ドン・ウィンズロウのレビュー一覧

  • ザ・ボーダー 上
    『犬の力』『ザ・カルテル』に続くメキシコとの麻薬戦争を描いたシリーズ完結編。

    1人の麻薬王が築いた巨大な麻薬組織のビジネスと警察の攻防を描いた『犬の力』、カルテル同士の戦争により拡大化していく暴力の連鎖を描いた『ザ・カルテル』、そして今回は麻薬王の玉座が空いたことによるメキシコの混乱と麻薬戦争が終...続きを読む
  • 陽炎の市
     ウィンズロウが最後の作品として世界にプレゼントしてくれる三部作は第二作。第三作は執筆中とのことなので、一年に一作、書いては出版するというけっこうリアルタイムかつ歴史的作業なのかと想像する。翻訳者も出版社スタッフも綱渡りな作業だろうが、内容的にも、作家ウインズロウのラストワークとしても、あまりに重要...続きを読む
  • 陽炎の市
    最高。
    平穏を望みながらも、結局は巻き込まれていくダニー。ぶつくさ言わないだけで、根本はニール・ケアリーぽい。
    昔からウィンズロウの「食べ物と生活の描写」がめちゃくちゃ好きなのだが、今回は1歳半の育児を「終わりがない」と書いてたところが好き。




  • 陽炎の市
    〈ダニー・ライアン〉3部作の2作目。抗争に負けたダニーは逃亡し、そこでFBIから取引を持ちかけられて自由を手にする。身を隠し、静かに生活していたなかで出会う1人の女性。そこからまた色々と動き出していく。今作は派手なアクションなどは少ないけれど、それでもその奥にある怒りや後悔、憎しみなどたくさんの感情...続きを読む
  • 壊れた世界の者たちよ
    昨年の7月から、ドンウィンズロウの作品を、デビュー作の「ストリートキッズ」から執筆順に読み始めて、この作品までたどり着きました。これまでの作品の後日談(だけじゃ無いけど)がちりばめられていて、こういう読み方をして来て良かったとしみじみ思いました。ニールとブーンが、同じ作品で活躍するなんて、最高!その...続きを読む
  • 業火の市
    始まりはビーチでいい女が現れたこと。そこから一大叙事詩の物語が続く。ついつい読み進めてしまう面白さ。続編にも期待したい。
  • ダ・フォース 上
     生産・流通を担っている麻薬カルテルを描いてきた著者が、一大市場であるニューヨークの麻薬市場を書いた作品が本書だ。麻薬を取り締まる警察官の活躍が描かれるが、蛇の道は蛇で、警察官の守る正義は一筋縄ではない。

     知らず知らずに正義を踏み外していく刑事たちは、なぜ踏みとどまれなかったのか。それは一歩一歩...続きを読む
  • ダ・フォース 下
     夏休みは伊吹山2合目にある、ロッジ山へ。

     天気が悪く、外には出歩けなかったが、眼前に拡がる琵琶湖をテラスから眺め、終日本書を読んでいた。コーヒーを飲むこと、本を読むこと以外が無い、良い休日でした。
  • 業火の市
     読後の興奮冷めやらず、すぐにレビューが書けないほど、この本のカオスにやられた。そしていつもながら、ウィンズロウの文章にやられた。ともかくキックの強い作品なのだ。いつも。キャラクターたちの運命が神の視点で書かれてゆく悲喜こもごもの人間絵図。愚かで、強欲で、弱くて、それでも必死に生きてゆき、時に美しく...続きを読む
  • ザ・ボーダー 下
    主人公のケラー(麻薬取締局局長)がメキシコの麻薬撲滅のためにあらゆる手段を尽くす。ケラー自身がアダン・バレーラ(最大の麻薬カルテルの首領)殺害を告白したことで、最愛の妻マリーは離れていった。孤立無援の男は孤独を噛み締めながら、40年にも及んだ苦闘を振り返り、自問する。自分の周りでは何人も死んでいった...続きを読む
  • ザ・ボーダー 上
    米国、メキシコ、グアテマラ、3か国を中心とした麻薬カルテル、密売、殺人。タイトルのボーダー(境界線)には色んな意味がある。麻薬の国境越え、人間が正常に保てるか、刑務所の外と内、生と死。メキシコの麻薬王アダン・バレーラの死によって麻薬戦争の終結をもたらすどころか、内部抗争が起こり混とんとする。それに巻...続きを読む
  • 業火の市
    ドン・ウィンズロウ、これで絶筆って聞いて残念がってたけど本屋に行ってみればまさかの三部作!!
    これはどんどん分厚くなる予感!!
    一年おきくらいで出るのかな。
    待ち遠しいよ!!

    相変わらず主要な登場人物がバンバン死ぬのが非常にしびれますね!!
    パムは何かしら隠してるのかなと思ったけど単に美女なだけだ...続きを読む
  • 業火の市
    80年代のアメリカが舞台のギャング小説。アイルランド系マフィアの一員のダニー。冒頭はあまり不穏な空気もなくイタリア系マフィアともうまくやっているような日常が描かれているのだけれど、じわじわと緊張感が増していく。その感じが堪らない。そこから一線を越え報復がありまた復讐がありと止まらない。組織同士の抗争...続きを読む
  • ザ・ボーダー 下
    15年かけてこの3部作を読み終えた。
    終盤の公聴会での長い証言は40年以上に及ぶ麻薬戦争の歴史だ。
    最高傑作と言っていい。
    連続ドラマになったら必ず見たい。
  • 壊れた世界の者たちよ
    ドン・ウィンズロウ初の中編小説集は、読み応えがあった。中編になるとなおさら、
    巧妙なプロットとしゃれたセリフが目立つ。過去の長編の登場人物たちが顔を見せ、後日談が語られるのもうれしい。
  • 壊れた世界の者たちよ
    6篇の珠玉の中篇。まさかこれだけの年月が経た後でニール・ケアリーに会えるなんて。ボビーZと再会できるとは。感涙の極み。生きていて良かった。本読みを続けていて良かった。至福の時間だった。
    どの作品もウィンズロウの世界。2020年のベストでありオールタイムベストです。
  • 壊れた世界の者たちよ
    中編小説が6篇。
    どの話もそれぞれに面白く、ラストがどれも粋だ。
    そして常に自分の内なる善悪や正義を問われている気がする。
  • 壊れた世界の者たちよ
    どれも面白かった。
    これがリアルなアメリカなのか。しみるなー。
    個人的にはサンディエゴ動物園が好きかな。
  • 壊れた世界の者たちよ
    生を受けてから波に乗ってきた。そのことから学んだのは波はどこにも連れてってくれず、必ず本当の自分のところに戻ってくるということだ。
  • 壊れた世界の者たちよ
    6編収録されている中編集。アメリカの問題、世界の問題を描いて怒りや悲しみとかたくさんの感情がある。なかなかどれが正しいとか決められないことも多くて、でも正しいことをやろうとした、やった人たちの想いが伝わってくる。これまでの作品に登場した人物たちも何人か出てくる作品があってそれも嬉しい。最近は大長編の...続きを読む