作品一覧 2023/06/15更新 業火の市 試し読み フォロー 陽炎の市 試し読み フォロー 壊れた世界の者たちよ 試し読み フォロー ザ・ボーダー 試し読み フォロー ダ・フォース 試し読み フォロー 報復 試し読み フォロー 1~6件目 / 6件<<<1・・・・・・・・・>>> ドン・ウィンズロウの作品をすべて見る
ユーザーレビュー ザ・ボーダー 上 ドン・ウィンズロウ / 田口俊樹 『犬の力』『ザ・カルテル』に続くメキシコとの麻薬戦争を描いたシリーズ完結編。 1人の麻薬王が築いた巨大な麻薬組織のビジネスと警察の攻防を描いた『犬の力』、カルテル同士の戦争により拡大化していく暴力の連鎖を描いた『ザ・カルテル』、そして今回は麻薬王の玉座が空いたことによるメキシコの混乱と麻薬戦争が終...続きを読むわらない真の原因を描く。 前2作を読み直した上に内容が骨太過ぎて読むのに時間が掛かったけど、やっぱり物凄い作品だった。 Posted by ブクログ 陽炎の市 ドン・ウィンズロウ / 田口俊樹 ウィンズロウが最後の作品として世界にプレゼントしてくれる三部作は第二作。第三作は執筆中とのことなので、一年に一作、書いては出版するというけっこうリアルタイムかつ歴史的作業なのかと想像する。翻訳者も出版社スタッフも綱渡りな作業だろうが、内容的にも、作家ウインズロウのラストワークとしても、あまりに重要...続きを読むな歴史的三部作に携わる多くの方のGood Jobに敬意を表しつつ、大切に本書を手に取る。 旅行業をしていると本に費やす時間が実は途切れ途切れで得られにくいのだが、8月に入ってようやく連続休暇が得られたので、二日くらいで一気に読ませて頂いた本作。分厚い作品だが、『業火の市』で故郷を追われた主人公ダニー・ライアンとその一行がウエストコーストに辿り着く状況と、そこでもまた張りつめる緊張と生死を賭けた日々に瞬く間にのめり込んでしまう。 テンポが速いせいか、ぐいぐい読み進む。とはいうものの、登場人物の多さが読みにくさに繋がるので巻頭の人物表を百万回くらいめくりなおさねばならないのは前作と同様。何せ人間関係図は、この物語にとって大変重要なものだし、それぞれの人間関係の矢印は、いつでも裏返ったり引っくり返ったりし得る信用のならないものだからだ。スリリングで緊張感いっぱいの登場人物表。 タイトルの「陽炎」は原語では”Dreams”。ちなみに具体化するとそれはハリウッド・ドリームだ。銀幕の世界。主演女優の魅力。札びらが舞う世界。夢という名の鉱脈が眠る土地。 売れっ子映画女優の作品撮影に燃えあがるサンディエゴ。ダニーたちが辿り着いた太平洋の岸辺にある世界。メキシコの闇カルテルやFBIの権力闘争、そしてロードアイランド州プロヴィデンスに遺してきた敗北の過去。勝者イタリアン・マフィアの追撃の恐怖。ダニーは空っぽであるかに見える。組織はばらばらに解体したかに見える。しかしダニーが持ち去ったマネー(大半は海に投棄したとは言え)への追撃網は緩まない。緊張した逃走ドラマのさなかで、ダニーたちは身を隠す。新天地カリフォルニア。 売れっ子女優ダイアン・カーソンの描き方が独特でウィンズロウらしい。そして映画製作現場の活気も、そこに寄せられる札束の気配も、男たち・女たちの欲望も。ダニーの母親はクールでリッチで悪女だが、それでも母親であり、ダニーの守護神でもある。ダニーの腹心のアルター・ボーイズは歩く凶器みたいなもので、スリリングな存在だ。いや、すべての腹心、部下たちが同じようなものかもしれない。何しろ彼らはギャング組織。影を踏んで歩く組織なのだ。 そしてこの三部作はギリシャ神話に基づいた物語だと言う。ウィンズロウ人生最後のチャレンジ。運命の渦に巻き込まれ錐もみ状態になったダニーの運命は未だこの作品まででは半ばまでしか語られていない。全く幸福とは別次元に転がっているかに見える主人公ダニーと彼に近づく者たちの不幸が際立つ。ダニーの彷徨の人生は、煌びやかに輝くと思うと、次の瞬間には闇に閉ざされる。血の匂い。硝煙の匂い。ドラッグの夢。命の儚さ。いつも摑みきれなかった愛。 本作もまた読後の興奮冷めやらぬところは前作同様。本当にドラマティックなクライマックスを予感させる最終作(本シリーズだけではなく、残念ながらウィンズロウの最終作)まで一年。今日のところは終わっちゃいない。気長に待つとしよう。 Posted by ブクログ 陽炎の市 ドン・ウィンズロウ / 田口俊樹 最高。 平穏を望みながらも、結局は巻き込まれていくダニー。ぶつくさ言わないだけで、根本はニール・ケアリーぽい。 昔からウィンズロウの「食べ物と生活の描写」がめちゃくちゃ好きなのだが、今回は1歳半の育児を「終わりがない」と書いてたところが好き。 Posted by ブクログ 陽炎の市 ドン・ウィンズロウ / 田口俊樹 〈ダニー・ライアン〉3部作の2作目。抗争に負けたダニーは逃亡し、そこでFBIから取引を持ちかけられて自由を手にする。身を隠し、静かに生活していたなかで出会う1人の女性。そこからまた色々と動き出していく。今作は派手なアクションなどは少ないけれど、それでもその奥にある怒りや後悔、憎しみなどたくさんの感情...続きを読むが流れているのを感じることができる。ダニーの周辺がざわざわし始め、この先がどうなるのか。完結してほしくないけれど早く読みたい。 Posted by ブクログ 壊れた世界の者たちよ ドン・ウィンズロウ / 田口俊樹 昨年の7月から、ドンウィンズロウの作品を、デビュー作の「ストリートキッズ」から執筆順に読み始めて、この作品までたどり着きました。これまでの作品の後日談(だけじゃ無いけど)がちりばめられていて、こういう読み方をして来て良かったとしみじみ思いました。ニールとブーンが、同じ作品で活躍するなんて、最高!その...続きを読む他のエピソードも、作者のアメリカの現状に対する憤りと国に対する愛情が溢れる名品ばかりでした。あと、3部作となる1シリーズで執筆は最後にするらしいですが、この中編集は一つの作者のけじめかな、と感想です。 Posted by ブクログ ドン・ウィンズロウのレビューをもっと見る