せなけいこ先生といえば、「ねないこだれだ」の、こちらをみてくるおばけが怖くて印象に残っている。
この本を読むまで、恥ずかしながら、そんな「おばけ」が貼り絵で作られていることを知らなかった。
貼り絵とは、紙を切ったり破いたりして、下地となる紙に貼って絵を完成させる技法だ。
絵の具で描くことと違い、
...続きを読むちぎることでできる線のぼやけは、動物の毛羽立ちだとか、線の柔らかさを表現することができる。
また、貼り絵の名の通り、立体的に見せることができ、絵具のように一気に描きあげなければならないという制約はない。しかし、思った通りにならないこともあり、それがおもしろいのだそう。
子供向けの作品でも、作るのは大人だから、どうやって考えているのかがいつも気になるのだが、「子供の世界観に寄り添う」のが、せな先生流。
だから、「ねないこだれだ」も、早く寝ないとお化けに連れて行かれてしまうよ、という教訓めいたことを描きたかったわけではない。
子供の頃おばけが好きだったから、おばけに連れて行かれたいな、お化けの世界に行きたいな、という思いから作られたそう。
絵の世界を解釈するときに、どうしても自分の経験というフィルターが入ってしまうから、作者の意図と違った捉え方をしてしまうこともある。
もちろん、考え方は自由なので、感じたことは大切にするべきだが、どういう意図で作られたのかを知ることは、新しい発見になる。
その発見が、違った世界へ連れていってくれることもあるのだ。
…やはり絵本って素敵。めくったとき、見開き1ページに絵があると、びっくり箱を開けたような、わっと驚いた気持ちになれる。
そんな、めくる楽しさ、冒険心をくすぐられるのがいい。