最近のスポーツ競技は詳細なデータ収集・解析が行われており、競技者の技術力向上や能力評価に使われている。
野球では、打者なら打率・打点・本塁打、投手なら防御率・勝利数・奪三振数が重要視されている。
野球は昔も今も個人の記録を比べて楽しむスポーツでもあるので、今後も変わらないでしょう。
スポーツは相
...続きを読む手に勝つことを目的としているので、勝つために有意義なプレーを正当に評価しなくてはなりません。
そこで新しく重要視されてきたのが、セイバーメトリクスが編み出した指標だ。
さまざまなプレーを得点化し、勝利への貢献度が示されるように工夫・改善されている。
過去のデータを調べて、打率よりも出塁率や長打率が得点との相関関係が強いことが分かった。
そこで、出塁率と長打率を足した指標"OPS"がMLBでは公式記録となり重要視されている。
打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の勝利への貢献度を表す指標が"WAR"である。
昨年度の大谷翔平のOPSは、.965で2位の成績。
大谷の場合、走力も高いので走塁での加点はあるが、DHなので守備では大きな減点がある。
その結果、野手としてのWARは10位になる。
だが、投手としての成績を加えるとメジャーでトップのWAR値になる。
単に二刀流の話題性だけでなく、こうした裏付けのデータがあるので、「満票」でMVPに選ばれたのだと説明されている。
日本では、原則優勝チームからMVPが選ばれるので昨年はヤクルトの村上だったが、WARで断トツのトップは広島の鈴木誠也だった。
パリーグのMVPは、優勝チームのオリックスの山本由伸がWARも断トツで順当な評価だった。
東京ドームは"ホームランが出やすい球場"だということは、野球解説などでよく耳にする。
2021年の本塁打パークファクターのデータも示されていて、出やすい順に示すと
1.44 神宮、1.40 東京ドーム、1.02 甲子園、1.02 横浜、0.70 マツダ、0.57 ナゴヤ
1.49 マリン、1.40 福岡、1.07 西武、0.82 京セラ、0.77 札幌、0.66 宮城
となり、球場の違いを加味した戦略を立てる面白さもあるが、球場によって差がありすぎるように感じる。
守備の指標は点数化するのが難しい。
昔はエラー数が少ないと守備がうまいとされたが、今はアウトを稼げる選手、さらにはアウト数よりも、どれだけ失点を減らしたかが評価される。
例えば1アウト、ランナー3塁で外野フライ。
並の選手が守っているならタッチアップだが、新庄やイチロークラスの選手が守っているなら本塁は狙わない。
3塁ランナーが足の速い選手なら、本塁突入で1点入ったかもしれない。
結果的に3塁ランナーはそのままで、アウトカウントが1つ増えただけになった時、外野の守備はどう評価すべきか?
守備の指標はいろんな条件を加味する必要があるので万人が納得する形での点数化が難しい。
盗塁は相手のバッテリーにもよるが比較的数値化しやすい。
成功すれば得点の確率が上がるし、失敗すれば下がる。
1アウト1塁で盗塁成功なら、1アウト2塁だが、失敗すると2アウトランナーなし。
成功は0.173の得点価値、失敗は-0.407というデータもあるので、70%以上の成功率でないと価値はない。
イチローの盗塁成功率は山田哲人と同じくらいで85%を超えており日本プロ野球でトップである。
盗塁と比べると走塁の点数化は難しい。3塁の走塁コーチが無謀に本塁突入を指示することもあるし、、、
最近では選球眼を正確に測ることにも取り組んでいるようだ。従来は四球の多さを判断基準にしていた。
今はボール球をスイングする割合を計っていたりする。この数値が小さい程良いとして検討してみる。
だが、イチローのようにこの数値が比較的高いのだが、ヒットにする率も高い選手もいる。
ルールで決めたストライクゾーンでなく、独自のヒッティングゾーンを持つ選手の指標にはならないのだ。
面白いと思ったのが実際のストライクゾーン。
これは、球審がストライクとコールしたゾーンのデータを見ると分かる。
ストライクゾーンは丸い。四隅はボールと判定されている。
3ボール後のストライクゾーンは広くなり、2ストライク後は狭くなる傾向も見て取れる。
先日、大谷翔平がインコース低めをストライク判定され見逃し三振となり、"No"と言って首を横に振っていたが、リプレイ映像を見るとストライクだ。
きっと、ボール判定されることが多い(ストライク)コースなのだろう。
随分前から、打者なら、打球の速さ・方向・角度、投手なら、投球の速さ・回転軸・回転方向・回転数・軌道の変化などが見れるようになった。
投手なら、直球と変化球を投げる時のフォームの違いも分かるようになった。
昨年度はヤクルトだけがホークアイというシステムを取り入れ、リーグ最弱だった投手陣の立て直しに成功したことが優勝に繋がった(らしい)。
捕手の守備力の評価も数値化するのは難しい。
盗塁阻止、捕逸、フレーミング、配球など要素はいろいろあるが、投手との兼ね合いが大きく純粋に捕手としての個の能力は算出しにくいだろう。
その他、勝負強さを評価する指標も考えられているようだ。
野球は、個々の選手が行うさまざまなプレーが数値化しやすいスポーツだと思う。
サッカーもプレーのデータをうまく数値化できれば観る目も変わるかと思うが、選手個人の記録について楽しむ余地が非常に少ないですね。