権も取り上げられているが、筆者の専門はヨーロッパ政治史、比較政治なので、ヨーロッパのポピュリズム政党に関する記述がほとんどを占める。本書では、ポピュリズムの定義として、①固定的な支持基盤を超え、幅...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ポピュリズムという概念が近年急速に広まり、現在ではかなり人口に膾炙している感がある。しかしながら、トランプの強烈なイメージが先行し、その厳密な意味や変遷が必ずしも正確に解されているとは言い難い。本書を通じてポピュリズムの出自や変遷、そして現在地の一端を垣間見ることができた。ポピュリズムといわれると、...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ポピュリズムに対し、歴史的・政治学的な観点から切り込む。成立の経緯(左右の既成政党から蔑ろにされてきた低所得者のニーズを掴んだことなど)や肯定的な側面(改革促進、安全弁機能、脱反ユ・脱民族主義、リベラルな価値・民主主義的手法の尊重)がよく分かる。欧州のポピュリズムでは、基本的に反イスラム(自由民主主...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ポピュリズムは本当に悪なのか。悪だとするならば、なぜ民主主義からポピュリズムが生まれてしまうのか。もし悪でなければ何なのか。誰かが統治者になればポピュリズムだと騒ぎ立てる人々が多くいる中で、民主主義とは何かを考えさせられる。定義からまず丁寧に書かれているの...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    筆者の主張:
    21世紀の欧州のポピュリズムは、リベラルな価値の守り手として、男女平等や政教分離に基づきイスラム移民を批判する。またデモクラシーの立場から、EU離脱の国民投票を提起する。彼らは沈滞化した既成政治に改革を促し、活性化させてもいる。これは言わば、デモクラシーの内なる敵だ。
    となれば、ポピュ...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ポピュリズムとは実はリベラルで親民主主義的な側面があり、既存の民主主義に対する再活性化効果を持つ。

    ということを世界中で躍進するポピュリズムを取り上げながらその問題点やリスクを交え解説。非常に面白かった。
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ポピュリズムは民主主義と対照的な関係ではなく、むしろ民主主義の追求が純化したものであることがわかった。代議制民主主義によってエリートの政治になっているのを取り戻すための直接民主制の希求が見られた。
    ただ、エリートの領域は必ず民主主義に必要であり、極端な直接民主制は、
    非合理的な意思決定や無知による政...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    近年世界を席捲するポピュリズム。アメリカ合衆国のトランプ大統領や、期限が間近に迫るイギリスの「ブレグジット」が代表的だが、日本とて例外ではなく、7月に行われた参院選においては、現職1名で臨み「泡沫政党」扱いされながらも2議席を獲得する躍進を遂げたれいわ新選組は「左派ポピュリズム」と評されている。とに...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    世界の政治状況を考えるとき、もはや看過できないポピュリズム。その起源から現在までの在りようを明確に、しかもわかりやすく解説した著作である。
    日本においても、維新の会の存在など、ポピュリズムは着実に浸透しつつある。維新の会でなくとも、「サイレント・マジョリティ」への働きかけに成功した政治パーティーが出...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    デモクラシーの危機として語らえるポピュリズムが実は、デモクラシーのひとつの重要な側面である「民衆の直接参加を通じたよりよき政治を積極的に目指す試み」と密接につながる。すなわち、現代のポピュリズムは、いわばデモクラシーの「内なる敵」として立ち現れているという指摘は非常に意義深い。
    ポピュリズムを全面的...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    いま世界で起こっている排外的な動きの根っこに何があるのか、大変勉強になりました。そしてヨーロッパの奥深さを再認識させられました。
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    この水島氏の文体(スタイル)がもっとポップなものであったら(優しく語りかけるような、柔らかいものであったら)、もっとバカ売れしているのではないだろうか。と思うくらい面白い。
    ただ文体が硬質で、生真面目であるため少々とっつきにきい感がある。しかし各国のポピュリズムの伸長を具体的に丁寧に書いてあるので、...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    各国のポピュリズムについてよく理解できた。ラテンアメリカとヨーロッパのポピュリズムのありかたの比較が興味深い。2016年の本だが、現在はどうなっているのか、別の本で学びたい。
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    各国のポピュリズム政党などに関する記述が多いため、知識ほぼ0で挑んだこともあり読み進めるのに予想以上に時間がかかった。
    各国のポピュリズム政党を俯瞰して見渡すことにより、歴史的な文脈を理解できるのは非常に有益だった。
    歴史が教えてくれるものは大きいので、ここで学んだことをフィルターとして政治を見られ...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    仏マクロン大統領が地方視察で極右支持者に平手打ちされた理由とは。大土地所有、外国企業支配が多かった南米では企業の国有化、労働福祉強化など左派ポピュリズムが発展しアルゼンチンではペロン大統領と妻エビータが人気に。欧州では人権、自由、男女平等、政教一致などによるイスラム批判が右派、左派ともに拡がり移民反...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    読みながら、ナチスドイツも国民の選挙によって民主的に誕生し、全体主義とホロコーストを生んだことに思いをはせていた。ポピュリズムは、南米では白人支配者からの解放・独立と富の分配を目指した「左」の指向性が目立ち、欧州の「置き去りにされた人々」、アメリカの「忘れられた人々」は、特権階級への不満を持つ「右」...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ポピュリズムの定義づけ

    各国のポピュリズムとそれがどのように波及していったのか
    ラテンアメリカから波及していったのだなと
    この流れを知れたのは良かった。

    西欧のポピュリズムはワンイッシューで社会に見捨てられた人や
    既存政党を見限った人を掬い大きくなり
    無視できない存在になったのは
    EUが原因だと...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    イギリスがEU離脱を選び、トランプ米大統領が当選を決めた2016年出版。
    ポピュリズムに関心を持った方が最初に読む本としてオススメ。
    世界各国のポピュリズム現象について、理論と具体例をバランスよく記述し、その功罪を中立的に取り扱っている印象。
    ポピュリズムに分類される個々の政治家や政党について、その...続きを読む
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    ブレグジットやトランプ当選、日本は対岸の火事だと思っていて良いのか?
    本著は、ヨーロッパ政治史専攻の比較政治学者さんによる、ポピュリズムについての「冷静な解説書」です。各国でのポピュリズムの勃興について、非常にわかりやすく整理されているので、この1冊だけで知った気分になれます(笑

    にべもないコトを...続きを読む