微妙な言い方ではあるが、勢いがありすぎた漫画
おぞましさで肌を泡立たせる絵柄、陰気で気が重くなるストーリー、虚無より空虚な苦悩と葛藤を抱えている主人公の設定、など作品の質を深く上質な物にする物は揃っていたが、それ故に、読み手を置き去りにしてしまった感はある
読み手に媚びるよりはマシだが、テンポを同調
...続きを読むできなかったのは手痛い
ガッツリとした、余裕のない正統派のホラー漫画だったからこそ、真正面から受け止めて、耐えきれる胆力を持つ読み手が少なかったように思える
私自身、深いトコまで潜ろうとはしたが、私の首筋を掴んでいる“手”があまりに冷たい上に、触感が気持ち悪いモノのだから、咄嗟に振り払って、浮上してしまった。一度、こちらから接続を切ってしまうと、さすがに、一度目より深いトコまで潜れなくなってしまう
仮に、最奥まで到達できた読み手がいたとしても、今後、他のホラー漫画に対し、ゾクゾクする楽しみを失う目に遭うだろう
描き手にとっても、読み手にとっても、この終わり方は実に残念である
作品全体から、歯軋りが聞こえてくるほどの口惜しさが伝わってくる
そんな漫画を描ける漫画家を、出版社は大事にしてやってほしいモノ
この巻で、個人的に印象に残ったのは其の七『這う女』
母を子を思う愛、子が母を憂う情にウルっと来た