逸木裕のレビュー一覧

  • 四重奏
    ミステリー(特に死が絡むもの)は暗くてえぐいものが好きなので、その点でいくと物足りなさはあった。でもそれを凌駕するほどの『解釈』に圧倒されてしまった。音楽とは何か、演奏家の演奏はなんなのか、聴く側は一体何を鑑賞しているのか、という問いかけがとても冷たくて、かつてクラシック音楽に携わっていた身からする...続きを読む
  • 四重奏
    〈火神〉の異名を持つ孤高の音楽家・鵜崎顕。彼の主催する鵜崎四重奏団で、団員の黛由佳が亡くなったため欠員補充のオーディションが開かれる。学生時代に彼女と親しかった坂下英紀は彼女の死に疑念を抱き、オーディションを受けることでその真相に迫ろうとするが……。
    ミステリーだと思って読むと肩透かしを食らう。本作...続きを読む
  • 風を彩る怪物
    大好きな作家さんの安定した面白さ!
    フルート奏者として悩む主人公の少女と、出会う人たちが抱えるそれぞれの事情や葛藤が丁寧に描写され、映画を見ているような気持ちになりました。
    夢が叶いそうにない時、誰でも理由をつけて他の道を選びたくなるものですが、この本を読んでいると頑張りたいと思えます。
  • 四重奏
    本の雑誌3月号の新刊めったくたガイド(SF)を読み終えて、何の気なしに次頁をめくったら、推理小説のページに「音楽とは何か」を問う、逸木裕『四重奏』を推す!という見出しに釘付けとなった。いつきひろし?あの演歌の?ではない。「いつきゆう」とルビが振ってあった。そりゃそうだ、予備知識が無ければそう読むでし...続きを読む
  • Jミステリー2023~FALL~
    23/12/23〜24/1/2
    7月に『23春』、8月に『22秋』、10月に『22春』、今回12月に『23秋』。順番が入れ替わったりしたけど、やっと最新作に追いついた。『23春』だけ、あと4人分がまだ読めてないので、次はそれを。
    今回の『23春』は、今まで読んだ3つと比べてとても読み応えがあり、楽し...続きを読む
  • 四重奏
    音楽ミステリーだけではなかった。
    挫折や目標、やりたい音楽と向き合う人たちの事や、関わっている人間の心理描写が色々と考えさせられる。
    四重奏の世界にのめり込みました。
    面白かった。
    作中に出てくるクラシックを聴きながら読むと
    この事か。と理解が深まる気がしました。
  • 風を彩る怪物
    音楽を題材にした小説は多々あるが、本作はその中でもオルガンに焦点が当てられている。
    オルガンの仕組みだけでも「こうなっているのか」「そうなんだ」と思える記述が続き、取材や膨大な量の資料と格闘した事を伺わせる。
    本作で何よりも胸を打たれるのは音楽に、楽器に真摯に向き合う人々の情熱である。様々な種類のあ...続きを読む
  • 銀色の国
    死生観が変わる 月が溶ける、銀色のこころ、誰かにとっての正しいは他人にとっては狂ってるかもしれない ああ、幾らかで他人の人生を、価値観を、体験できる。小説のそういう醍醐味を逸木裕はいつもいつもさせてくれるので、ほんとうにだいすき!ミステリー好きじゃないけど!ほんとうにすき!
  • 風を彩る怪物
    何となく聞いていた地元のFMラジオからふと流れてきた書籍紹介で出会った作品。すぐに題名をメモして、手に取り読み始めた。題名からは想像できないパイプオルガン製作を中心とした、物語。よく下調べがされていて物語に引き込まれる。展開も小気味よく、意外性もありながら気持ちよく読み進められた。遅読の自分としては...続きを読む
  • 虹を待つ彼女
    最初からすごい引き込まれた。
    徐々に、水科晴がどんな人物なのか。なぜ、その生き方を選んだのか気になっていく。
    《虹を待つ》ってなんの事だろ?と思いなが読み進めると、最後は本当に素晴らしかった。
  • 風を彩る怪物
    いやー、おもしろい。
    尻上がりにおもしろかった。

    序盤は知識不足から手が止まってしまうことも。
    でも第一章の結末から第二章
    ページを捲る手が止まらなかった。

    音楽って素晴らしい!
    自分に無いものを素直に心から尊敬して
    手を取り合えることも素晴らしい!

    パイプオルガンの音を聞く機会が、今までの私...続きを読む
  • 五つの季節に探偵は
    「星空の十六進数」に登場した女性探偵みどりが主人公の連作短編集。高校生時代から育児休暇明けまで、色々な年齢で活躍する5編を収録。

    熱心なミステリーファンではない俺としては、謎解きとしては文句なく面白いし、人間の本性を知るためなら無理を承知で突き進む、みどりの安全装置壊れた行動描写も読み応えあり…。...続きを読む
  • 星空の16進数
    ネグレクトされていた幼少時代に誘拐された経験のある17歳の少女、藍葉の元に、ある人から探偵と称する女性、みどりが100万円を携えやってくる。

    藍葉とみどり、二人の主人公目線で物語は進む。100万円は誰が用意したものなのか?藍葉を誘拐したのは誰なのか?

    ミステリーとして謎解き部分も十分だが、この小...続きを読む
  • 風を彩る怪物
    まるで自分がその世界に入り込んだかのように、音も、情景もありありと伝わってきてとても楽しかったです。作者が描いた陽菜と明子の物語を自分が追体験しているようでした。
  • 五つの季節に探偵は
    探偵の父を持つ主人公の成長ストーリー。
    最初は高校生だった主人公が探偵になり後輩を指導するまでになる姿は微笑ましい。
    ミステリ部分についてもキチンとオチがあり情感的には切なさが残る話が多い。
  • 風を彩る怪物
    蜜蜂と遠雷+鋼の森のような雰囲気の話でした。クラシックはほとんど聴かないけど、オルガンやフルートの演奏風景が眼の前に浮かんできて爽やかな気持になりました。
  • 祝祭の子
    宗教団体のコミューンに捨てられた5人の子供達を団体のトップである石黒望が殺人の英才教育を施し、「祝祭」と称し信者30数名を殺害させた事件。未成年者であり洗脳されていたという事も含め罪に問われることはなく、しかし子供たちは「生存者」と呼ばれ15年ちかく世間から迫害されて生きてきた。ある日SNSで5人の...続きを読む
  • 風を彩る怪物
    私が本当にしたいことは何だろうと考えさせられた。
    バレエを教えたいのか、お金持ちになりたいのか、一目を置かれたいのか…
    まだまだ答えは出ない。
    ワクワクする方へ。
    心が躍る方へ。

    どっちだったっけ…
  • 風を彩る怪物
    凄い良い作品に出会えました。
    演奏者の心理描写や音や自然の表現…素敵でした。
    登場人物の成長や、ひとつの事をやり遂げることの素晴らしさ。
    タイトルからさ想像がつかない、とても優しい作品です。
  • 風を彩る怪物
    いやぁ…なんと言いますか。すっかりのめり込んでしまいました…

    映像として目の前に広がっていく感覚。
    本を読んでるはずなのに映画を観ているよう。

    セリフが聞こえ、音楽が聴こえてくる。
    奥瀬見の自然が迫ってくる。

    その中での人間の物語。

    私の今年のベストワンかな。