藤本和子のレビュー一覧
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夢と現実の狭間を漂うような不思議な世界観。 みんな色々な感情に溢れ、今ここにいる人にもいなくなった人にも囲まれ、生と死、光と闇の中を行ったり来たりしながら生きている。よく分からないけど惹き込まれる。Posted by ブクログ
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「西瓜糖」と「鱒の孵化場」など暗喩のような言葉がちりばめられた幻想的な本。
「ずっと以前、さいごの虎が殺されその場で焼かれたすぐあとで、アイデスに鱒の孵化場が造られた」
その虎はあたしたちと同じ言葉を話すし、算数もできる。Posted by ブクログ -
ひんやりと、冷たい。つめたくて、寂しい。なのにぼんやりとした黄色いひだまりが感じられる。
ここは、どこなんだろう。私は誰なんだろう。そんなことは時にまかせて。あなたが呼んだままに。
時の流れは無常で、流れるだけで、とまらない。
ここで構築された世界を私は忘れたくないと思う。Posted by ブクログ -
氷砂糖のような言葉の世界だった。掴んだと思ったら味わううちに溶けてしまう。皆慈悲深く、穏やかで、とてもひんやりとした冷たさを持っている。
忘れられた世界のイメージ、血のイメージがありありと迫る。Posted by ブクログ -
もしかしたらかつて〈忘れられた〉別の時代があって、いろんな思惑や策略のために、一度めちゃめちゃになった後にできたのが西瓜糖の世界なのかもしれない。
支配したり、裁いたりする存在がいない世界は、わたしたちのそれより、ほんのちょっと甘く、やさしい。Posted by ブクログ -
西瓜糖世界に住む人たちの日常を淡々と描くお話。きれいなイメージだなーと読みはじめて、その架空の世界がすごく好きになった。いろんなものが西瓜糖で作られている<アイデス>と、少し離れた<忘れられた世界>。人と同じ言葉を話す虎。静かで優しくて残酷な西瓜糖の日々。Posted by ブクログ
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西瓜島,アイデス,忘れられた世界,虎,鱒の孵化場.わたしの住む世界はゆるい時間の流れの中で,決められた毎日が単調に過ぎゆく.そして時に挟み込まれる剥き出しの暴力.断片が積み重なり,不可解で秩序のあるようなないような世界が漂っている.Posted by ブクログ
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アイデスでなじめない人間が行くところが忘れられた世界であるような感じで読めるが、実際にはその逆なんだろうと思います。
前作「アメリカの鱒釣り」は楽しい感じでしたが、今作は一転物悲しい感じとなっています。Posted by ブクログ -
多くのものが西瓜糖で作られている世界。
死後を思わせるような、<過剰でない>平穏な人々。
詩的な幻想ながら、藤本和子さんの翻訳が見事で読みやすかった。
なんとなく、長野まゆみさんを思い出す。もしかしかたらブローティガンがお好きなのかもしれない。
『ビッグ・サーの南軍将軍』もいつか読みたい。Posted by ブクログ -
"たえず変化している。だから、素敵なんだ。"(p.30)
"わたしの好きな物、わたしの気に入りの物で造られた橋は、わたしの足の下で、いい感じだった。"(p.124)Posted by ブクログ