多世代恒星間航宙船に住む人間とゼリー状生命体。
彼らとの関わり方において、二つに別れる人間の社会にすむ主人公のSFビルドゥイングスロマン。
守りたい物があるから、必死で努力し、それでも満足な力がないから、守りたいという気持ちすら否定する主人公。
12歳、15歳、18歳の3つの場面で描かれる物語。
...続きを読む2度守れなかった彼は、最後に何ができたのか?
そして、そんな主人公を支えるために、自らの気持ちや人生を捨ててまで、自分のできる役割を演じきる友人達。
成長記というには、切なすぎます。
自分の気持ちを認めることができたときには、すでに散りゆく最後のとき、喪失の無力さのなかから這い上がり、再び掴み取ることはできるのか。
航宙船と感覚でしか意思疎通できないゼリー状生命体、失われた技術と社会システムという舞台を活かしきり、主人公の肩に重荷を乗せ、これでもかとストイックにいじめ抜く著者はきっとサドです。
重荷が重いほど、切なさが増幅されます。
そして、技巧派ですね〜、プロットがうまい。
少しずつ登場人物が成長し、変化していきます。
物語の謎も少しずつ明らかになり、登場人物間の結びつきや信頼も少しづつ変化していきます。
心を鷲掴みにされます。
しかし、気になるのは、あのお方のほうは結婚したのでしょうか?