びっくりするような本でした。
びっくりする文体、一文一文が短く、口語にかなり近い感覚で読めます。
聖徳太子(が一度に10人の話を聞ける逸話からヒントを得た)がめちゃめちゃ聡い(けどとんでもなくアブナイ奴)設定で繰り広げられる隋との攻防戦。
小野妹子が隋に派遣された前後のお話で、なぜ聖徳太子が隋に派
...続きを読む遣し文書を煬帝に送ったのか、をキーワードに、隋と倭国の未来、ひいては現代アジアを見据えての問題提起なのかな、と考えながら楽しく読みました。
常に笑いながらびっくりしながら、歴史に翻弄される妹子と一緒の目線で読め、なぜ聖徳太子が妹子を派遣したのか、振り回される中で妹子にとっての「働く意味」が少しずつ変化し、最後にすべてひっくるめての作者の言いたいことが突然表れて、その唐突さとあっけらかんとした表し方、終わり方に少々とまどいました。
登場人物それぞれの生き方や考え方に着目しつつ、では自分はどう生きるのか、福利や秦氏のように自ずからの信念・職を持ちながらも歯車として生きるのか、妹子のように社会の歯車として従順に生きるのか、どの選択をしたにせよ、生きる動機としては人間は変わらないし争う姿勢も変わらないと、そう感じました。