著者の大森氏はワールドクラスパートナーズ株式会社代表取締役。
世界一のコーチと言われるアンソニー・ロビンズ氏とともに講演を行うなど、インターナショナル・スピーカーとして大きな実績をお持ちでいらっしゃいます。
本書では「交渉」をテーマに、大森氏が提唱する「バリュークリエイト交渉術」の考え方と実践法
...続きを読むが紹介されています。
【交渉の根っこにあるのはコミュニケーション】
「交渉」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。
もしかすると、「駆け引き」や「自分の要求を押し通す」など、あまりよくない連想をする方もいるかもしれません。
しかし、私たちはいつも交渉をしながら生活しています。
ビジネスの契約の場はもちろん、あるいは日常生活で友人にちょっとしたお願いをすることだって交渉です。
仕事でも日常でも、常に誰かとコミュニケーションを取っているので、交渉は切り離せないものなのですね。
「コミュニケーションさえうまくできれば、あらゆるすばらしい恩恵が得られる」とも言えます。
バリュークリエイト交渉術は、日頃から人間関係を良くしていき、欲しい成果をどんどん実現していく技術です。
さまざまな交渉の仕方が具体的に紹介されている中から、私が特に印象に残った内容と感想をお伝えします。
【どんな関係になることを期待しますか?】
バリュークリエイト交渉術には、相手と価値を創造する、つまり
『お互いにどんな価値創造をできるかやってみませんか?』
という考え方が基本にあります。
勝ち負けにこだわるのでもなく、必要最低限の取引をして終わりにするのでもない。
『相手とどう協力してお互いの利益を大きくできるか』と、相手との関係性に着目することがひとつのポイントだそうです。
"「相手と関係を築くのか、滅ぼすのか」
これには、どちらが正しい・間違っているということもありません。
(中略)
あなたは相手との関係がどのようになることを期待していますか。
それによって行動が違ってきます。"
相手と一緒に価値のある解決策を創り出すためには、まず積極的に相手のことをたずねて、価値観やニーズを理解すること。
そして、
「私はあなたともっと良いコミュニケーションをしたい」
「私はあなたをコントロールしたいとは思っていません。フェアに話をしたいと思っています」
という姿勢を示して、相手と協力的な関係を築くことが大切だといいます。
「良い関係をつくりたい」と思うことから始まる
仕事であるならば、交渉の目的を達成するのは当然のことです。
しかし、相手との関係性が欠落していては、真の価値創造はできないのだなと本書から学びました。
私はもともとNECで営業をしていました。
契約を取るためにいろいろな苦労や工夫をしましたし、大型案件を勝ち取るためなら深夜残業も厭わなかったです。
もし、NECに勤めていたころの私がバリュークリエイト交渉術を知っていたら、より大きな成果を残せていたかもしれないと感じました。
そして、独立して複数の事業を興すようになった現在、多くのお客様や取引先、共同で経営をおこなう仲間などあらゆる人々と良い関係を築くためにも、本書から勉強できることはとても多いです。
交渉、すなわちコミュニケーションの基本は「相手と良い関係を築きたい」という願いからスタートすること。
私もこのことを心に刻んで、仲間と一緒にさらなる成果をあげていきます。