どうか、天国に届きませんように。
それはどのような類いの願いなのだろうか。
淡々とした文章が彼らの孤独を浮き立たせる。
読んでいると、自分が色も音もない世界にいるような気分になる。
想像力を働かせると、本当に恐ろしい思いをすることになる。
名前も知らなかったこの著者の作品を、たまたまのめぐり合わせ
...続きを読むで読むことになった。面白かったので、他の本も読んでみようと思う。
黒い糸
超常現象が好きな少年は、自分にもそんな不思議な力があればいいのにと思っていた。スプーン曲げ、瞬間移動、読心術。そんな願いがなぜか叶い、ある日彼に特殊な能力が宿る。
小指にいつの間にか結ばれている黒い糸。それを辿ると、必ず死体と繋がっていた。
浮かばれない魂が救いを求めて彼を呼んでいるのだろうか。
白い檻
幼い頃に兄を失くした少年は、寂しさの余り、兄が本当に見える振りをした。あるとき彼は、不思議な力を持つ子どもが集まる『家』へ引き取られることになった。
そこでは今までの名前を忘れなくてはいけない。口に出してもいけない。新しく与えられた名前は『3番』。
ここはいったい何のための施設なのか。深夜に歩き回っている美しい少女の正体は。
灰の箱
引っ越してきた郊外の家には、とても広い庭があった。少年が姉と二人で庭を探検していると、開けた原っぱの真ん中に、長い間使われていないと思われる焼却炉があった。少年は中を見たくなかったのに、姉が開けてしまった。
中には本当に恐ろしいものがいたのに。
牢獄
死んでしまった男は、どこにも行けずに暗い場所を彷徨っていた。すると前方に窓のようなものがあり、そこから光が漏れている。覗いてみると、その向こう側には、生きていた頃の自分がいた世界が見えた。どうやらこの窓のようなものは鏡らしい。男は一か所に留まらず、鏡から鏡へ移動しながら、いろんな人の生活を覗いた。
しかしある女の子のことが気になり、見守るようになる。男は覚えていないが、彼の死には彼女が関わっていたのだ。
天国
牢獄の話の続きだけど、それ以外の話も関わってきて繋がってくる。
最後はどうしようもなく切ない。